2015年05月09日

乃南アサ「いちばん長い夜に」

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 乃南アサ 著
 「いちばん長い夜に」
 (新潮文庫)


ペットの洋服作りの仕事が軌道に乗ってきた芭子と、パン職人の道を邁進する綾香。暗い場所で出会い、暗い過去を抱えながら、支え合って生きてきた。小さな喜びを大切にし、地に足のついた日々を過ごしていた二人だったが、あの大きな出来事がそれぞれの人生を静かに変えていく。彼女たちはどんな幸せをつかまえるのだろうか―。心を優しく包み込む人気シリーズ、感動の完結編。−裏表紙より−


一作目では、芭子の後ろ向きさというか、笑ってはいけないと思っている真面目さが心配でたまらなかったのですが、だんだん今まで明るかった綾香の本音が知りたくなってきていました。

いつも軽口を言って笑わせている彼女は本当はどういう気持ちで日々を過ごしているんだろう? 服役していた年数は芭子の方が長いわけですが、犯した罪の重さは綾香の方が実は重いわけで、情状酌量される部分はあるとしても、人の命に代わるものは無いのにそれを奪ってしまった罪はきっと簡単には償えないはず・・。

このまま明るく終わってほしい気もしましたが、やはり綾香の心に触れてしまいました。それはあの東日本大震災がきっかけになります。

震災といえば、自分が経験した阪神淡路大震災を思い浮かべてしまい、東日本大震災の映像も直視できない状態になっていました。でも前者とは違って目の前で起きていることではないので、何もできずただただ早い復興を願うしかない自分がいました。

今まで震災についての話題を避けてきた私ですが、この作品を読んだことで目をそらしてはおけなくなりました。綾香がパン屋の職人に対して怒鳴った言葉や、芭子に対して吐き出した心の内、その一つ一つが私の心にも刺さる気がしました。

そして、綾香が震災をきっかけに、命の重さ、尊さ、大切さを改めて思い出し、それを奪ったことに対する罪の重さにやっと気づいたのは読んでいてつらかったですが、やはり必要なことだったのかもしれないと思いました。


震災をきっかけに変わったのは、芭子も同じでした。今まで後ろ向きでいた彼女も少し前を向けたり、周りに目を向けたりできるようになりましたし、今後の人生も変わっていきそうな雰囲気になりました。彼女はきっともう大丈夫だと思えるほど強くなりました。

最後は2人に明るい未来が広がっていきそうな予感がする終わり方をしていたので、読み終わったときは明るい気持ちになれました。でも、終わったのはとても残念ですし、また続編を書いてほしいと思います。

この2人に出会えて本当に良かったです。この作品を最後まで読めて良かったです。そう思える作品でした。


<芭子&綾香シリーズ>
「すれ違う背中を」
「いつか陽のあたる場所で」


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posted by DONA at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:乃南アサ
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