2024年09月20日

近藤史恵「たまごの旅人」

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 近藤史恵 著
 「たまごの旅人」
 (実業之日本社文庫)


念願かなって海外旅行の添乗員になった遥。風光明媚なアイスランド、スロベニア、食べ物がおいしいパリ、北京・・異国の地でツアー参加客の特別な瞬間に寄り添い、ひとり奮闘しながら旅を続ける。そんな仕事の醍醐味を知り始めたころ、思わぬ事態が訪れて―。ままならない人生の転機や旅立ちを誠実な筆致で描く、ウェルメイドな連作短編集。−裏表紙より−


お気に入りの作家さんなので、どんな内容なのか知らないまま読みました。

添乗員の奮闘物語でした。連作短編で読みやすかったです。

旅好きな人なら、これを読んだら海外旅行に行きたくなるのでしょうか? 私は基本的に旅行は行きたくないので、添乗員に憧れる気持ちは全く理解できずでした。

何度か行った旅行では添乗員さんがついてくれていたので、その仕事の大変さは何となくわかります。自分は我が儘を言った覚えはないですが、グループ内には我が儘というか、時間にルーズだったり、別行動をとろうとしたりする人はいたので、その度に添乗員さんが傍に行って対応していたのは思い出します。

看護師さんや介護士、保育士などの福祉関係の仕事にも似ている部分がありますね。

本当に頭が下がります。

ただ海外が好き、旅行が好き、だけでは絶対に続けられない仕事です。


この作品の中にもたくさん問題を起こすお客さんが登場します。ただ単にその国が好きだからというだけで旅行しているのであれば良いのですが、それぞれ事情を抱えているので大変です。

見たい物、やりたいこと、人それぞれですから。天候などにも左右されてしまうこともあるので、添乗員さんに文句を言っても仕方ない所はありますが、何度も来れるわけではないから、つい言いたくなるのもわかりますが。


最後の話ではコロナが発生して海外に行けなくなった時期のことが描かれています。旅行会社も添乗員も大変だったでしょう。それでも前向きに仕事をしていこうとする姿はとても素敵でした。

今後、添乗員付きで旅行に行くことがあるか?はわかりませんが、そうなったら我が儘は言わずにひっそりと真面目に付いて行こうと思います。


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2024年09月13日

今野敏「秋麗 東京湾臨海署安積班」

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 今野敏 著
 「秋麗 東京湾臨海署安積班」
 (ハルキ文庫)


臨海署近くの海で遺体が発見される。身元は、かつて特殊詐欺で逮捕された戸沢守雄という七十代の男だった。捜査員たちが、遺体発見の前日に、被害者と釣りをしていた猪狩と和久田という男性に話を聴きに行くと、二人とも何かに怯えた様子で、その後、消息が途絶えてしまう。一方、刑事の水野は、東報新聞の記者山口に、先輩記者からセクハラを受けていると相談される・・・。男は人生の終盤で何故殺されたのか。ロングセラー「安積班」シリーズ、巻末に刊行記念インタビューを加え、待望の文庫化。−裏表紙より−


大好きなシリーズ。今回は長編でした。

長編は読みごたえがあって面白いのですが、どうしても事件が大きくなってしまい、捜査本部が出来るので、安積班のメンバーの存在が霞んでしまうのが残念というか、寂しい気がします。

須田と水野は安積の近くにいて、活躍は読めたのですが、他のメンバーはほとんど出てこないんですよね。それが残念です。


今回のテーマは「老い」とか「老後」とかそういう感じでしょうか。被害者は70代、直前に行動を共にしていた人たちも70代。この歳になって殺害される理由は何なのか?

犯人の動機は全く理解不能でしたし、くだらない物でしたけど、被害者側にも非はあるとは思いました。穏やかな老後の生活に、ちょっとしたワクワク感をプラスしたいのはわかりますが、犯罪はダメでしょう!

