2025年03月27日

坂木司「ショートケーキ。」

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 坂木司 著
 「ショートケーキ。」
 (文春文庫)


やりきれないことがあるたびに、友だちと食べるケーキの味は格別(『ホール』)。バイト先でケーキを買ってくれる天使たち。その素顔と理由は(表題作)。経理で不機嫌そうな表情の彼女が、唯一笑顔を見せる瞬間を見てしまい(『騎士と狩人』)。特別で、でもいつも変わらずおいしいショートケーキをめぐる連作集。−裏表紙より−


「ホール」「ショートケーキ」「追いイチゴ」「ままならない」「騎士と狩人」の5編収録されている連作短編集です。


子どもの頃、「ショートケーキ」というのはホールケーキを8等分などにカットしたケーキのことだと思っていました。本当はイチゴの乗ったスポンジケーキのことだったんですよね。だったらなぜ「イチゴショート」というのかは謎ですが。

でもショートケーキと聞いて、イチゴの乗ったケーキを思い浮かべるのは日本人だけだとか。名前の由来は諸説あるそうですが、簡単に短い時間で作れるケーキだからということのようです。この本だけで色々調べてしまいました。


この作家さんの連作短編は面白いです。3話くらいまでしっかりつながりがあって、1話目に出て来た人や場所が2話目には別の人物の目線ですが出てきて、3話目も同じくつながっているのに、4話目になると急に誰の話?つながりが急になくなるのね、となります。でも最後まで読むと、3話目に出て来た人がちらりと登場というか「こういう人がいたんだよ」的に語られて、おーつながりあった!と嬉しくなります。

そして最後の話は2話目に関係がある人物の話になっていたりして、主役だった話では分からなかった人物像が見えてきたり、他の人から見たらこういう風に見えているんだとわかったりしてより楽しめます。


全ての話が面白かったのですが、特に気に入ったのは「ままならない」です。これだけがちょっと系統が違う話ではあります。ただ、ケーキにまつわる部分もあって全くつながりがないわけではないのが良い感じ。

母親になるということは、幸せで楽しいことだけれど、孤独を感じたり、自分の時間が無くなることにストレスを感じたりします。そんな生活を送っている3人の母親たちが、今自分がやりたいことを叶えるという内容です。

それぞれの子どもたちをお互いに見ながら、1人ずつちょっとした休暇をとります。ささやかなぜいたくが本当にささやかで、しかも1人になると子どものことばかり考えてしまう母親の様子がほほえましかったです。

母親って偉大ですし、子どもって不思議な存在ですね。



ケーキって小さい頃から特別感があって、見た目も可愛いし魅力的に感じていました。でも思い返してみると実はそれほど食べるのは好きではなかったのかな?と思います。見るだけで充分というか、食べ始めると半分くらいで何となく要らないなと思っていました。食べきりますけどね。今でも並んでいるケーキを見るのは好きです。食べなくても良いけど「美味しそうだな」とは思います。

ケーキって私にとっては芸術品みたいなものかも。


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posted by DONA at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:坂木司

2025年03月11日

浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」

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 浅倉秋成 著
 「六人の嘘つきな大学生」
 (角川文庫)※電子書籍


成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。−出版社HPより−


様々な賞を受賞した話題作だそうです。映画化もしたそうですね。この原作を買ってから電車の吊り広告で知り、流行りに乗っかったみたい!と苦笑。配役は見ないようにして読みました。

読み終わって、どの登場人物も俳優さんの顔が浮かばなかったです。若い役者さんがわからないのが大きな理由でしょうけど、これを映像化しようと考えたのが不思議でした。

始めの事件が起きた部分を含め、どうやって映像にするんだろう? ある種のミスリードが面白いのに、映像で見たらミスリードも何もないと思うんですが。

気になるなら映画を見たら良いのでしょうけど、そこまで思い入れはないので見ないと思います。


個人的に就活というのを経験していないので、ここまで必死になるものなのかと、そこは面白かったです。だいたい、最終選考まで残った6人でチームを作れという無理難題にも驚いたのに、やっとチームが機能してきたと思ったら今度は「やっぱり1人だけ雇いますわ」って!

