2023年07月25日

浜田悦子「発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ」

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 浜田悦子 著
 「発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ」
 (実務教育出版)


2300人以上の親子、支援者をサポートしてきた、おうち療育アドバイザーによる、発達障害&グレーゾーンの子どもが自分をうまくコントロールできるよう導くコツ。−帯より−


初めましての作家さんです。子どもに携わる仕事をしているので興味があって「本が好き」で献本申し込みしました。

第1章 なぜ「今の言葉かけ」ではうまくいかないのか?
第2章 子どもの問題行動を止めるための3つのポイント
第3章 自分の言葉かけのクセに気づくコツ
第4章 「共感された!」と子どもが感じる言葉かけのコツ
第5章 子どもの問題行動に反応しないコツ

以上5項目で書かれています。

子どもに携わる仕事をしていて、今までにグレーゾーンと思われる子どもにもたくさん会いました。まだ年齢的に小さいので、はっきり診断がされたわけではないですが、指示が通りにくかったり、1人だけ別の行動を始めたり、こだわりが強すぎて他の子どもとケンカが多発したり、集団で生活していると困ってしまう子どもがいました。

そういう子どもに対して、大人は困ったな、やりにくいなと思ってしまいますが、実際には子どもの側も生活しにくいのだろうと思います。わがままに見られてしまうことも多いので、注意されることも多くなり、毎日楽しくないだろうと心配になることもありました。

親御さんを含め、みんなで話し合って対応を考えることが出来ると良いのですが、診断が出ていないと親御さんにはなかなか言えないもので、そうなると保育園内だけでの話し合いになり、対応も一時的な物となってしまうのが残念でした。


この本を書かれたのは「発達障害・グレーゾーン専門家庭療育アドバイザー」の浜田悦子さん。そんな職業あるんだ、とまずそこに感心。「家庭療育」というのは、専門家が行う療育を家庭でもやりましょうということです。

専門家ではないので、そこまできちんとは出来なくても、家庭でも出来ることはありますし、やった方が親も子どもも生活しやすくなります。でもどうやれば良いのか? そこでこの本が必要になります。はっきりとした診断を受けていなくても、ちょっと育てにくいなと思うお子さんの場合は、この本を読んで少しずつでも実践できたら良いですね。


ここに書かれているのは、少し大きめの子どもについてなので、私には参考にならない部分もありましたが、ほとんどの部分は読みやすく、「そうすれば良いのか」と納得できました。集団の中ではなかなか対応も難しいですが、おうちでは出来ることも多そうです。

浜田さんも何度も書かれていますが、全てをやろうとしないで「スモールステップ」でやると実践できそう。子どもに対しても、例えば、朝の支度をさせる時、顔を洗って歯を磨いて服を着替えて荷物を用意して・・・と一気にやらせようとせず、顔を洗うだけでも出来たら褒める。まずは子どもが出来ていることをさせて、出来たら褒める。この繰り返しをすると良いそうです。

これだったら、親も「まだ出来てないのか!」とイライラしなくてすみそうです。顔を洗うのは出来ないという子どもだったら、パジャマを脱ぐ。でも良いですし、朝食のために椅子に座る。でも良いと思います。いきなり子どもが出来ないことをさせようとせず、出来ていることをさせて、出来たら褒める。それに慣れたら、次の日はまた少し増やす。

そうやって、ほんの少しずつ増やしていくと良いそうです。朝の忙しい時にぼんやりとしている子どもを見たらイライラとしてしまうでしょうが、ほんの少しのことをさせることで、お互いにイライラは減っていきそうです。


私が一番印象に残ったのは「無反応」という言葉です。子どもが問題行動を起こした時に注意したり怒ったりしないということ。以前見た子どもで、何でもすぐに泣いてしまうことがあったのですが、それに対して「〇〇だから今はダメよ」とか必死で諭してわからせようとしたり、とにかく泣き止ませようと「泣かないよ」と声をかけたりすると余計に泣いてしまったり、だんだん泣き方が大げさになったり、何か不快なことがあったらとにかく泣いてみよう、と思うようになったりすることがありました。

そういう時に一度あえて放置したことがあるのですが、その方があっさり泣き止んであそび始めたり、みんなの所に戻って来たりしたのです。意外とその方が良いのか?と思いながらも、何だか泣いている子どもを放置することに罪悪感というか違和感があって、その後も声をかけてしまっていました。

浜田さんは声をかけること、視線を送ることさえも子どもにとっては刺激となり、「泣いたら見てくれる」「泣いたら声をかけてくれる」と感じてしまうからよくない。と書かれています。全く別の部屋に行ってしまうのは難しくても、背を向けたりあえて別のこと(例として、洗濯物を畳むなどと書かれていました)をすることで、子どもは落ち着くのだそうです。

落ち着いた後は、気持ちを受け止め、「〇〇だから泣いたのね」と声をかけると良いそうです。なるほど、私が気にしていたことは逆効果だったんです。放置、無反応の後、落ち着いてから声掛けした方が子どもも落ち着いて言葉が聞けますね。今後、実践したいと思います。


