
今野敏 著
「捜査組曲」東京湾臨海署安積班
(ハルキ文庫)
お台場の公共施設で放火との通報が入った。安積班のメンバーが臨場すると、警備員がいち早く消火活動を始めており一大事にならずに済んだ。警備員から聞き込みをした須田は、何か考え込んでいて・・。三日後、またしても同じ施設内で強盗事件が起きる。珍しく須田がこの事件を担当したいと安積に頼むが―(「カデンツァ」より)。安積班をはじめ、強行犯第二係長・相楽、鑑識係・石倉、安積の直属の上司・榊原、それぞれの物語を音楽用語になぞらえて描く、安積班シリーズ待望の文庫化。−裏表紙より−
大好きな安積班シリーズ。1年半ぶりの文庫です。
今回は短編です。音楽用語が題名になっていて、それにちなんだ内容の話が書かれています。音楽用語でまとめることで、安積班や捜査のチームワークの大切さみたいなものを描きたかったのかな?と思います。
短編の1話ずつの視点がそれぞれ違っていて、今回は安積班のメンバーに加えて、隣の係長で安積をライバル視している相楽警部補や鑑識の重鎮・石倉や安積の上司・榊原も主役となって活躍しています。
お陰で彼らから見た安積の姿がよくわかるようになっていて、更に班長がかっこよく見えました。
特にお気に入りなのは、村雨の話。彼はメンバーたちの特徴をしっかりつかんでいて、冷静にどうすれば各々が動きやすいかを考えて行動しています。特に気にかけているのが班長のこと。須田の能力は認めているものの、彼には安積は助けられないと思っていて、いかに安積がストレスなく活躍できるかを考えて、防波堤になれるのは自分だけだときちんと理解しています。
普段はあまり多くを語りませんし、須田の陰に隠れてしまっている村雨の安積を思う気持ちに感動する内容でした。
それと、石倉の話もよかったです。鑑識は職人って感じが強くて、中でも特に偏屈なイメージの石倉ですが、部下からはかなり慕われていることがわかりましたし、彼も安積班長に一目置いていることがわかりました。
石倉が安積から諭されて、急におとなしくなるのは面白かったです。
そして、登場以来気になっている女刑事・水野ですが、どうやら安積も彼女のことを認めたようですので、私も仲間として見ていくようにしようかな?と。今回は女性として活躍してくれましたし、今後に期待することにします。
さ、次はいつ文庫になるのかな?楽しみです。
<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
「夕暴雨」
「烈日」
「晩夏」
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