
安藤祐介 著
「被取締役新入社員」
(講談社文庫)
小中高といじめられ続け、入社した会社もすぐ解雇。究極のダメ男・鈴木信男は、なぜか一流広告会社に採用される。そこで命じられたのは、エリート社員たちのストレスの捌け口となる「被取締役(とりしまられやく)」の極秘任務だった。かつてない下から目線”で仕事の本質を衝いて反響と感動を呼んだ、ドラマ原作大賞受賞作。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
ネットでの感想を読んで面白そうだったので読んでみたのですが、表紙の絵や題名からも軽い話だと思ったら意外と重い感じがしました。
一流会社で働いていると確かにストレスは多いでしょう。それを解消させるためにダメダメ男の鈴木信男が採用されます。社長に改名され、会社では「羽ケ口(はけぐち)信男」。つまり、ストレスの捌け口になるべく配属されたわけです。
彼には、様々な秘密の決まりがあります。週に3回は遅刻すること、必ず定時に帰ることなど。とにかく失敗をして上司から怒られまくるのが彼の役目。
ストレスがたまりそうな任務ですが、その分報酬が役員並み。普通の人ならいくら給料が高くてもやっていられませんが、彼なら大丈夫。始めから失敗だらけのやる気のない男ですから。
特に努力することなく、数々の失敗を繰り返し、思惑通りに毎日怒鳴られまくっています。お陰で今まで怒られていた社員が怒られなくなり、彼を小馬鹿にすることでチームの団結力も上がるという、社長の思惑がばっちりはまっていきます。
まあ、そのままうまく機能して終わったら、物語として成り立たないわけで、それからは徐々におかしな方向へ。
彼のドジぶりがある取引先の社長に気に入られてしまい、そこからどんどん「被取締役」の役目が果たせなくなっていきます。
社長は不機嫌になっていくわけですが、会社の業績としては上がるし、何とも微妙な事態に。
最終的にはたぶんこうなるだろうと予想していた感じで収まっていくのですが、私にはちょっとその辺りが納得できず。
ダメ男の鈴木が成長してがんばって正社員(他の社員と同じような社員)として再雇用される、というようになってほしかったのですが、どうも棚ぼた感が抜けない感じで終了。
結局、彼は何の努力もしてないまま、でも何となくハッピーエンドな終わり方。
う〜〜ん、なんか読み終わってもモヤモヤしてしまいました。
これからはきっと努力をしてがんばっていくだろうとは思えたので、それを信じて良しとするか!って感じです。
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