他に何かなかったの?とは思います。でも殺されるほどではないですけどね。


捜査本部に入っていませんでしたが、詐欺事件の捜査で協力した葛飾署の係長が良い味を出していました。彼を主役にした作品も描けそう。口調は優しいですが、決める所は決める、という感じで安積班長と似ている所もあってかっこよかったです。


そして、いつも関係ないのに首を突っ込んでくる速水も相変わらずバシッと決めてくれました。事件解決後もカッコいい一言があって、やはり彼も素敵です。今後も活躍してくれるでしょう。


事件以外に、水野が記者の山口から相談をされていることも取り上げられています。先輩記者からセクハラを受けているとか。どうやって解決させるのかと思えば、何ともくだらない理由でこの部分はいただけないと思いました。

安積班長が言うように、他にやり方があったでしょう!?としか思えず。「女性は女性であることを、若者は若さを、年配者は経験や人脈を武器にすればいい」というのはよくわかりますが、「女性であることを武器にする」方法が間違えていると思います。まあそれくらいしないと良い記事は書けないのかもしれませんが、色仕掛けでネタを取るのは違う気がします。


事件自体の解決もあっさりしていて拍子抜け感ありますし、セクハラ問題についても「あ、そうですか」って感じですが、このシリーズはそこがメインではないのでこれで良いと思いますし、今回も面白かったなとしみじみ感じます。

まだまだシリーズ続けてもらいたいです。


<安積班シリーズ>
「二重標的」
「虚構の殺人者」
「硝子の殺人者」
「警視庁神南署」
「神南署安積班」
「残照」
「陽炎」
「最前線」
「半夏生」
「花水木」
「夕暴雨」
「烈日」
「晩夏」
「捜査組曲」
「潮流」
「道標」
「炎天夢」
「暮鐘」


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2024年09月10日

買った本

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 近藤史恵 著
 「たまごの旅人」
 (実業之日本社文庫)


お気に入りの作家さんなので文庫化されたらすぐ購入。


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 宇野碧 著
 「レペゼン母」
 (講談社文庫)※電子書籍


これもサイトでセールしていて、感想を読んだら面白そうだったので購入。


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 今野敏 著
 「秋麗 東京湾臨海署安積班」
 (ハルキ文庫)


大好きなシリーズ。文庫化を待っていました!

2024年09月06日

池井戸潤「シベリアの陰謀」

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 池井戸潤 著
 「民王 シベリアの陰謀」
 (角川文庫)


「新種のウイルスだそうです」第二次内閣を発足させた総理大臣・武藤泰山のもとに驚愕の報せが飛び込んだ。人を狂暴化させる謎のウイルスに、内閣最大の目玉であるマドンナこと高西麗子環境大臣が感染したというのだ。しかも感染源はシベリアとの情報が。急速な感染拡大、陰謀論者の台頭で混乱に陥った日本を救うべく、泰山はバカ息子の翔、秘書の貝原と共に見えない敵に立ち向かう!笑撃の政治エンタテインメント、待望の続編。−裏表紙より−


数年前に猛威を振るった(今も続いていますが)新型コロナウィルスを思い浮かべてしまう題材です。


初めて国内で確認された時、現実の政治家もこんな風に考えていたのか?と思うと、情けなくなります。

その中では、総理大臣はしっかり考えてくれているなと思えましたが、現実ではどうだったのか? そこはわかりませんが、この作品ではいち早く専門家を呼んで話を聞いて精査して、自分の責任の下で国民に自粛を要請していました。

ここまで考えてくれるのであれば、着いて行こうか?と思えます。


ただ、総理大臣がしっかり考えて行動していても、周りの政治家が止めに来るんですよね。派閥や後援者たちの思惑があるので、気持ちはわからなくもないですが、国民の健康の心配よりも保身ばかり考える人が政治家で良いのか?と腹が立ってきます。

現実の日本もこんな感じだったんだろうと思うと情けなくなります。よく乗り切ったものです。


しっかりした総理大臣の息子なのに、何とも考えの浅い息子・翔も一応活躍しますし、彼なりに正義感が強くて面白いです。言動がどうにも軽くて好きになれないキャラですけど、意外とこういう人が国を動かすと良いのかもしれないとも思います。

結構、何を言っても許されるかも??


秘書たちも良いキャラですし、彼らの活躍がまた読んでみたいです。続編出るかな?



