
遠藤彩見 著
「給食のおにいさん 進級」
(幻冬舎文庫)
「味より栄養」という制約だらけの給食作りに反発しながらも、やりがいを感じ始めた元一流シェフの宗。そんな時、学校で生徒の居眠りや優等生の登校拒否が問題に。給食で彼らを助けたい!と奮闘する宗に、なぜか栄養士の毛利は「君は給食のお兄さんに向いてない」と冷たく言うが・・。「おかわり」の声に応えて、人気作が待望のシリーズ化!−裏表紙より−
「給食のおにいさんをする」と覚悟を決めたかのように思われた佐々目ですが、まだまだ悩みは多いようで、毛利からは冷たい言葉を何度も浴びせられてしまいます。
それでも、前作よりはプライドはかなり低くなり、いちいちつっかかる言動は減ってきました。「子どもたちのために」という思いも強くなってきたようです。まあ、佐々目の思いなんて、毛利に比べればまだまだなんですけどね。
毛利がどうしてここまで“給食”にこだわるのか?も少し語られて、彼の努力が報われる日がいつか来れば良いと思いました。この学校だけがうまくいっても、全面的な解決にはならないでしょうが、何事も少しずつ、一歩ずつ・・・。
今回は、給食の時間にいじめられる生徒の話が描かれています。そのいじめ方は陰湿で、読んでいて不快になりました。なんか、いじめ方が巧妙になったんだか、逆に幼稚になったんだかわかりませんが、先生にバレないようにしようという努力をするところはかなり嫌な感じです。
せっかく美味しい給食を作っても、楽しく食べられないと意味が無い!・・ということで、佐々目や毛利、そして先生たちも何とかしようと立ち上がります。
1作目ではほとんど出てこなかった生徒の親、つまり保護者のみなさまが、少しですが登場しました。給食が絡んでいない場面でも、教師の大変さも浮き彫りにされ、子どもを教育する立場って本当に大変だと思わされました。
給食だけでここまで問題が解決するか!?と思われるような安易な展開ではあるのですが、それでも解決していくことが心地良かったです。いじめられている子どもに笑顔が戻ると、小説の中とはいえ、本当にうれしくなります。
現実の世界でもうまく解決して、たくさんの笑顔が見られたら良いですね。
さて、次は「卒業」という題名が付いています。佐々目は給食のおにいさんを堂々と卒業していくのでしょうか?楽しみです。
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