
浜田悦子 著
「発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ」
(実務教育出版)
2300人以上の親子、支援者をサポートしてきた、おうち療育アドバイザーによる、発達障害&グレーゾーンの子どもが自分をうまくコントロールできるよう導くコツ。−帯より−
初めましての作家さんです。子どもに携わる仕事をしているので興味があって「本が好き」で献本申し込みしました。
第1章 なぜ「今の言葉かけ」ではうまくいかないのか?
第2章 子どもの問題行動を止めるための3つのポイント
第3章 自分の言葉かけのクセに気づくコツ
第4章 「共感された!」と子どもが感じる言葉かけのコツ
第5章 子どもの問題行動に反応しないコツ
以上5項目で書かれています。
子どもに携わる仕事をしていて、今までにグレーゾーンと思われる子どもにもたくさん会いました。まだ年齢的に小さいので、はっきり診断がされたわけではないですが、指示が通りにくかったり、1人だけ別の行動を始めたり、こだわりが強すぎて他の子どもとケンカが多発したり、集団で生活していると困ってしまう子どもがいました。
そういう子どもに対して、大人は困ったな、やりにくいなと思ってしまいますが、実際には子どもの側も生活しにくいのだろうと思います。わがままに見られてしまうことも多いので、注意されることも多くなり、毎日楽しくないだろうと心配になることもありました。
親御さんを含め、みんなで話し合って対応を考えることが出来ると良いのですが、診断が出ていないと親御さんにはなかなか言えないもので、そうなると保育園内だけでの話し合いになり、対応も一時的な物となってしまうのが残念でした。
この本を書かれたのは「発達障害・グレーゾーン専門家庭療育アドバイザー」の浜田悦子さん。そんな職業あるんだ、とまずそこに感心。「家庭療育」というのは、専門家が行う療育を家庭でもやりましょうということです。
専門家ではないので、そこまできちんとは出来なくても、家庭でも出来ることはありますし、やった方が親も子どもも生活しやすくなります。でもどうやれば良いのか? そこでこの本が必要になります。はっきりとした診断を受けていなくても、ちょっと育てにくいなと思うお子さんの場合は、この本を読んで少しずつでも実践できたら良いですね。
ここに書かれているのは、少し大きめの子どもについてなので、私には参考にならない部分もありましたが、ほとんどの部分は読みやすく、「そうすれば良いのか」と納得できました。集団の中ではなかなか対応も難しいですが、おうちでは出来ることも多そうです。
浜田さんも何度も書かれていますが、全てをやろうとしないで「スモールステップ」でやると実践できそう。子どもに対しても、例えば、朝の支度をさせる時、顔を洗って歯を磨いて服を着替えて荷物を用意して・・・と一気にやらせようとせず、顔を洗うだけでも出来たら褒める。まずは子どもが出来ていることをさせて、出来たら褒める。この繰り返しをすると良いそうです。
これだったら、親も「まだ出来てないのか!」とイライラしなくてすみそうです。顔を洗うのは出来ないという子どもだったら、パジャマを脱ぐ。でも良いですし、朝食のために椅子に座る。でも良いと思います。いきなり子どもが出来ないことをさせようとせず、出来ていることをさせて、出来たら褒める。それに慣れたら、次の日はまた少し増やす。
そうやって、ほんの少しずつ増やしていくと良いそうです。朝の忙しい時にぼんやりとしている子どもを見たらイライラとしてしまうでしょうが、ほんの少しのことをさせることで、お互いにイライラは減っていきそうです。
私が一番印象に残ったのは「無反応」という言葉です。子どもが問題行動を起こした時に注意したり怒ったりしないということ。以前見た子どもで、何でもすぐに泣いてしまうことがあったのですが、それに対して「〇〇だから今はダメよ」とか必死で諭してわからせようとしたり、とにかく泣き止ませようと「泣かないよ」と声をかけたりすると余計に泣いてしまったり、だんだん泣き方が大げさになったり、何か不快なことがあったらとにかく泣いてみよう、と思うようになったりすることがありました。
そういう時に一度あえて放置したことがあるのですが、その方があっさり泣き止んであそび始めたり、みんなの所に戻って来たりしたのです。意外とその方が良いのか?と思いながらも、何だか泣いている子どもを放置することに罪悪感というか違和感があって、その後も声をかけてしまっていました。
浜田さんは声をかけること、視線を送ることさえも子どもにとっては刺激となり、「泣いたら見てくれる」「泣いたら声をかけてくれる」と感じてしまうからよくない。と書かれています。全く別の部屋に行ってしまうのは難しくても、背を向けたりあえて別のこと(例として、洗濯物を畳むなどと書かれていました)をすることで、子どもは落ち着くのだそうです。
落ち着いた後は、気持ちを受け止め、「〇〇だから泣いたのね」と声をかけると良いそうです。なるほど、私が気にしていたことは逆効果だったんです。放置、無反応の後、落ち着いてから声掛けした方が子どもも落ち着いて言葉が聞けますね。今後、実践したいと思います。
イラストも多く、文章も簡単に書かれていますし、具体例も多くてわかりやすかったですし、サッと読み切ることができました。
ちょっとうちの子気になる、育てにくいなど、もし周りで悩んでいる方がおられたら、この本はお勧めです。グレーゾーンでなくても子育て本としても参考になることは多そうです。
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