2023年12月28日

今村翔吾「夏の戻り船 くらまし屋稼業」

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 今村翔吾 著
 「夏の戻り船 くらまし屋稼業」
 (ハルキ文庫)※電子書籍


「皐月十五日に、船で陸奥に晦ましていたたきたい」−かつて採薬使の役目に就いていた阿部将翁は、幕府の監視下に置かれていた。しかし、己の余命が僅かだと悟っている彼には、最後にどうしても果たしたい遠い日の約束があった。平九郎に仕事を依頼した将翁だが、幕府の隠し薬園がある高尾山へ秘密裡に連れて行かれる。山に集結した薬園奉行、道中奉行、御庭番、謎の者・・平九郎たち「くらまし屋」は、将翁の切なる想いを叶えられるのか!?続々重版中の大人気時代エンターテインメント、堂々のシリーズ第三弾。−出版社HPより−


久しぶりのくらまし屋。内容忘れたな・・と思っていても、読み始めたら色々思い出しました。


今回の依頼者は「採薬使」という役目に長年就いていた将翁。長年仕えて来たというのに、晩年になった彼を軟禁しようとしている幕府。実は薬に詳しい者たちを謎の集団が拉致するという事件が起きているのです。

確かに、脅されて将軍などを毒殺させようとされると困りますから、監視下に置きたい気持ちはわかります。でも、引退した人物を軟禁するなんて・・。命を取られないだけマシなのか。

幕府の監視下に置かれる彼をそこから脱出させ、しかも拉致しようと狙っている集団からも守らないといけないという大変な任務となりました。

しかも、「船で陸奥にくらましてほしい」という依頼。交通手段はともかく、場所も日にちも指定されているので、下見の時間も限られてしまいます。

平九郎の仲間たちが内偵を進めてくれて、何とか依頼をこなすわけですが、今回の敵はなかなか手ごわいです。

薬草の世界では有名で、しかも研究熱心だった将翁は狙われて当然の人物なので、強敵が彼を奪いに来ます。笑いながら人を殺していくというかなりおかしな人物が数人。怖すぎです。

腕に覚えのある人たちが将翁を守っていたのですが、そんな彼らでさえも命の危険を感じてしまうほどの強敵でした。たくさんの人を殺していく敵ですが、平九郎が何とか追い払って、将翁を船に乗せるとあっさり終了。

なぜ将翁が陸奥に行きたいのか?を語る涙のシーンではありますが、必死で襲ってきた敵たちのあっさりした引き方にちょっとがっかりもしました。何度も襲われても困りますけど何となく物足りなさも感じてしまいました。


きっと敵たちをまとめておいて、最後にドンとやっつけていくのでしょう。それを楽しみに追いかけることにします。


<くらまし屋シリーズ>
「くらまし屋稼業」
「春はまだか」 感想書き忘れ



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2023年12月22日

近藤史恵「夜の向こうの蛹たち」

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 近藤史恵 著
 「夜の向こうの蛹たち」
 (祥伝社文庫)


小説家の織部妙は、美人と評判の新人作家橋本さなぎの処女作に嫉妬と興味を感じていた。才能、美貌、あるいは不思議なペンネームのせいか。だが、妙はある文学賞のパーティーで対面したさなぎに、違和感を覚える。面前のさなぎが小説の彼女とはあまりにも違うのだ。むしろ、彼女の秘書初芝祐に魅かれ、近づいていく。やがて、違和感がある疑惑へと変わっていき・・。−裏表紙より−


大好きな作家さんなのですが、こういう作品はあまり・・。

女性の心の機微的なやつ?