しかも、みんなで話し合って誰が就職するか決めてね!っておかしすぎです。私だったら「もう結構です」って帰ると思うのですが、せっかくここまで来たし・・と考えるのもわからなくもないです。

カメラが設置された閉ざされた空間での話し合い、というか蹴落とし合いが始まったと思ったら、6通の封筒が発見されます。それぞれの名前が書かれた封筒に入っていたのは、それぞれの過去の罪を告発した文章や写真でした。


誰がその封筒を置いたのか? それぞれ犯した罪の内容も衝撃的で、どこまでが真実なのかもわからず、疑心暗鬼にかられる6人。

罪が告発された人から脱落していく状態で話し合いが続き、最終的にどんな結末を迎えるのだろう?と気になりながら読み進めました。

・・が、読むスピードはあまり上がらずでした。

まず、就活で一つの会社に対してそこまで思い入れることが出来るんだろうか?と疑問でしたし、初対面に近いのに恋心が見え隠れするのも好きではないですし、何より登場人物たちが特徴がありそうなのにあまり掴み切れなかったのが読みにくい原因だとは思います。

名前があっても常に「誰だっけ?」と戻るような状態が続いたのがしんどかったです。

最終的に誰が仕掛けたことだったのかも、誰が採用されたのかもどうでもよくなっていました。

名前とキャラクターが一致しなくて困る、ということは映像を見た方が良いのか??


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タグ:浅倉秋成

2025年03月03日

2月のまとめ

オフマイク (集英社文庫)オフマイク (集英社文庫)
一つの番組を必死で守ろうとする姿勢は素敵でした。こんな時代だからこそ余計にそう思います。事件は意外とあっさりと終わりましたし、何だか非道な奴みたいに描かれている人に拉致された割には特に何もされず、というのは違和感ありましたけど、暴力シーンが欲しいわけではないのでまあいっかという感じです。
読了日:02月05日 著者:今野 敏


魔女の娘 (メディアワークス文庫)魔女の娘 (メディアワークス文庫)
題名の通り、魔女の娘なのですが実は魔法が使えない少女。魔法をレンタルして魔法学校に入学するというお話。設定は面白かったのですが、主人公はあまり好きになれず。でも内容は最後まで飽きずに読めました。続く・・という感じで終わっていますが、続くのかな?
読了日:02月13日 著者:冬月いろり


北町同心 一色帯刀 (角川文庫)北町同心 一色帯刀 (角川文庫)
視点がコロコロ変わるのでちょっと読みづらいことがありましたが、内容的には面白いとは思います。あっさりしすぎな気はしますし、登場人物たちがキャラがあるような無いような微妙さがありました。主人公も堅物なんだろうけどそこまで堅物感が出ていませんでした。
読了日:02月19日 著者:喜安 幸夫


【小説2巻】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第一部「兵士の娘2」【小説2巻】本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第一部「兵士の娘2」
1巻からかなり間が空いての読書となりましたが、アニメも見ていたのですぐに世界観に入ることが出来ました。相変わらず色々知識が多いマイン。もし私がこんな状況になっていたら何も出来ずに喰われて無くなるだろうと思います。紙が作りたくても作り方を知りませんし、料理や簡易シャンプーも何で出来ているか知りませんから。何となく先まで知っていますが、原作はどんな風に描かれるのか楽しみなので読み進めます。
読了日:02月27日 著者:香月美夜



全部で4冊。もっと読んだ気がしていましたが、1冊なかなか読み終わらないのがあったので仕方ないかな?

久しぶりに読んだ「本好きの下剋上」は面白いです!

posted by DONA at 15:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