
浅田次郎 著
「一路 下」
(中公文庫)
中山道を江戸へ向かう蒔坂左京太夫一行は、次々と難題に見舞われる。中山道の難所、自然との闘い、行列の道中行き合い、御本陣差し合い、御殿様の発熱・・。さらに行列の中では御家乗っ取りの企てもめぐらされ―。到着が一日でも遅れることは御法度の参勤交代。果たして、一路は無事に江戸までの道中を導くことができるのか!−裏表紙より−
旅の後半には、前半以上に様々な困難が待ち受けていました。
今みたいに新幹線や飛行機、車などでピュッと行けないわけですから、普通に旅をするだけでも大変なことなのに、しきたりが多すぎて人数も多すぎて、本当に大変そうです。
他の大名と違って、なぜか蒔坂家の参勤は冬に行われることになっているので、雪山を超えるという命がけの道行。しかも大きな荷物も抱えていますし、何よりも腰に差している物がすでに重い・・。
「荷物より命が大事だ」と言われても、この時代には物によっては「命より大事」なわけで、現代の人よりかなり頑丈だとは思いますが大変さがわかります。
難所を超えたと思ったら、今度は殿様の体調が悪くなって、無理はできない状況。行列の人数が多すぎて簡単には宿も変えられないですし、何よりも江戸入りが遅れたら罰せられるとなれば、意地でも前に進まなければ! でも殿様の命も大事ですし、一路は苦悩することに。
こんなにたくさん事件が起きて、更に殿様の命を狙っている人たちまで中にいるとなれば、まだ若い一路にすべてを託して良いのか?と読んでいても不安になりました。
でも彼は周りにうまく助けられながら何とか一つ一つ乗り越えて前に進んでいきます。頼りなさも目立つ彼ですが、要所要所で締めるのはかっこよく見えました。
そして、何より素敵だったのは殿様。何だか最後は殿様にすべて美味しい所を持っていかれてしまった感じですが、それも良いのかも?と思えるくらい素敵な殿様でした。
他にも色々と意外な展開も待っていますが、そこは読んで確認して下さい。
最後まで笑ったり泣いたり忙しく、面白い物語でした。
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