自分も女性ですけど、全く気持ちがわからないので読みにくいんですよね。

しかも、主人公も美人、お相手も美人で、なのに「美人も辛いのよ」と言われても納得出来ません。美人で困ることも多少はあるでしょうけど、美人でないよりは美人の方が絶対に得でしょう。そこはなんと言われても譲れません。

痴漢やセクハラには合いやすいでしょうけど、それを上回るだけのお得は絶対にあるはず。顔より性格が大事、と言いつつも、顔も性格も良い方が良いでしょう?と思います。

と、熱く語ってしまいましたが、この小説の焦点はそこでは無いですね。でも読み終わっても何が言いたかったのかな?という感じではありました。


ゴーストライターなのか?と思ったらそうでもなく、そこは読んでもらったら良いのですが、初芝の気持ちの方が理解出来ました。私がその立場だったとしてもそこまでしないとは思いますが、それだけの才能があるのに埋もれるならやるのかもしれません。

女性同士の恋愛模様も必要だったのかな? そこで駆け引きみたいなものがあったり、女性同士の嫉妬や友情、愛情なんてものはなんとなくわかりますが、ここまでドロドロされると引いてしまいます。


うまく感想がまとめられない作品でした。他の方の感想を読んでみたいと思います。


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2023年12月20日

買った本

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 今村翔吾 著
 「夏の戻り船 くらまし屋稼業」
 (ハルキ文庫)※電子書籍


こちらも大好きなシリーズです。


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 坂上秋成 著
 「モノクロの君に恋をする」
 (新潮文庫)※電子書籍


ネットでの感想を読んで面白そうだったので電子書籍で購入。


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 近藤史恵 著
 「夜の向こうの蛹たち」
 (祥伝社文庫)


お気に入りの作家さん。でもこの作品は・・・。

2023年12月19日

今村翔吾「狐花火 羽州ぼろ鳶組」

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 今村翔吾 著
 「狐花火 羽州ぼろ鳶組」
 (祥伝社文庫)※電子書籍


天才花火師と謳われるも、愛娘を花火の事故で喪い、妻も世を儚み命を絶つ―。明和の大火の下手人秀助は、事故の原因たる怠惰な火消に復讐を誓い、江戸を焼いた。二年前、新庄藩火消頭松永源吾と対決の末捕えられ、火刑となったはずだが、朱土竜、瓦斯と、秀助と思しき火付けが今再び起きる!秀助は生きているのか?江戸の火消が再び結集し、猛り狂う炎に挑む。−出版社HPより−


一作目に登場し、火付けをして死刑になったはずの秀助が再登場!?という展開。

天才花火師だったのに、娘と妻を失った悲しみを世の中にぶつけるために火付けをしてしまった秀助。1作目に登場したときは、源吾と心を通わせることが出来て、最後は救われた感じになった秀助ですが、やはり昔の火付けは大罪なので、死刑になりました。

・・・死刑になったはず? なのに、今回も秀助が蘇えったかのような火事が多発します。

いつもの火消方法では消えない火事。水を掛けると更に炎が大きくなるというやっかいな火事。

秀助に想いを馳せながらも江戸の火消が活躍します。

更には、番付に載っている火消を次々に襲うという事件まで発生。犯人は誰なのか? ぼろ鳶の火消も襲われますが・・。


1作目では簡単にしか語られなかった秀助の人生ですが、今回は火付けという罪を犯してからの彼の様子も描かれて、どんな思いで生きてきたのかもわかりました。

番付狩りの犯人の思いも深い物があって、これからの活躍も楽しみになりました。


ただ・・・・。
だんだん登場人物が増えてきて誰が誰だか、どこの組だか、なんだかわからなくなってきました。一覧表が必要になりそうです。

そして今回も奥様大活躍でした。今までは彼女の強さがメインでしたが、今回は彼女の純粋さが最高でした。源吾はいい奥さんをもらったな、としみじみ。

息子もかわいく育っていますし、今後も楽しみです。


<羽州ぼろ鳶組シリーズ>
「火喰鳥」
「夜哭鳥」
「九紋龍」
「鬼煙管」
「菩薩花」
「夢胡蝶」


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2023年12月12日

中村ふみ「天空の翼 地上の星」

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 中村ふみ 著
 「天空の翼 地上の星」
 (講談社文庫)


天下四国――この世は、峻厳たる山々に囲まれた四つの国に分かれている。南の王国「徐」の王太子・寿白は、革命の混乱のさなかに王の証「王玉」を得たが、
徐国は倒れ、国名も「庚」と改められてしまう。それから十年。かつて輝くほど聡明な少年王だった男は、飛牙と名乗るすれっからしに成り果てていた。天令の那兪は、飛牙の胸に眠る王玉を天へ返すよう迫るが……。極上の中華風ファンタジー、開幕!
−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

ネットでの感想にもよく書かれていますが、これって・・・十二国記みたい! 
十二国記の縮小版!?