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2024年09月04日

今村翔吾「蹴れ、彦五郎」

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 今村翔吾 著
 「蹴れ、彦五郎」
 (祥伝社文庫)※電子書籍


駿河今川氏の家督を継いだものの、彦五郎氏真は隣国の圧迫に抗し切れず没落の一途を辿る。苦難の日々の中、氏真は近江の地で子どもたちの師となり、その未来に明るい光を見る。しかし、天下人・織田信長は、氏真が心通わせた子らを殺害。蹴鞠の名手である氏真が信長に見せた、最後の意地とは・・(「蹴れ、彦五郎」)小田原征伐で奮戦した北条氏規を描いた「狐の城」、信玄が廃嫡した武田義信の苦悩の物語「晴れのち月」、江戸を築いた太田道潅を綴る「瞬きの城」など、珠玉の八編を収録。−出版社HPより−


短編集とは知らずに読み始め、1話目の彦五郎のことが気に入ってしまったので、話が短くて残念でした。

題名から想像できるように、彦五郎は蹴鞠の名手です。普段は温和で争いごとが苦手な優しい人物で、鞠を蹴るのが唯一の楽しみという感じなのですが、実は県農でもすごい、という映像化したら面白そうな人物です。

戦国時代の只中、武士として生まれたら武士として生きる以外に道がない時代。そんな時代に生まれなければもっと違う人生があったのかもしれないとしみじみ思わされました。

彼のような人物が世の中を動かしていたら、今の日本も違っていたのかもしれないとも思います。権力を握ったら変わるのかもしれませんが。


他に印象に残っているのは「晴れのち月」という話。武田信玄を父に持つ義信の苦悩が描かれています。親が大人物だと子どもは苦労します。それは今の世の中でも同じですが。

この時代では一つの国を動かすことになるので、より比べられてしまうのは仕方がないですが読んでいて辛い部分がたくさんありました。

義信がどこか抜けているような人物だったら良かったのですが、父親に負けず劣らずの優秀ぶりだったので余計に辛い。

しかも父親からも怖れられる優秀さとくれば大変なのもわかりますよね。

この時代、肉親が肉親を殺害することも普通にあることで、大人物である父親からすれば、その身分を脅かす存在は消してしまいたいもの。

少し意見を言っただけで睨まれてしまうので生きづらいと思います。

彼も違う時代に生まれていれば、武田信玄という偉大な人物の元に生まれなければ、もっと力を発揮して天下をとっていたかもしれません。


どの話も短いながら読み応えはありました。

ただ、読み終わってから時間が経ちすぎて、すでに忘れ気味・・
また機会があれば読み直してみたいです。


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2024年09月02日

8月のまとめ

いのちがけ 加賀百万石の礎 (講談社文庫 す 49-1)いのちがけ 加賀百万石の礎 (講談社文庫)
長すぎて時間がかかりました。かなり壮大な話に感じましたが、実は狭い場所の短い期間の話なんですよね。戦国時代の天下人の移り変わりの激しさは知っていましたが、それに振り回される周りの人たちのことはあまり知らず、その辺りの大変さが読めて良かったです。前田利家は名前くらいしか知らなかったので、こんなに魅力的な人だったとは。今度から注目しようと思います。
読了日:08月08日 著者:砂原 浩太朗


いつか、あの博物館で。: アンドロイドと不気味の谷いつか、あの博物館で。: アンドロイドと不気味の谷
題名から想像すると、もっとアンドロイドが全面的に出てきてアンドロイドが活躍する時代の話かと思ったら、がっつり青春小説でした。文体が軽く、文字も大きくサラッと読み切ることが出来ますが、内容は重め。中学時代の葛藤をそういえばそうだったな・・と思い出して少しですが苦しくなりました。
読了日:08月08日 著者:朝比奈 あすか


彼方の友へ (実業之日本社文庫)彼方の友へ (実業之日本社文庫)
読み終わるのに時間がかかってしまいました。面白くないわけではないのですが、時間が行ったり来たりするのと、時代背景が辛いのと、誰が誰やら・・という感じにもなってなかなか読み進められずでした。1度しか大きな被害には合っていないとはいえ、周りの人がいなくなることや質素倹約に努めないといけないことなど苦労が多く、その様子を読むのもしんどかったです。
読了日:08月23日 著者:伊吹 有喜


シャルロットのアルバイト (光文社文庫 こ 34-9)シャルロットのアルバイト (光文社文庫)
シャルロットのことをついラブラドールレトリバーのような犬だと思ってしまうのですが、どんな犬種であってもとにかく可愛いです。実物に会うと犬嫌いなので逃げるでしょうけど。ちょっとした謎解きもあってサラッと読めてしまえます。
読了日:08月28日 著者:近藤史恵



全部で4冊。長い時間かかってしまう作品が2つあったので余計に少ないです。他2作品は2日くらいで読み切っているんですけど。

先月は妙に気忙しくて感想も何も書けずでした。

今月からは少しずつ書かないと、そろそろ忘れそうです。
posted by DONA at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