
吉永南央 著
「名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ」
(文春文庫)
小蔵屋を営むお草は、新聞記者の萩尾の取材を手伝って以来、萩尾と、彼のライフワークである民俗学の師匠・勅使河原、その娘のミナホのことが気にかかっている。15年前のある〈事件〉をきっかけに、3人の関係はぎくしゃくしているらしいのだ。止まってしまった彼らの時計の針を、お草は動かすことができるのか。好評第3弾!−背表紙より−
前作を読んでから1年半くらい経っているので、主な登場人物以外は忘れてしまっていて、これは誰だろう?と悩みながら読み進める感じでした。
特に萩尾と勅使河原先生の2人は誰??状態でした。前回も出てきたんでしょうね・・。
今回も連作短編になっていて、1話毎に違う事件が起きるのですが、ずっと萩尾やミナホ、勅使河原の関係は続いていきます。お草さんは何だか今までよりもパワーダウンしたような気がしました。
今までならもっと早く踏み込んで、突き放して、お草さんの想いを伝えて解決していたと思うのですが、今回はとても奥ゆかしいというか、おとなしくて遠くから見守っていることが多かったです。
まあ確かにむやみに踏み込んで行ってどうにかなる問題でもなかったわけですけどね。
今現在起きた事件ならば、お節介を焼いて解決できますけど、今回の場合は過去の話なので、さすがに難しかったようです。読んでいても3人の気持ちがすれ違っているのがもどかしくて、イライラする所もありました。
こんなにすれ違っているなら近くにいなければいいのに、とても近くにいる人たち。わだかまりはあってもやはりお互い気にかかる存在のようです。
人の気持ちって複雑でややこしいですね。読みながらそんなことを考えてしまいました。それは年齢を重ねても解決していかないことなのかもしれません。
今回は店員の久実ちゃんの活躍があまり見られず残念でした。次ではもっとパワフルに活動してもらいたいです。そして、元気なお草さんにまた会いたいです。
<紅雲町珈琲屋こよみシリーズ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
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