国の数が4つしか無さそうなので、何とか完結してくれそうです(シリーズは6作で完結したそう)が、どうなんでしょうね・・。あちらは風呂敷を広げ過ぎてどうにもならなくなっているようなので、こちらを読んでいくのが良いのかもしれません。

ただ、挿絵が入っているのが何ともね〜。ラノベだから仕方ないのでしょうが、電車では読みにくいです。通勤の間に読みたいタイプなので、それが辛かったです。そのページは斜めに読んで、サッと捲る感じ。


この1作目に描かれるのは「徐」という国。この世界では、王になる時に天から「王玉」をもらうのですが、誰でももらえるわけではなく、選ばれし王だけがもらえるという不思議な玉。もらうというのは体内に入れることなので、もらえない王の時代は飾ってあります。

うん、なかなか面白い設定です。

そして、こういう話にありがちな民衆の反乱が起きて、時代が変わることになり、命を狙われた王が息子に跡を継がせるわけです。王となったのは寿白という少年。もちろん彼も命を狙われるため、守られながらも落ち延びることに。

玉をもらえた寿白は選ばれし王として、王族からは期待されますが、民衆はそんなこと一切知らないため、反乱を起こした首謀者を国のトップとすることを余儀なくされます。まあそうなると、この国は荒れるんですよね。


と、よくある展開ではあるのですが、ミステリアスな人がいたり、天の使いである那兪と大人になった寿白のやりとりが面白かったりするので、サクサクと読めてしまいます。

運命に翻弄される、運命に逆らおうと藻掻く様子は読んでいて苦しくなりましたけど、寿白の性格がカラリとしていることもあって、そこまで重くなることもなく読めました。それでも可哀そうな部分や、目を背けたくなるような描写はたくさんありました。


何となく1作で完結した感もあるシリーズ。2作目以降は読まなくてもいいかな?と思いつつ、手元にあるので一応読んでみるか?とか悩み中です。


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タグ:中村ふみ

2023年12月06日

椹野道流「最後の晩ごはん 閉ざした瞳とクリームソーダ」

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 椹野道流 著
 「最後の晩ごはん 閉ざした瞳とクリームソーダ」
 (角川文庫)


芦屋の小さな定食屋で働く、元イケメン俳優の海里。今の夢は、街のカフェ兼バーで、憧れの人と新たな舞台に立つことだ。そんなある日、海里は事故で視力を失った女性、瞳と出会う。彼女を気遣ったつもりが、返ってきたのは意外な反応。一方、店長の夏神には、昭和のレシピ再現メニューについて取材依頼が。しかしかつてのトラウマから消極的な夏神を、海里は残念に思い・・。思いやる気持ちが行き違う、お料理青春小説第13弾。−裏表紙より−


海里には憧れの女優さんと朗読劇という舞台に一緒に立ちたいという目標が出来て、今までのように店を手伝いながらも、週に何度かは女優さんの舞台を見ながらバーで働くようになりました。舞台の前にはトレーニングもしてもらえるため、充実した日々を送っています。

そんな舞台を見るためにやって来た女性・瞳は、事故で視力を失ってまだ日が浅いので、一人での外出が覚束ない感じでした。そんな彼女を親切にサポートする海里でしたが、彼女にある提案をしたことで怒らせてしまいます。