イラストも多く、文章も簡単に書かれていますし、具体例も多くてわかりやすかったですし、サッと読み切ることができました。

ちょっとうちの子気になる、育てにくいなど、もし周りで悩んでいる方がおられたら、この本はお勧めです。グレーゾーンでなくても子育て本としても参考になることは多そうです。


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2023年07月21日

標野凪「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」

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 標野凪 著
 「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」
 (双葉文庫)※電子書籍


住宅地の奥でひっそりと営業している、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。この喫茶店には、がんばっている毎日からちょっとばかり逃げ出したくなったお客さんが、ふらりと訪れる。SNSで発進されるていねいな暮らし”に振り回されたり、仕事をひとりで抱え込み体調を崩したり・・。目まぐるしく変わる世の中で疲れた体と強ばった心を、店主そろりの美味しい料理が優しくほぐします。今宵も「あなたの悩みに効くメニュー」をご用意してお待ちしております。心がくつろぐ連作短編集、開店。−出版社HPより−


初めましての作家さんです。ネットで感想を読んで面白そうだったので読んでみました。

読み始めから不思議な雰囲気の話で、もしかしてファンタジー?と思いつつ読み進めると、別にファンタジーでもなく。不思議な世界観のある、でもしっかりと日常が描かれた作品でした。

コロナ禍で疲れてしまった人たちが、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」で癒される、という内容なのですが、良い意味でも悪い意味でも印象に残りませんでした。

今、あらすじを読んでもそんな話だったっけ?って感じです。

私自身、コロナ禍でも、マスクをすることと消毒が強化されたこと以外には変化が無かったせいかもしれませんが、特に疲れていなかったんですよね。自宅待機も、在宅ワークも出来ない仕事ですから普通に出勤していましたし、元々出不精なので旅行に行けないことも外食出来ないことも何のストレスにもならないですし。

コロナのせいで疲れて・・というのがあまり理解できていないせいで、ここに出てくる人たちに何も共感出来なかったんですよね。

色々影響を受けて大変な思いをされた方が読んだら、感動したり、何か心に刺さったりするのかもしれません。


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タグ:標野凪
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2023年07月18日

買った本

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 標野凪 著
 「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」
 (双葉文庫)※電子書籍


読んですぐにこれは印象に残らないだろうと思いましたが、本当に残っていない・・。


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 柴田よしき 著
 「ねこまち日々便り(上) ねこが来た編」
 (祥伝社文庫)


大好きな作家さんですからそく購入です。


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 柴田よしき 著
 「ねこまち日々便り(下) ひとも来た編」
 (祥伝社文庫)



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 西條奈加 著
 「わかれ縁 狸穴屋お始末日記」
 (文春文庫)


こちらも大好きな作家さん。これはシリーズ化しそう?

2023年07月11日

ポール・ギャリコ「ミセス・ハリス、パリへ行く」

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 ポール・ギャリコ 著
  亀山龍樹 訳
 「ミセス・ハリス、パリへ行く」
 (角川文庫)※電子書籍


1950年のロンドン。ハリスおばさんはもうすぐ60歳の通いの家政婦。夫を亡くし、質素な生活を送っている。ある日、勤め先の衣装戸棚でふるえるほど美しいクリスチャン・ディオールのドレスに出会う。今まで身なりなど気にしてこなかったが、自分もパリでドレスを仕立てようと決意し、必死でお金をためることに。やがて訪れたパリで、新しい出会い、冒険、そして恋?何歳になっても夢をあきらめない勇気と奇跡の物語。―出版社HPより―


初めましての作家さんです。ネットの感想を読んで面白そうだったので読みました。

確かに面白いんですけど、勝手に想像していた雰囲気と違ったのでなかなか馴染めず。おばさんがパリに行くということは、旅先で何かしら事件が起こって、おばさんが巻き込まれて、類まれなる推理力で華麗に解決する!的な話かと。

ところがいつになっても事件は起きない。まあ小さな事件はたくさん起きますが、事件というより障害とか問題とかそんな感じ。警察が絡んでくるようなことは一切起きません。「ややこしいことになったな〜」というくらいのことなので、盛り上がりに欠ける気がしました。

ではハリスおばさんが可愛らしいおばさんだから魅力的なのか?というとそうでもなく。誰にでも言いたいことを言いますし、口調もなかなかキツイですし(これは訳のせいかもしれませんが)、結構なわがままぶりですし、全く可愛らしさはありません。でもなぜか憎めない・・。

あらすじを改めて読んで驚いたのですが、おばさんはもうすぐ60歳だそうで、ということはまだ59歳ってこと!?70代かと思っていました。それくらいパワフルでどっしりした感じがしました。


通いの家政婦としては大ベテランで、仕事もテキパキと完璧なので、ハリスおばさんから認められないと仕事に来てもらえないという存在。カリスマ家政婦って感じですね。でも金銭的には余裕が無く、朝から晩まで必死で働いても食べて行くのがやっとという状態です。ところが、とある家で見たディオールのドレスに心を奪われてしまい、自分もパリでディオールのドレスを買いたい!と思うようになります。

服にそこまでの思い入れを持ったことがないので、ある意味羨ましくもあります。

ドレスを買うために、パリに行かないといけなくて、その旅費も必要になります。安い給料での生活を更に切り詰め、他にもいろいろな方法でお金を貯めます。よく無事に行けたもんだと感心する状況でしたが、何とかパリに向かうことになりました。

パッと行って、サッと買って帰るつもりが、そうはいかなくなります。そこからが盛り上りなので書きませんが、読みながら苦笑する場面が続きます。

おばさんは無事にドレスが買えるでしょうか?? 

