
近藤史恵 著
「キアズマ」
(新潮文庫)
ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに―走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。−裏表紙より−
「サクリファイス」」から始まったロードレースシリーズも4作目。1作目で主人公だったチカは全く出てきませんが、また新たに気になる人物が登場しました。
今回の主人公・正樹も、チームのエースである櫻井も良い味出しています!
正樹はずっと柔道をやっていた大学生。過去に事件があって、そのせいで何に対しても強い想いで打ち込めない所がある彼が、あることをきっかけに大学の自転車部に入部することになりました。自ら進んで入部したわけではなく、半ば強引に入部させられたわけですが、もともと体を鍛えていたおかげもあって、一気に才能が開花します。
自転車で風を切って走る楽しさ、よくわかります。子どもの頃は大好きでした。これがレース用の自転車だったら余計に軽く走れて、飛ぶような感覚になれて更に楽しいのでしょうね。
走る喜びに溢れる正樹の様子がとても楽しそうで幸せそうで、読んでいても微笑んでしまうくらいでした。
ここで先輩たちを抜かしてしまうくらいの結果が残せるところは小説だな〜とあまりにも都合よすぎな気はしますけど、すでに正樹や櫻井たちに好感をもってしまっていたので、その辺りはあっさりスルーできました。
好成績をおさめて、櫻井のことも抜いてエースになるのか!?と思ったら、思わぬ事態に巻き込まれ、一気に正樹の過去の傷へと引き戻されます。
何かをきっかけに張りつめていた糸が切れると、一気に落ちていきますよね。その様子がリアルに描かれていて読むのが辛い場面がたくさんありました。登場人物たちに「大丈夫、まだいける!」と言って回りたいくらい・・。
最終的には前向きに頑張っていけそうな感じになったので、本当に良かった〜としみじみ思えました。彼らの今後もぜひ読んでみたいものです。
このシリーズ、まだ書かれているそうなので、チカのことを含めまた読みたいと思います。
<サクリファイスシリーズ>
「サクリファイス」
「エデン」
「サヴァイヴ」
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