海里としては親切にしたつもりだったのですが、何が気に障ったのか、気持ちがわからず落ち込みます。


これって、どちらの気持ちも何となくわかる気がしました。海里の気持ちはちょっとお節介感がありましたけど、まあ悪いことでは無いし、気遣ってしてくれたことだからわからなくもないです。瞳の気持ちは、自分が健康なだけに「わかる」とは言い難いのですが、わかる気はします。ある程度手伝っては欲しいけど、過剰な気遣いは余計なことなんですよね。

その加減って人によって違うでしょうから、手を貸すのも本当に難しいと思います。本人に聞くのが一番良いのでしょうけど、それを聞かれるのも嫌な人もいるでしょうしね。

片意地を張っている感じがした瞳に訪れた奇跡と恋の始まりは、クスリと笑いつつも涙無しでは読めませんでした。きっと彼の支えがあれば大丈夫!そう思える終わり方だったのが良かったです。


そして、夏神さん。彼も大きな転機を迎えます。ずっと隠れるように生きて来た彼が大きな一歩を踏み出しました。人によっては大したことじゃない、と思えるような一歩ですが、今までの彼の葛藤を読んできた読者にとっては拍手喝采の気分になれると思います。


<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」
「小説家と冷やし中華」
「お兄さんとホットケーキ」
「刑事さんとハンバーグ」
「師匠と弟子のオムライス」
「旧友とおにぎり」
「黒猫とドーナツ」
「忘れた夢とマカロニサラダ」
「海の花火とかき氷」
「聖なる夜のロールキャベツ」
「秘された花とシフォンケーキ」


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2023年12月01日

11月のまとめ

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)
挿絵があるのが気に入らないですけど、絵自体は嫌いじゃない感じで良かったかな。話は読んでいて辛い部分が多かったです。誰の人生も辛そうで・・。でもきっとこの国はこれから良くなっていくでしょうね。素敵な国になってもらいたいです。
読了日:11月06日 著者:中村 ふみ,六七質


狐花火 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)狐花火 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)
あの男が再び!?悲しい気持ちにさせられたあの事件がまた起きるのか?と思うと読むのが嫌になるくらいでした。でもかっこいい火消たちの活躍は読みたいのでついつい一気読み。そして今回も奥様の深雪さんが最高の活躍を見せてくれて大満足です。
読了日:11月14日 著者:今村翔吾


夜の向こうの蛹たち(祥伝社文庫こ14-9) (祥伝社文庫 こ 14-9)夜の向こうの蛹たち(祥伝社文庫)
美人でも生きにくいことはあるんだよ、と言われてもイマイチ納得はいかないですが、でもまあそういうこともあるのかな?とは思います。初芝の気持ちの方がやっぱり共感しやすいです。ただ彼女のように友人に頼むことはしないと思いますけど。恋愛関係を絡めることは必要だったのでしょうけど、私には読みにくさしか感じられなかったです。
読了日:11月19日 著者:近藤史恵


夏の戻り船 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)夏の戻り船 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)
始めの盛り上がりがすごくて、最後があっさり終わり過ぎた気がします。敵が怖すぎて残虐すぎて目をそむけたくなる場面も多々。平九郎との対決シーンはかっこよかったですが、何とか決着付けて欲しかったような。ここまで必死で連れ去ろうとした割には諦めるんだ・・。
読了日:11月25日 著者:今村翔吾


神様の子守はじめました。〈8〉 (コスミック文庫α)神様の子守はじめました。〈8〉 (コスミック文庫α)
いつものように翡翠と紅玉と共にドタバタしていて微笑ましく読んでいたら、急に重い話が。朱陽どうなるかと思いましたがさすがのハッピーエンドで良かったです。彼らにはいつもハラハラさせられますが、元気に育ってくれていて嬉しいです。
読了日:11月28日 著者:霜月 りつ



全部で5冊でした。結構、サラッと読み終える作品が多かった気がしたのに意外と読めていません。

特に印象に残ったのは「狐花火」です。


今日から12月!? 今年も後1か月なんですね! 年々、一年が短く感じるようになるな・・・。

posted by DONA at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