おばさんが巻き起こす色んな問題の数々。本人も自覚しないことがほとんどなだけに笑えます。近くにはいてほしくないですけど、ちょっと離れてなら見たいかも。


ハリスおばさんの話は何冊か出ているようです。読むかどうかは微妙かな? 気が向いたら読んでみるかもしれません。


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2023年07月06日

原田ひ香「人生オークション」

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 原田ひ香 著
 「人生オークション」
 (講談社文庫)※電子書籍


不倫の果てに刃傷沙汰を起こして謹慎中ののり子叔母さんと、就活に失敗してアルバイトをする私。一族の厄介者の二人は叔母さんのおんぼろアパートの部屋にあふれるブランドのバッグから靴や銀食器、着物までをせっせとネットオークションにかけていく。すばる文学賞作家が描く、ゆるやかな再出発の物語。−出版社HPより−


2作収録されています。・・が、読み終わってすぐ、2作目はどんな話だったっけ?と思うくらい印象に残らない話でした。

1作目(表題作)は、私自身フリマアプリを使って、ちょっと私物を売ったりしているので、興味津々で読みました。

この主人公である、のり子叔母さんは、フリマアプリではなく、オークションの方ではあるのですが、ブランド物をたくさん持っている人はこちらの方が良さそうです。

過去に色々あって、事件にまで発展させた叔母さんですが、自分の持っているブランド物のバッグなどを手離していくうちに、心も過去を清算していくような感覚になっていきます。最後には前を向いて歩いて行けそうな感じにまでなりました。

それに影響を受けて、人生に迷っていた姪っ子も立ち直れそうです。

こういうハッピーエンドな話は読んでいて気持ちが良くて好きです。


2作目は・・・私の苦手な恋愛系だったので、さらりと読んでしまって印象に残らず。感想を書くために軽く読み返してみましたが、結末が思い出せないくらいです。

恋愛物が好きな方は面白いのかもしれません。


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タグ:原田ひ香
posted by DONA at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:その他

2023年07月03日

6月のまとめ

ねこまち日々便り(上) ねこが来た編(祥伝社文庫し10-13) (祥伝社文庫 し 10-13)ねこまち日々便り(上) ねこが来た編(祥伝社文庫)
どこかに猫の駅長っていましたね。その話かと思えば違いました。町おこしがどうなっていくのか、まだ上巻では問題山積なので続きが楽しみです。
読了日:06月05日 著者:柴田よしき


ねこまち日々便り(下) ひとも来た編(祥伝社文庫し10-14) (祥伝社文庫 し 10-14)ねこまち日々便り(下) ひとも来た編(祥伝社文庫)
1匹の猫のお陰でどんどん変わっていく町と人の意識。何かきっかけさえあれば変われるんだというのが気持ちいい作品でした。現実はここまでうまくいくのかわかりませんが、立て直してもらいたい商店街、たくさんあります。やっぱりシャッターだらけだと寂しいですよね。
読了日:06月09日 著者:柴田よしき


おいしい旅 想い出編 (角川文庫)おいしい旅 想い出編 (角川文庫)
好きな作家さんが多く、楽しく読めました。特に地元神戸の話がわかりやすくてより面白かったです。コロナ禍のことが描かれているのはリアリティがあって良いかもしれませんね。現実を忘れたい気もしますけど、こういう内容だと描かないのは不自然だとは思います。
読了日:06月15日 著者:秋川 滝美,大崎 梢,柴田 よしき,新津 きよみ,福田 和代,光原 百合,矢崎 存美


あんとほうき星 お勝手のあん (時代小説文庫)あんとほうき星 お勝手のあん (時代小説文庫)
あんちゃんはどんどん成長して、とてもいい子になっています。もう18歳ですから、大人の女性ですね。でもまだまだ子どもの感覚で読んでいます。今回も色々と不穏な動きがありましたが、良い人たちに囲まれてうまく乗り越えられました。今後の目標も出来て、これからも楽しみなシリーズです。
読了日:06月21日 著者:柴田 よしき


えどさがし しゃばけシリーズ (新潮文庫)えどさがし しゃばけシリーズ (新潮文庫)
しゃばけの外伝です。しゃばけ自体が久しぶりでしたが、妖の世界にどっぷり入り込むことができて面白かったです。あのカッコいい兄やたちのことが深く知れて良かった。またシリーズに戻ろう!
読了日:06月28日 著者:畠中 恵



全部で5冊。大好きな柴田さんの作品を3冊も。贅沢な時間でした。

特に印象に残ったのは「ねこまち日々頼り」「あんとほうき星」です。

posted by DONA at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