2015年03月09日

横山秀夫「64(ロクヨン)」上下

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  横山秀夫 著
 「64(ロクヨン)」上
 (文春文庫)


元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、<昭和64年>に起きた誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう、組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。−裏表紙より−

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 横山秀夫 著
 「64(ロクヨン)」下
 (文春文庫)


記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察当日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件が―。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。

久しぶりの横山秀夫作品。しかも、新作! 私が最後にこの作家さんの作品を読んだのは、調べてみると3年半くらい前の「クライマーズ・ハイ」の再読でした・・。

あまりにも久しぶりでうれしすぎて勿体無くて、じっくり時間をかけて読みました。でも、続きが気になって次々ページをめくってしまう・・。相変わらず読み応えのある作品でした。

D県警シリーズも久しぶりです。二渡も登場して、シリーズを読んでいる人にはたまらない作品になっています。相変わらず底の知れない、謎の多い人物で、特に彼のことがお気に入りというわけでもなかったのに、懐かしい気持ちでうれしくなりました。


この作家さんお得意の警察物で、殺人などの事件を解決するようなミステリーではありません。県警の中で起きた問題を解決すべく奔走する1人の警察官にスポットを当てて、話が進んでいきます。

中心となるのは、三上という広報官。「広報官」という肩書の人にスポットを当てる所がこの作家さんらしいですね。警務部に属する部署なのですが、県警内にある記者クラブと警察とのパイプ役になります。元刑事の彼は、広報が記者と仲良くすることを良しと思わない刑事の気持ちがよくわかるので、その経験を活かしてどちらともうまく関係を築いていました。

ところが、一人娘が行方不明になるという出来事をきっかけに、彼の中で何かが壊れてしまい、刑事からは疎まれ、記者からは吊るし上げにされ、いままで順調だった関係がどんどん壊れていきます。

そんな中、突然、警察庁長官がD県警の管轄で昭和64年に起きた誘拐殺人事件の視察に来ることが決定し、記者クラブからの質問も受け付けなければならない状態に。しかも、遺族からは「受けたくない」と拒絶されてしまいます。更に、この長官視察には実は裏の目的があることが判明して、刑事部からの反発まで起きてしまい、三上はあちこちから糾弾されてしまいます。

こんな感じで、次々と巻き起こるD県警内のいざこざや問題を、三上がどう考えて悩んで解決させていくかが描かれているのですが、刑事部に戻りたい気持ちと、今の仕事をやり遂げなければ!という気持ちとの間で揺れる彼の心情が読んでいて痛いくらい伝わってきて目が離せない状態になりました。


それにしても、警察って変わった組織だなと改めて思いました。一般の会社でも、部署同士で多少のライバル心なんかはあるでしょうが、ここまで派閥というか自分の部署を守るためなら何でもする!みたいな考えが理解できませんでした。

刑事部でも警務部でも、同じ県警じゃないか!とは思えないんですね。ライバル心を越して、敵対心むき出しな彼らの行動に呆れる部分もたくさんありました。自分の会社だから守りたい!という気持ちはわかるんですけどね・・。


上下巻でたっぷり描かれたD県警の事件。読み応えも十分で、最後まで楽しめました。次の作品はいつ書いてくれるのか?筆が遅い作者ですから、の〜んびり気長に待つことにします。


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posted by DONA at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:横山秀夫
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