
中村ふみ 著
「砂の城 風の姫」
(講談社文庫)
天下四国は天より授かりし四つの国。元徐国王の風来坊・飛牙は、天令の那兪と共に代々女王が治める西の燕国へ。女王は夫を持たず、「胤」という存在により懐妊するという。飛牙は家出中の名跡姫・甜湘と知り合ったことから「胤」候補に。飛牙の前にいた二人の胤はすでに不審死。徐王の英雄は生き残れるのか。−裏表紙より−
1作目で完結した雰囲気はあったので読むか迷ったのですが、手元にあったので読んでみました。
表紙を見て想像はついたのですが、1作目の主人公であった徐国王だった飛牙が登場します。登場するというか、彼を中心にこのシリーズは進んでいくようです。彼のために犠牲となり悪魔になってしまった弟を救う方法を探す旅に出る話なのですから、当然ではありますが、それぞれの国でその国の王を主人公にしていくのも楽しそうだと思います。
それで、最終巻とその前くらいに再び飛牙の話を描いても面白そう。
そんなことを言ってもすでにシリーズは完結しているので仕方ないですけど。
2作目で描かれるのは燕国。この国の王は代々女性です。ファンタジーの世界でも女性が国を治めるのは珍しいそうです。この国の珍しい所は、女王であることだけではなく、女王が夫を持たないということと、懐妊する時も「天から授かった」的なことにするということです。
聖母マリアみたいですね。彼女は夫がいましたけど。
燕国では「胤」という存在の男性がいて、まあつまり女王を妊娠させる存在なわけですけど、生々しい部分は無しにしておきたいようなので、女王一人で妊娠して出産するということです。
「胤」は女王を妊娠させられなければ、追い払われ(拘束される)、妊娠させられても女の子を産ませられなくても追い払われ、うまく女の子を妊娠させられたとしても、そっと追放され(仏門に入る的な)ます。
「胤」に選ばれたら人生は終わると思った方が良いわけです。とはいえ、もし自分が次の女王を作ったということになれば名誉ではありますね。そんな名誉がいるかは微妙ですが。
次期女王となる甜湘は今までの伝統に対して疑問を感じている女性です。「胤」制度に対して反対している状態です。なので、「胤」候補としてあげられる男性と親密になろうとするのですが、なぜか彼らが殺害されてしまいます。
誰が何のために殺害するのか?彼らを死なせてしまったことを後悔し、誰が殺したのか?を調査しようとしている時に、飛牙が現れます。
この先の展開は何となく読めるでしょうが、とにかく色んな力を借りながらもさっくりと解決します。
解決するまでは良かったのですが、結末がどうも気に入りませんでした。旅立つのがわかっているのにその結末は・・・。個人的には好きではないです。
続きはどうしようかな? 何だかどうでも良いような気もしてきました。
<天下四国シリーズ>
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