
名取佐和子 著
「金曜日の本屋さん」
(ハルキ文庫)
ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は読みたい本が見つかる本屋″らしい」というネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。病床の父に以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店<金曜堂>を訪ねる彼を出迎えたのは、底抜けに明るい笑顔の女店長・南槇乃。倉井は南に一目惚れをして―。人と本との運命的な出会いを描くハートウォーミングストーリー、開店!−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
本好きにとってたまらない内容の作品みたいだったので読んでみることにしました。
だって「読みたい本が見つかる本屋」ですよ!? 最高じゃないですか!
普段、どれだけ読みたい本が見つからないことか。いつになったら見つかるのか、もしかしたらもう古本でしか見つからないかも、という本さえあります。でも私は古本は無理なので、あきらめるしかない物もたくさんあります。
そういう本たちが見つかるなら、リストを持って買いに行きたいです。
という感じでワクワクしながら読み進めました。
その本屋さんは、本が見つかる以外にもワクワクする所があったんです。それは、地下に書庫がある! 地下鉄を作るはずだった部分を使って書庫にしていて、想像しただけで楽しくなります。
駅のホーム全体に本棚があって、本がずらりと並んでいるなんて最高でしょう!
それだけでも見に行きたいです。
話の内容は、何だかビブリア古書堂と雰囲気が似ている気がしました。美人の女店主と、彼女に憧れる若者バイト。設定も似ていますし、お客さんが本のことを質問して店主が答えて、本を見つけ出すところとか、本が絡んだちょっとした謎と謎解きとか、よく似ています。
バイトくんが本を読めない所も同じだと思ったら、こちらのバイトくんはただの思い込みで、実際は読書好きだったのですが、そこも似ていますね。
店主とバイトくんの恋物語がうっとおしいと感じるのも同じ。その辺りを少なめに書いていただけると楽しめると思います。
バイトくんが読書を嫌っていた理由というのが、本を読んでもきちんと理解できていると思えないからで、自分で「読書をする資格がない」と言っていました。
そんな彼に、店主が
「読書は究極の個人体験です。人によって響く部分が違うのは、当たり前なのです。作者の思いやテーマを汲み取る努力を、読者がしなければならない義理はありません。好きに読めばいいんです。感想を誰かと同じになんかしなくていいんです」
と言って彼を励まし、読書ができるようになりました。
私も他の人と感想が違うとか、きちんとテーマを読み切れていないとかよく感じていたので、彼女の言葉にはちょっと安心させられました。
感想が人と違っても良いんだ、という当たり前のことに改めて気づかせてもらえただけでも、この本を読んで良かったです。
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