2024年11月28日

近藤史恵「シャルロットのアルバイト」

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 近藤史恵 著
 「シャルロットのアルバイト」
 (光文社文庫)


雌のジャーマンシェパード、七歳、元警察犬のシャルロットは、ふとしたことから犬のようちえんで子犬と遊ぶアルバイトをすることになった。優しい先生と子犬たちは仲良くすごしていたが、そのドッグスクールには不穏な噂があった。「ここのせいで犬が死んだ」と・・。(表題作)すべての犬好きに贈るハートウォーミング・コージーミステリー第2弾!−裏表紙より−


表題作のほか、「迷子の王子」「謎のお向かいさん」「失くなった迷子札」「天使で悪魔とシャルロット」が収録。


シリーズ2作目。

前回もそうでしたが、今回もずっとシャルロットのことをゴールデンレトリバーだと思ってしまっていました。何度もシェパードだと記述があるのですが、性格がフレンドリーで可愛すぎるのでつい。

まあ何犬でも問題はないんですけどね。

元警察犬ということでかしこさもありますし、もうすっかり大人なので落ち着きもありますが、たまには不満を爆発させることもあります。


今回のシャルロットはいろんな犬と関わることになります。自分の家にも2回犬を預かることになりますし、ドッグスクールで働くことにもなり、そこでもたくさんの犬とあそぶことになりました。


預かった犬たちはどちらもやんちゃな感じでシャルロットはかなり振り回されています。犬自体はかわいらしくて良いのですが、やはり飼い主次第で運命というか、犬の生活は変わるわけで、どんな人間が関わっていくかが大きな問題です。

飼い主となる人たちの問題や隠し事などを、シャルロットの飼い主である夫婦が解決していきます。

殺人などの大きな事件があるわけではないですが、すべての話に謎があって、ただ犬の日常を読む以上に楽しめます。


ちょっと濃い目のミステリを読んだ後などの口直しにもちょうどいいと思います。

シリーズもっと続いてほしいな。期待して待ちます。


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2024年11月25日

伊吹有喜「彼方の友へ」

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 伊吹有喜 著
 「彼方の友へ」
 (実業之日本社文庫)※電子書籍


老人施設でまどろむ佐倉波津子に小さな箱が渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった―戦中という困難な時代に情熱を胸に歩む人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描ききった感動傑作。巻末に書き下ろし番外編を収録。第158回直木賞候補作。−出版社HPより−


この作家さんは結構好きで読むのですが、好きなタイプの作品と、そうでもない作品があるのが難点。

この作品は、あまり面白いと思えずでした。

苦手な時代の話だというのもあるのでしょうが、ちょっとウジウジした男女の話が絡むとどうしても読みにくく感じてしまいます。

しかも、読み終えてから日にちが経ちすぎて忘れている部分も多いので感想が難しいです。


戦争中の日本が描かれています。ただ、爆撃されるような場面は一度しかありません。男性が出兵する様子はよく描かれているので、そこは辛いですが。

描かれているのは、戦時中の雑誌社です。そこで働くことになった佐倉波津子の人生が中心に描かれています。

彼女は「乙女の友」という雑誌に憧れているけれど、おしゃれは苦手な女の子(といってもいいくらいの若さ)。
ある事情で「乙女の友」を作っている雑誌社で働くことになります。・・が、うだつの上がらない彼女を見て、編集者たちは呆れて、というか無視に近い状態の態度をとりました。

女性誌の編集者といえば、戦時中とはいえある程度おしゃれな人が多い中で、おしゃれの出来ない女性が来ても確かに相手にされなさそうではあります。

もちろん編集などの経験もなく、文章力も芸術力もないとくれば仕方ないです。


そんな彼女がどのようにして「乙女の友」と関わり、どうやって雑誌を仕上げていくのか。そして、彼女を含む社員たちの人生が描かれていきます。

戦時中に雑誌を作ることの大変さ、何より女性が社会で活躍する大変さ、読んでいて苦しい場面も多かったです。


しかし、雑誌って今も昔も読むことないからわかりにくいところも多かったですが、カラー写真が使えない時代は今よりももっと大変だったでしょうし、ページを埋めるセンスがかなり必要だっただろうと思うと、その時代に作っていた人を尊敬します。

