
今野敏 著
「任侠病院」
(中公文庫)
日村誠司が代貸を務める安岐本組は、所帯は小さいが、世の中からはみ出た若者を抱えて、天下に恥じない任侠道を貫いてきた。ところが最近一部の地元民から暴力団追放の動きが起こり、めっきり肩身が狭くなった。そんな中、今回、組長が持ち込んだのは病院の再建話。日村は、個性豊かな子分たちと、潰れかけた病院の立て直しに奔走するが・・。笑いあり涙ありのおなじみ「任侠」シリーズ第三弾!−裏表紙より−
「とせい」から続くシリーズ第三弾。今回、表紙の雰囲気が急に変わって驚いています。それに合わせて、今までの一作目の「とせい」は「任侠書房」として再出版されました。「任侠学園」も表紙が変わって再出版。シリーズの人気が出るのはうれしいことです。
出版社、高校と立て直してきた彼らですが、今回はとうとう病院に手を出してしまいます。組長はのんきな感じですが、日村は相変わらず振り回されて、板挟みになって大変そうです。ニヤニヤしながら読み進めました。
今回、病院不振の裏には別の組織の存在があって、更に日村は胃が痛い状況になっています。しかも、組がある地域で追放運動まで起こり、マル暴刑事からは「外出禁止」とまで言われてしまい、ますます動きにくい状況に。
でも組長は何も変わりがありません。どっしりと構えていて、日村に「誠司、考え過ぎだ」と言います。頼りがいのある良い親分なんですけど、頭の中で考えていることを全て出してくれるわけではないので、不安が募ってしまうんですよね。
読んでる者としては、この後親分がどうやってスカッと解決させてくれるのか、楽しみでしかないのですが。
病院経営というのは、なかなか複雑で、素人では踏み込めない部分もたくさんありました。このシリーズらしく、最終的には自分たちでがんばって行こう!と前向きな気持ちにさせて、手を引くわけですが、今回も鮮やかな手腕でした。
若干、何でもうまくいきすぎな感じはありますが、このシリーズはこれでオッケー!
最後までスッキリ楽しく読めました。
次はどんな仕事に手を出すのかな? 今から楽しみです。
<とせいシリーズ>
「とせい」
「任侠学園」
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