
愛川晶 著
「三題噺 示現流幽霊」神田紅梅亭寄席物帳4
(創元推理文庫)
病に倒れ高座から離れていた六代目山桜亭馬春の復帰独演会までいよいよ一カ月半となったところで、師匠がネタ出ししたのは『海の幸』という噺だった。亮子ところか福の助やお席亭、落語界の生き字引きも首をひねるばかり。実はこの噺、晩年の彦六が最後に演じる予定だった、誰にも内容がわからない謎の噺で・・・。落語を演じて謎を解く!本格落語ミステリ集。―裏表紙より―
「多賀谷」「三題噺 示現流幽霊」「鍋屋敷の怪」「特別編(過去)」の4編収録。
前作のあとがきで「第一期の最終巻」と書かれていたのがこの作品です。「第一期の」ということは、まだ第二期、第三期と続いてくれるのかな? 期待してしまいます。
第一期の最終巻らしく、華々しい終わり方をしました。「鍋屋敷の怪」は、号泣しながら読み終えました。どんでん返しも多くて、福の助や亮子と一緒に騙されてオロオロさせられたのですが、とにかく最後に馬春師匠の落語が聞けて良かったです。
もう聞けないかと思ったけど、無事に聞けて良かった!と思ってしまった私。どれだけこの話の中に入り込んでいるんだか・・。冷静になると呆れてしまいます。
馬春師匠を想う、弟子たちや、奥さんの気持ちを考えると涙なしでは読めませんでした。本当に良かったです。
「特別編」も面白かったです。馬春師匠の若かりし頃の話になっていて、今はどっしりとした雰囲気のある師匠も、若い頃は色々あったんだと思うと更に好感がもてました。
「多賀谷」と「三題噺」はミステリーらしく、謎解きも楽しめました。
福の助の成長もめざましく、落語が絡むとより男らしさを増してキリッとしています。彼の今後の活躍も楽しみですし、師匠が本格的に復帰するのか、復帰した後はどんな落語を聞かせてくれるのか、色々と楽しみになってきました。
続きも楽しみに待ちます。
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