
高田郁 著
「あきない世傳金と銀 源流篇」
(ハルキ文庫)
物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子どもとして生を受けた幸。父から「商いは詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛の才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か―大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!−裏表紙より−
発売されてすぐに買ったのですが、この作家さんの話は絶対に泣くだろうと思って、寝る前にちょっとずつ読み進めていました。お陰で手を付けてから数か月かかってしまいました。面白くないわけではなく、一気に読むのが勿体なくて・・。
前半はやはり号泣! 涙をぼろぼろ流しながら寝た日が何度かありました。後半は泣くことはなかったですが、主人公・幸に思い入れが強くなってしまっているからハラハラさせられて、次々読みたくなる感じでした。
幸という少女が主人公の物語です。小さな村の学者の娘として生まれた彼女は「女に学問はいらない」という時代なのがかわいそうなくらい、学問に興味をもって何でも知りたがる子どもでした。
優しい兄から色々なことを教えてもらい、少しずつ文字も読めるようになってきた幸。でも、両親は学問よりも誰かの嫁となって夫を支えて生きていくために必要なことばかりさせようとします。
ほんと、理不尽な時代です。
そんな彼女が少し大きな町・大坂の天満へ奉公に出ることになりました。敏い彼女らしい行いを繰り返しながらも下働きとして日々を過ごしていくのですが、男の子たちが番頭から読み書きや商売のことを習っているのを知って、何とかして自分も習いたいとのぞき見してしまいます。
その熱心さに気づいた番頭が、幸を目にかけるようになるのですが・・。
質素倹約が言い渡されている時代に、呉服屋が売れ行きが良いわけがなく、日々の商売はかなり苦労しています。それでも大店としての看板に傷はつけられないので、体面も保たないといけなくて、中身は火の車状態。
なかなか大変な職場ではありますが、働いている人たちが良い人が多くて、幸は比較的自由に過ごせている気がしました。口の悪い人もいますが、そこまで根に持つ感じではないので、いじめられているようには見えませんし。
物語はまだ始まったばかり。商売のことを少しずつ知っていっている幸が今後どんな人生を歩んでいくのか楽しみです。でも最後に嫌な予感しかしないような描写があったので、かなり心配でもあります。きっと2冊目以降は涙涙になるんでしょう・・。
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