
アリ・ブラントン 著
越智睦 訳
「書店猫ハムレットの跳躍」
(創元推理文庫)
ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半のダーラ。堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫ハムレットが店のマスコットだ。ある日、ダーラは近所の工事現場で常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡が。最近、夜に外を出歩いているらしいハムレットのものなのか? 名探偵猫ハムレット登場の、コージー・ミステリ第一弾。―裏表紙より―
新たなコージーシリーズに出会いたくて、「本が好き」で献本申し込みしました。
書店と黒猫。私の好きな2つがミックスされるなんて!ワクワクしながら読み始めました。
でも、途中で何度か引っかかりが。初めての話のはずなのに“ご存知の通り”的な記述が出てくるんです。もしかして2作目なのか?とあとがきを見ても“本邦初紹介”とありますし、裏表紙にも“第一弾”とあります。訳し方の問題か?と再び読み進めてみたのですが、やはり引っかかりが。改めてあとがきをじっくり読んでみると、本邦初紹介ではありますが、シリーズとしては2作目だとか。
なるほど納得です。ハムレットの魅力が2作目(本作)の方がよく出ているからという理由だそうですが、やはり順番に読まないとつじつまが合わない所や、登場人物たちの性格や人生などが把握しきれない部分が多くて、しっくりいきません。
2作目から訳すのであれば、それなりに文章に説明が必要になるでしょうが、それも出来ないから頭に“?マーク”が浮かんだままになる所がありました。
でもやっぱり、黒猫はかわいいです。黒猫は愛想がいいことが多いと思っているのですが、このハムレットは猫らしくツン!としたクールな性格。それが書店にぴったりなんですよね。あまり客にくっついてくるような猫だったら書店には向かない気がします。本を選んでいるときに、サラッとそばを通過する猫。最高のシチュエーションです!
物語は、ダーラが従業員を探す所から始まります。普通に面接して、人柄や経歴で決めるわけにはいかないのが、ダーラの悩み。面接で好印象でも、ハムレットが嫌いだったら不採用。そこが簡単そうで難しいのです。
今回の面接でハムレットが気に入ったのは、若い男性。彼はダーラと何やら問題があったようなのですが、そこはクリアできたようです。この部分も1作目を読まないとわからないのかもしれません。
コージーらしく、動機はわからなくても犯人は何となくわかりますし、主人公が特に調べを進めて犯人に近づいているわけでもないのに、ボロを出すパターン。ただ、このシリーズでは黒猫・ハムレットが犯人のヒントをいくつか与えてくれますから、それを元に推理すれば良いわけです。主人公は解けなかったのですが。
主人公・ダーラがどうも好きになれなかったのですが、書店員の2人や、元刑事で探偵をやっているジェイクや、刑事のリースなどは魅力的だったので、また続きも読んでみようと思います。次に訳されるのは、3作目らしく、1作目はいつ読めるのか?不安ではありますが。
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