
西條奈加 著
「金春屋ゴメス 因果の刀」
(新潮文庫)
江戸国からの阿片流出事件について、日本から査察が入った。団長は大御所議員の印西茂樹。江戸城で評定が開かれる中、印西は秘密裡にゴメスに接触し、江戸国の開国と明け渡しを迫る。印西の目的は江戸国深くに眠る白緑石で、この資源を元にロケット燃料を開発し暴利を貪る算段だ。拒絶すれば江戸国は消滅−。建国以来の危機に襲われる江戸国をゴメスは守り切れるか。書き下ろし長編。−裏表紙より−
シリーズ3作目。1作目から2作目がなかなか読めなかったので、3作目は無いかな?と諦めかけていましたが、書いてくれて良かった!この調子でどんどん出版してほしい!
前作の阿片流出事件の後始末的に、日本からの査察が入ります。
印西という胡散臭い感じの議員を筆頭にやって来た査察団。好奇心旺盛に査察団に入った人のいるようです。その気持ちはわかるな〜。私も行けるなら行ってみたいです。リアル映画村ですもんね。
しかも、評定を江戸城でするなんて最高です。
今回の目玉となるのは、ゴメスの過去のこと。彼女って超人的な存在ですけど、怪力なだけではなく、頭も良かったんだ! 科学者としてかなり成功していたそうです。いや〜、彼女はほんと底知れない存在だわ。
ますます尊敬してしまいます。今の状態はともかく。
彼女の頭脳に嫉妬したことや、江戸国の地下に眠る石による利権などが原因で、江戸国が潰されるか!? ゴメスが処刑されるか!? という大ピンチに。
だいたい「江戸国」という物を開国される前にちゃんと調べてから許可しろよ!って思います。そこに何が眠っているのかをきちんと調べておけばこんな大騒ぎにならないのに。
いつでもそこに暮らす庶民が犠牲になるんですよね。上に立つ人間じゃなくてもそれぞれに人生があるし、それぞれに生きる権利があるわけで、権力者がどうにかして良いことではないのに。そんな簡単なこともわからずよく政治家やってるわ!とイライラさせられました。小説で良かった。
今回もゴメスの部下たちがそれぞれ大活躍し、命掛けでゴメスと江戸国のために戦いました。で、最後はゴメスに美味しい所を持って行かれてしまういつものパターン。何だかかわいそうになります。
でも毎回大変な目に合っても、乱暴に扱われてもゴメスを慕うということは、それだけの魅力が彼女にあるのでしょう。確かに、彼女について行けば何とかなる感じはありますけどね。
さ、4作目書いてもらえるかな? ぜひ江戸国の今後も読みたいものです。
<金春屋ゴメスシリーズ>
「金春屋ゴメス」
「芥子の花」
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