
高田郁 著
「蓮花の契り 出世花」
(ハルキ文庫)
下落合で弔いを専門とする墓寺、青泉寺。お縁は「三昧聖」としてその湯灌場に立ち、死者の無念や心残りを取り除くように、優しい手で亡骸を洗い清める。そんな三昧聖の湯灌を望む者は多く、夢中で働くうちに、お縁は二十二歳になっていた。だが、文化三年から翌年にかけて、江戸の街は大きな不幸に見舞われ、それに伴い、お縁にまつわるひとびと、そしてお縁自身の運命の歯車が狂い始める。実母お香との真の和解はあるのか、そして正念との関係に新たな進展はあるのか。お縁にとっての真の幸せとは何か。生きることの意味を問う物語、堂々の完結。−裏表紙より−
1作目を読んだのは約4年前。内容は何となく覚えていましたが、細かい人間関係などは忘れてしまっていました・・。1作目を読み直してから読めば良かったと後悔しながら読み進めましたが、途中からはそんなことどうでも良いくらい話に入り込んでいました。
「ふたり静」「青葉風」「夢の浮橋」「蓮花の契り」の4編が収録されています。短編なので、じっくり1話ずつかみしめるようにして時間をかけて読みました。
今回はあらすじにもあるように、実母であるお香との関係が鍵になっています。
母親であるお香は、娘の縁ともちろん共に生きていきたいと願っているわけですが、縁にとっては“捨てられた”という思いがどうしても拭い去れずわだかまりが残っているので簡単に「では一緒に暮らしましょう」というわけにはいきません。
そんな中「青葉風」でお香が亡き夫の連れ子に、ある頼みごとをし、何とか縁との関係を修復しようと画策します。“画策”という言い方をすると嫌な奴みたいに聞こえますが、お香はまっすぐな人で憎めないので、2人にとって良い方法はないか?と考えながら読んでいました。
「夢の浮橋」では縁がどんな人生を選択するのかが気になっていたのに、大変な痛ましい事故が起こってしまい、先の人生を悩むよりも目の前で起きている事故と被害者たちの弔いに全ての時間を捧げることになり、その懸命な姿に涙が流れました。
そして、お香の気持ちと、お縁の気持ち、お互いに想い合っているのにうまくいかない状態なのが切なくてまた涙・・。
最後の「蓮花の契り」では正念にまた試練というか、今後の人生の選択を迫られます。簡単に「僧として生きていく」と言い切れない難しい立場の正念。彼の悩みにも涙が流れました。そこに巻き込まれるようにお縁の将来も変化することに。
この題名で結末がわかった、とおっしゃる方もいるように、“蓮花”といえば・・と考えると、2人がどんな選択肢を選んで今後の人生を決めたのかがわかりそうですね。
2作でこの物語が終わったのはとても残念です。でも、きれいな終わり方をして、お縁も正念もこれからは迷いなく生きていけそうなので、安心して本を閉じることが出来ました。
あとがきもまた素敵でした。特に最後の1文、あなたの悲しみに、この物語が届きますように。に残りの涙を持って行かれました。
これで高田さんの作品は読み終わりました。次の作品を楽しみにして首を長くして待つことにします。
<出世花>
「出世花」
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