
宮下奈都 著
「太陽のパスタ、豆のスープ」
(集英社文庫)
結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった明日羽(あすわ)。失意のどん底にいる彼女に、叔母のロッカさんが提案したのは“ドリフターズ・リスト”(やりたいこと・リスト)の作成だった。自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。相手の意見やその場の空気に流されていなかっただろうか。自分の心を見つめ直すことで明日羽は少しずつ成長してゆく。自らの気持ちに正直に生きたいと願う全ての人々におくる感動の物語。−裏表紙より−
この作家さんの作品を読むのは2作目です。1作目は青春もので懐かしい気分になったのですが、今回は大人の話。とはいえまだ若い女性の話です。
文章自体は読みやすく、ページ数も少ないのであっさり読み切れると思っていたのですが、意外と時間がかかりました。
主人公・あすわの性格に自分が似ている部分が多くて、共感することも多かったのに、なぜか入り込めず・・。ネガティブ思考なあすわに自分が重なりすぎて逆につらかったのかもしれません。
あすわが婚約者からフラれる所から話は始まります。当然、落ち込んでしまうわけですが、その落ち込み方が何だか他人事のような感じがして、いきない違和感がありました。あまりにもショックで逆に冷静になったのかもしれませんが。
あまり「自分のどこが悪かったんだろう?」という悩み方はしなかったんですよね。それよりもやるべきことが無くなって、歩いていくはずの道が消えてどうしよう?という感じ。
そこから急に仕事のことや自分のことについて悩み始めます。悩んでいる内容は共感できるところが多かったです。社会人の女性なら誰しもが悩む事かもしれませんが、このまま働いていていいのかな?とか、自分の存在価値ってなんだろう?とか。
叔母さんに教わって“ドリフターズ・リスト”(やりたいことリスト)を書き出すことにしたあすわ。書き出すことで冷静になれるかと思えば、結構振り回されてしまっています。でもこのリストのお陰で見えていなかったことも見えるようになった部分もあり、あまり頼りすぎなければ、書き出すのも良いのかもしれないと思えました。
1か所、心に残った文章がありました。
がんばっている人に対して、なんだか後ろめたい気持ちになったのはなぜだったのか。がんばれない自分が恥ずかしいのと、それにたぶん、頑張っている人への妬みもあった。
がんばっている人のことは素直に感嘆していよう。自分ががんばれなくても開き直らず、卑下もせず、いちばん後ろからゆうゆうと歩いていこう。
この文章、読んだときは「そうだね!」と激しくうなずいたのですが、よ〜く考えてみるとサボる良い口実にもなるような・・?? 肩に力が入ってしまったときに思い出すことにします。
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