2015年07月27日

芦原すなお「ミミズクとオリーブ」

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 芦原すなお 著
 「ミミズクとオリーブ」
 (創元推理文庫)


讃岐名物の「醤油豆」。焼いたカマスのすり身と味噌をこね合わせた「さつま」、黒砂糖と醤油で煮つけた豆腐と揚げの煮物。カラ付きの小海老と拍子木に切った大根の煮しめ。新ジャガと小ぶりの目板ガレイ(ぼくらの郷里ではこれをメダカと呼ぶ)の唐揚げ・・・次々と美味しいものを作るぼくの妻は、なんと名探偵だった! 数々の難問を料理するそのお手並みを、とくとご賞味あれ。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。どんな作家さんか知りませんが、ある程度年齢を重ねた方かな?と思うような文章でした。優しい温かな文章なのですが、私にはちょっと入り込みにくい感じもありました。


「ミミズクとオリーブ」「紅い珊瑚の耳飾り」「おとといのおとふ」「梅見月」「姫鏡台」「寿留女」「ずずばな」の7編収録されています。

大抵の話が、作家をしている“ぼく”の元に事件が持ち込まれて、それをぼくの妻が解決していく、という展開になっています。奥さんは「事件の起きた現場を見たくない」と言うので、ぼくが代わりに事細かく見て帰って報告し、それを聞いてサラッと解決します。いわゆる安楽椅子探偵ですね。

この奥さんは、あらすじの通り料理がものすごく上手で、しかも着物の仕立てなんかもこなしてしまうような、昔の奥さんという感じの女性で、旦那さんを励まし、支えていく鏡のような人なんです。

繊細な心の持ち主でもあります。男性ならこんな女性が奥さんになってくれたら・・と憧れるだろうと思えるような女性です。しかも頭も良いんですよね。


それに比べて、主人の方は酒を飲んで、作家の仕事はいつしているの?と心配になるくらい常にダラダラしているような人。こういう頼りない人にはしっかり者の女性が似合うのかもしれません。


夫婦の生活ぶりや語り口などを読んでいると、昭和初期くらいの話かな?と思えるのですが、実はそれほど古い話ではないんですよね。表紙の奥さんも着物を着ていますし、いかにも日本家屋のような家ですし。なのに“携帯電話”とか出てきてびっくりしました。事件の捜査方法も細かい科学的な検査が出来ていましたし。その辺でも違和感がありました。


名探偵の夫である“ぼく”の目線で全てが語られるのもあまり好きではありませんでした。推理部分ではなるほど、と思える部分もありましたが事件の背景や、それに関わった人たちの人生などにあまり触れられていないので、全体的に浅くて軽い気がしました。


物語の雰囲気は良いんですけどね〜。シリーズ化しているようですが、続きを読むかどうかは保留にします。


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タグ:芦原すなお
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