
大鐘稔彦 著
「孤高のメス 死の淵よりの声」
(幻冬舎文庫)
練達の外科医・当麻鉄彦のもとに末期癌の患者が訪れる。苦慮の末、選択した抗癌剤が劇的に効き、患者はめざましい回復を見せるが、折しもその頃、日本癌治療学会では、癌と戦うなと唱えて一躍時の人となった菅元樹の発言をめぐり、シンポジウムが紛糾するのだった―。患者の為の真の医療とは何かを問う、シリーズ最新刊。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。シリーズ物とはいえ、12巻も出ているとは知らずに、面白そうだったので「本が好き」で献本申し込みしました。
私にとって初といっても良いほど珍しい医療物です。ドラマとかで見るのは好きなんですけど、小説は読まないです。理由は自分でも謎ですが。たぶん、難しいだろうと思うからでしょうけど。
話はいきなり誰か知らない人の遺骨を散骨する場面から始まります。シリーズを読んでいる人にとっては馴染みの人たちなのでしょうが、初めての私には知らない人ばかり。当麻というのが主人公だということはわかっていますけど。
そこから病院へ場面が移ります。当麻ドクターが勤務している琵琶湖湖畔の病院。やって来たのはおなかが張ってどうしようもなくなった女性。様々な検査を緊急に行った結果、癌であることが判明しました。珍しい癌だとわかり、しかもすでに末期の状態で、あまり長くはもたないだろうと推測されました。
今のままでは手術も難しいということで、効果のありそうな抗癌剤を投与。少しでも癌細胞が小さくなってくれれば手術もできるかもしれない、と少しの望みをかけることに。
その抗癌剤が彼女には劇的に効き目があり、あっという間に数値が安定していき、予想よりも早く回復して退院できることになりました。「奇跡だ」と病院のスタッフたちでさえも驚くような回復をみせたのでした。
彼女の治療をしている合間にも、病院なので次々と患者が訪れます。当麻ドクターはどうやら外科医の中で名医として有名な人なので、遠方からも患者がやってきます。しかも他の病院では断られたような難しいケースが次々と。
当麻ドクターは部下の医者たちをうまく教育しながら、次々と手術を成功させていきます。その手並は素人の私から見てもなかなかのもの。
手術のシーンも臨場感たっぷりで、ハラハラドキドキしながら読みました。
ただ、登場人物が多すぎて誰が誰だかわからなくなっていくのには困りました・・。シリーズを読まずにこの巻から読み始めた私が悪いのでしょうが、新たに登場したであろう人物のことも細かく説明されるため、いちいち過去に戻ったり回想したりして、ちょっと混乱する所がありました。本筋を見失いそうになる部分も。
でも当麻ドクターの人柄や手術シーンのかっこよさに感動している間に一気に読み進めることができましたし、気づけば終わっていたという感じがありました。
医療関係者ではないので、細かい医療用語はほとんど理解できませんが、それでも楽しむことができたのは良かったです。
シリーズを始めから読もうかな?と思う反面、12巻もあるのか・・と気後れしてしまっています。みなさんの感想を読んで考えようかな?
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