
北川恵海 著
「ちょっと今から仕事やめてくる」
(メディアワークス文庫)
ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。なぜ赤の他人をここまで?気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった―。スカっとできて最後は泣ける、第21回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞作。−裏表紙より−
初めましての作家さんです。題名に惹かれて買いました。
隆は、ある企業の営業マンとして働いていますが、上司や会社の方針と合わず、なかなか実力を発揮できずに悩んでいます。その日も上司からことごとくダメ出しをされ、頭ごなしに叱られ、落ち込んでいたため、何となくフラフラとホームから線路へと跳び下りそうになりました。
そのとき彼の腕をグッとつかんで引き戻した人物が、ヤマモト。ヤマモトは、隆の同級生だと言っていますが、隆は記憶にありません。他の同級生に連絡したところ確かに「ヤマモト」はいたらしい。
ということで、とりあえず信用して仲良くなっていく2人。仕事の後に呼び出して飲んだり、買い物に行ったりどんどん親密になりました。
仕事の愚痴を言うと、ヤマモトは「辞めたらいい」とあっさりアドバイスしてきます。「仕事を辞める」ということを考えもしなかった隆は衝撃を受けますが、ヤマモトに少しずつ説得され、とうとう辞める決心をします。
でもどうやら、ヤマモトというのは同級生ではないらしい・・ということがわかり、謎が深まっていきます。
とはいえ、ヤマモトの正体はあまり重要ではないというか、どんな人物だったとしても問題はなくて、それよりも隆が会社をどうやって辞めてすっきりと良い人生を送れるのか?の方が重要なので、ヤマモトのことは「救世主」的な存在として受け入れられました。
隆が仕事を辞めるシーンはかっこよかったですが、そんなにきちんと言えるならもっと早く言いたいことを言っていれば、もう少しラクに仕事ができたのでは?とも思ってしまいました。
仕事に悩んでいたり、上司や同僚との関係に疲れていたりする人にはぜひ読んでもらいたい作品です。人生において仕事って重要な物ですけど、人生を終わらせないといけないくらい悩むほどの価値はあるのかな?と、冷静に考えてもらいたいです。
肩の力を抜いて、ラクに仕事ができると良いですね。現実は難しいですけど・・。たまには辞める覚悟でズバッと言ってみるのも良いかもしれません。
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