
西條奈加 著
「閻魔の世直し 善人長屋」
(新潮文庫)
周囲から「善人長屋」と呼ばれる千七長屋。差配も店子も表向きは堅気のお人好し揃いだが、実は裏家業を営む悪党だらけ。ある日、「閻魔組」と名乗る三人組によって裏社会の頭衆が次々に襲われ、惨殺される事件が発生する。天誅を気取る「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。長屋を探る同心の目を潜り、裏家業の技を尽くした探索は奴らの正体を暴けるか。人情溢れる時代小説。−裏表紙より−
シリーズ2作目です。前作で長屋を引っ掻き回した善人・加助は今回おとなしめ。まあ人助けはするんですけど、他の事件が大きすぎて霞んでいました。
他の事件というのは、「閻魔組」という謎の集団が起こした事件で、裏社会のボスたちを「天誅」ということで惨殺していきました。ボスだけならまだしも、周りにいた人たちをも巻き込んでいて、長屋の人たちはどうにも許せない気持ちが高まってしまいます。
でも、殺し方を見ると、かなりの手練れ集団だということで、どうすれば自分たちの身を守りながら懲らしめることができるのか、差配を中心に頭を悩ませます。
更に、長屋に目をつけている同心まで現れて、ますます厄介な事態に。
更に更に、縫ちゃんに淡い恋まで芽生えてしまい、これがまた叶わぬ恋となれば、周りはあたふたしてしまうのは仕方ないことですし。
最初から最後までバタバタしっ放しの内容で、息つく暇なく一気読みという感じでした。
「悪人だから殺しても良い」なんてことは絶対に無いですし、悪人だからといって殺してしまったら、その犯人もやはり悪人になるわけで、それをヒーローのように祭上げるのは大きな間違いです。
この「閻魔組」も悲しい事情が隠されていて、また因縁のアイツも出てきて、意外などんでん返しもあって最後まで面白かったです。心痛い部分もたくさんありましたが、うまくいい方向に向かっていきそうな結末でホッとしました。
続きも楽しみです。早く出してくれないと、長屋の人たちのこと覚えていられない〜!
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