2015年02月03日

パトリック・デウィット「シスターズ・ブラザーズ」

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 パトリック・デウィット 著
  茂木健 訳
 「シスターズ・ブラザーズ」
 (創元推理文庫)


粗野で狡い兄・チャーリー。普段は優しいが、キレると大変なことになる弟・イーライ。悪名とどろく凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ。ゴールドラッシュに沸く狂乱のアメリカ西海岸で、兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何か失うのか? 世界の読者に衝撃を与えたブラッディ&ブラックな傑作、文庫化!−裏表紙より―


本屋さんで平積みされているのを見て興味を持ち、「本が好き!」で献本申し込みしました。


まず表紙のインパクトにやられました。銃を構えている2人の姿と見せかけて、実は背後に髑髏! よくできた表紙ですよね。内容にもぴったり合っています。

古い時代の西部劇的な話で、馬に乗って旅をしたり、銃で決闘したりするような内容になっています。凄腕の殺し屋、シスターズブラザーズという兄弟の物語で、弟・イーライが語る方法で話が進められていきます。

そのせいで、弟が兄のことをどう思っているかはよくわかるのですが、兄・チャーリーが弟のことをどう思っているのかはわからないままでした。とりあえず「かわいい奴め!」的な感情をもっているのはわかりますけど。

この2人が雇い主である“提督”に命令された仕事(もちろん暗殺)をこなすために、サンフランシスコまで旅をするその道中から描かれています。旅の間にもさまざまな人物と出会い、次々と殺害し(!)事件を巻き起こしていく兄弟。

やたらと人は死ぬし、すぐにキレるし、読んでいて顔をしかめたくなる描写も多いのですが、なぜかこの2人は憎めないんですよね・・。

イーライに至っては、実は良い奴なんじゃないか?と思ってしまうほどでした。まあ実際にはサラッと人を殺せる奴なんですけどね。でも兄のチャーリーよりは人間味はありました。


この旅で兄弟が何を感じて何を手に入れて、何を失うのか?がテーマになっていて、最後には良い物を(再び)手に入れることができたので、救われました。

彼らのその後の人生を読みたいと思いましたが、冷静に考えてみるとこれで終わって良かったような気もします。この先の人生はきっと物語にするほどにもない平凡で平和な、ある意味とても幸せな人生になるはずですから。


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