原田マハ 著
「生きるぼくら」
(徳間文庫)
いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサおばあちゃんから? 人生は四年ぶりに外へ! 祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた―。人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。−裏表紙より−
表紙の絵が東山魁夷で、ちょっとお得感がありました。この人の絵ってちょっと好きです。碧っぽい色の木々と白い馬が特徴ですね。この絵も物語の中で重要な役目をはたしています。
麻生人生という24歳の男の子が主人公。ずっとひきこもりで過ごしていた彼が、母親から見放された所から話は始まります。置手紙を残して去った母親の気持ちは、始めはびっくりしましたが、だんだん共感に近い感情が湧いてきて、苦しくなってしまいました。母親が子どもを置いて行くなんて、どれだけ辛かっただろう?と思うと、人生に対して怒りまでわいてきました。
母親から年賀状の人を頼りなさいと言われた人生は、中から祖母のはがきを見つけて、会いに行くことにしました。いきなり行くのはかなりの勇気が要りましたがはがきに「余命数か月」と書いてあっては飛んで行かずにはいられません。携帯で調べつつたどりついたら、家には見知らぬ若い女性がいて、更におばあちゃんから「誰ですか?」と言われてしまいます。
軽い認知症が始まったのだと近所の人に教えられて、驚きつつも共に生活することに。つぼみという若い女性もおばあちゃんや人生と関わりがありそうで、3人の不思議な共同生活が始まります。
おばあちゃんの家で、今までのようにひきこもるわけにはいかず、紹介してもらった仕事をすることになり、それなりにまじめにやっていましたが、おばあちゃんに異変が・・。そして、おばあちゃんが毎年やっていた昔ながらの製法でのコメ作りにも挑戦することになり、人生はひきこもる暇も、悩む時間もないままがむしゃらに働きます。
自然に触れつつ、つぼみと共におばあちゃんを介護しつつ、近所の人たちに支えられながら生活しているうちに、人生は大きく成長します。
結末は予想がつきますし、そんなに物事うまくいかないでしょ!という突っ込みもいれたくなるのですが、この物語はこれで良いと思いますし、この展開だからこその感動もありました。
人生とつぼみを支えてくれる志乃さんという女性がかっこよくて素敵でした。特におばあちゃんの状態が良くないことを知らされて落ち込む2人に掛けた「あのね、あんたたち。いろいろ、ショックなのはわかる。わかるけど、うつむくのはいま、この瞬間で終わりにしなさい。まず、とにかく顔を上げなさい」という言葉には感動しました。こんな風にピシッと叱って見守ることができる大人になりたいと今更ながら思わされました。
次は何を読もうかな?まだ読んでいない作品があるので楽しみです。
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