
椹野道流 著
「最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵」
(角川文庫)
若手イケメン俳優の五十嵐海里は、ねつ造スキャンダルで活動休止に追い込まれてしまう。全てを失い、郷里の神戸に戻るが、家族の助けも借りられず・・。行くあてもなく絶望する中、彼は定食屋の夏神留二に拾われる。夏神の定食屋「ばんめし屋」は、夜に開店し、始発が走る頃に閉店する不思議な店。そこで働くことになった海里だが、とんでもない客が現れて・・。幽霊すらも常連客!?美味しく切なくほっこりと、「ばんめし屋」開店!−裏表紙より−
初めましての作家さんです。
芸能人が活動休止って何だかタイムリーな内容です・・。それにしても、こんなふうにあっさりと芸能界から消えて行った人、たくさんいるんでしょうね〜。そう思うと怖い世界です。大物であれば話題にしてもらえますけど、あまり有名でなければさらっと消えてしまうんでしょうね。
この話の主人公・五十嵐海里は、これから売れていくであろう存在の俳優。演技力はイマイチみたいですけど、顔の良さで何となく残っていた人。スキャンダルの相手が大手事務所のアイドルさんだったから、海里が消されることに。
読んでいてゾッとする内容でした。直前までテレビという華やかな世界にいたのに、突然何もなくなるなんて。家さえも事務所名義で借りている物だからあっさりと追い出されてしまいます。
揚句には、悪者扱いになってしまったので、どこへ行くにも人目が気になります。何とか実家にたどりついたのにやっぱり追い出されてしまって自暴自棄になっていたら、ある人に拾われました。
そこからはかなりあっさり良い方向へ転がっていくので肩透かしにあった気分になりますが、でもまあかわいそうな人なので良かったのかもしれません。
更に、幽霊まで登場! ここでやっと、これはファンタジーなんだと気づかされます。幽霊だけではなくもう一つ不思議なことも起きて、どんどんファンタジー色が濃くなっていきます。
なるほど、このシリーズはそっちの方向へ行くわけね・・。
そうなると始めの方の“イケメン俳優”という設定は何なんだろう?とも思いますけど、きっとその辺りは今後出てくるのでしょう。
美味しそうな料理も出てきますし、ちょっとほろりとさせられたり、登場人物の言動にニヤッとさせられたり、なかなか楽しく読み切ることができました。
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