
伊坂幸太郎 著
「残り全部バケーション」
(集英社文庫)
当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブすることに―。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏家業コンビの物語。−裏表紙より−
物語は、ある一家が最後の日を迎えている場面から始まります。父親の浮気が原因で離婚することになった夫婦と、寮に入るため家を出る娘の3人家族。この家族、特にお母さんが面白い人で、何かにつけてどっしり構えている感じが浮世離れしていてなかなか笑えました。
一家が最後に3人で出かけようとしているとき、場面が変わって今度は何やら怪しげな商売をしているらしい2人組の話に。当たり屋をやった2人ですが、後輩の岡田が先輩の溝口に対して、突然「足を洗いたい」と言い出します。
こんな商売をしていると、抜け出すのは大変だという印象ですが、意外とあっさりと「わかった」と了承される岡田。でも条件として「適当な携帯番号にメールしてその相手と友達になること」と言われます。よくわからない理由ですが、溝口にしてみれば、こういう条件を出せば失敗して離れられないだろうと思ったようです。
そこまで読むと、もしかして・・と思える展開です。この作家さんお得意の、一見関係なさそうな人物が実はつながっていくというあれですね!?と、ワクワクし始めます。
そう、予想通り始めに出てきた一家と、岡田は連絡を取り合うことに。怪しい商売をしている割にはスムーズに足を洗えたね〜と安心していると、まあそうもいかず一波乱。
2話目以降になると、また全然違う話に。でも違う話に思えてもつながっていくので、注意深く読み進めました。
そして最後の話で一気につながる爽快感!
登場人物たちのキャラクターが面白くて、悪いことをしているはずなのに憎めなくて、どこか抜けている所もあって、最後まで飽きずに読み切ることができました。
やっぱりこの作家さんの話は良いな〜。改めて感じる作品でした。
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