昔の雑誌、ちょっと見てみたい気がします。


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2024年11月13日

砂原浩太朗「いのちがけ 加賀百万石の礎」

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 砂原浩太朗 著
 「いのちがけ 加賀百万石の礎」
 (講談社文庫)※電子書籍


加賀藩の祖・前田利家が流浪した若きころから大名になった後まで付き従った、股肱の臣・村井長瀬。桶狭間、長篠、賎ケ岳・・名だたる戦場を駆け抜け、利家の危難を幾度も救う。主君の肩越しに見た、信長、秀吉、家康ら天下人の姿。命懸けで忠義を貫き通し、百万石の礎を築いた男を、端正な文体で魅せる傑作。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

読みやすい文章だったのですが、長すぎてなかなか読み終わらず。壮大な話だったな〜と思ったのですが、実は短い期間の、狭い場所の話なんですよね。


前田利家って名前はよく知っていますし、戦国時代の小説やドラマなどでも必ずと言っても良いほど登場する人物ではありますが、はっきり言って誰の家臣だったのかも、どんな人物だったのかも知りませんでした。

戦国時代は結構好きなんですけど・・


そんな、名前は知ってるけど何をやってるかは知らない、前田利家の家臣・村井長瀬の人生が描かれています。人生と言っても、すでに利家の家臣になっているので幼少時代は出てきませんが。

彼の目を通して、前田利家がどんな人物なのか?が描かれていきます。

始めは織田信長の家臣でしたが、どうやら破門されたようです。それには理由があって、確約があるわけではないですが、いずれ家臣に戻れる状態でした。でも村井からすれば、本当に戻れるのか?と不安になる程度の約束で、彼は心配でたまりません。

この時代はいかに戦で功績をあげるか?で出世が決まるので、利家は家臣と共に大将首をとったり、信長の元へいち早く駆けつけたりすることでアピールをしていました。

普通であれば、功績をあげなければ!と野心むき出しにして必死で戦うものでしょうが、利家は静かな闘志というか、闘志すら見せないような穏やかな人物に思えました。でも実際には戦の腕も高く、志も高く、家臣に対しては優しくも厳しいというなかなか魅力的な人物で、村井が惚れるのもよくわかる人でした。

この時代の武士らしく、多くを語らないので、実際の思いはどうなのかわかりませんが、ただ主君のために、家臣の為に、と必死で生きていたようです。


信長亡き後は、秀吉に、家康に・・と多くの武士と同じ道を辿っていきます。武士としての人物像はもちろん、時代の流れもしっかり見て、どちらに付くのかを冷静に考えることも出来るようです。


なかなか魅力的な人物なのだと思えた利家。今後はもう少し注目していきたいです。


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タグ:砂原浩太朗

2024年11月08日

西條奈加「婿どの相逢席」

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 西條奈加 著
 「婿どの相逢席」
 (幻冬舎文庫)


小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、大店の仕出屋『逢見屋』の跡取り娘・お千瀬と恋仲になり、晴れて婿入り。だが祝言の翌日、大女将から思いもよらない話を聞される・・。与えられた境遇を受け入れ、陰に陽に稼業を支える鈴之助。”婿どの”の秘めた矜持とひたむきな家族愛は、やがて遭見屋に奇跡を呼び起こす。直木賞作家、渾身の傑作人情譚!−裏表紙より−


お気に入りの作家さんなので読みやすかったです。

鈴之助の柔らかくて人当たりの良いキャラクターが素敵で、ある意味空気を読めない感じも羨ましくて、ずっと優しい空気が流れていると思えたのは彼の存在のお陰かと。


この時代に女性ばかりで店を切り盛りするのは大変なことだと思います。でも、なぜ女性が継ぐことになったのか?を知ると激しく納得してしまいます。確かに女性が店を切り盛りする苦労を上回りそうです。

この店の男性はただひたすら「旦那」として存在し、跡取り娘を産ませるだけが仕事であり、存在意義です。

つまり店に出ることはなく、奥にいてやることもなくぼんやり日々を送っていくのみ。

働かなくて食べていけるなんて、すごく素敵じゃん!と思える人もいるでしょうが、きっと人は誰かに頼られないと生きていけないものなんだろうと思うので、「何もしなくていい」と言われるとものすごく虚しくなるものなのでしょうね。

お陰で義父は本当に抜け殻のような、何も考えていないような雰囲気の人でした。でもまあそれは後々変わってはくるのですが。


鈴之助は「何もするな」と言われても黙っていられないタチだったので、あれこれ口を出したり、行動を起こしたり、何となく忙しく日々を過ごしています。鈴之助の場合は妻であるお千瀬が頼ってくれるのでかなり救われているのもあります。

義母や大女将、妻の妹たち。4人からの攻撃はなかなかのものですが、持ち前の明るさで乗り切る鈴之助が素敵でした。


女性だけでは難しい経営面や周りからの嫌がらせ、客の問題など、様々な事件というか出来事があるので、鈴之助も活躍していきます。彼の人柄の良さで解決することも多々あり、ちょっと辛い話も明るく終わってくれました。


これはシリーズ化しても良さそうですがどうかな? 大きな問題は片付いた感もあるので微妙ではありますが、店で巻き起こる様々な出来事を解決していく物語として続けられそうでもあります。

楽しみに待とうかな。



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2024年11月05日

買った本

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 砂原浩太朗 著
 「いのちがけ 加賀百万石の礎」
 (講談社文庫)※電子書籍


これもセールで購入。内容思い出せるかな??


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 近藤史恵 著
 「シャルロットのアルバイト」
 (光文社文庫)


気に入っているシリーズ。続きもあるのか?


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 西條奈加 著
 「婿どの相逢席」
 (幻冬舎文庫)


お気に入りの作家さんなのですぐに購入しました。


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 伊吹有喜 著
 「彼方の友へ」
 (実業之日本社文庫)※電子書籍


時々読んでいる作家さん。面白い作品もありますが、これは表紙絵から想像できるのとは内容が違って重かったです。

2024年11月01日

10月のまとめ

モダンタイムス (Morning NOVELS)モダンタイムス (Morning NOVELS)
読み終わるのに時間がかかってしまいました。暴力シーンが多いのと登場人物が変に多いのとが原因かな?と。最後まで読んでも結局、なぜ彼らがそんな目にあったのか理解できずでした。特に死んでしまったことは納得できず。犯罪も細分化したら罪の意識が薄れるのはなるほど、ですがそれにしても。結局何が言いたかったのか?色々言われているのはわかりますが、入ってこなかったな。
読了日:10月12日 著者:伊坂 幸太郎


首取物語 (徳間文庫)首取物語 (徳間文庫)
よく見るとなかなか怖い表紙絵ですね。中身はずっしり重め。生きるとは、正義とは、色々なことを考えさせられました。結局彼らはどうなっていくんだろう?終わりのない旅もいつかは終わりがくるのか?
読了日:10月17日 著者:西條奈加


あの日、松の廊下で (文芸社文庫 し 6-1)あの日、松の廊下で (文芸社文庫)
これが事実だとしたら、吉良に対しても、あの有名な事件に対しても見方が変わります。殿中であんな事件を起こしたのですから、当然胸中それなりの強い思いがあったのでしょうけど、ここまですれ違ってしまうとね・・・。大石に対しても見方が変わってしまいます。歴代のドラマではヒーロー扱いですからね。彼にも非があったわけか。本当はどうだったんだろう?今後も明らかにはならないのでしょうけど、知りたくなりました。
読了日:10月22日 著者:白蔵 盈太


時をかける眼鏡 宰相殿下と学びの家 (集英社オレンジ文庫)時をかける眼鏡 宰相殿下と学びの家 (集英社オレンジ文庫)
今回はほぼアスマの医学の知識は関係ない感じでしたけど、こちらの世界での知識というか常識を伝えることが出来て存在意義があったかな?と。「学ぶ」ことの重要性や当たり前に「学ぶ」ことが出来ている自分の境遇のありがたさに気づける巻でした。それにしても先生の境遇も辛いな・・。せっかく守られた命なのにそれがマイナスになるなんて。
読了日:10月26日 著者:椹野 道流,南野 ましろ



全部で4冊。1冊ずつに時間がかかりすぎでした。特に「モダンタイムス」は長かったな・・。読み終わるだろうか?と不安になるほどでした。

posted by DONA at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