
ホリー・ジャクソン 著
服部京子 訳
「自由研究には向かない殺人」
(創元推理文庫)※電子書籍
高校生のピップは自由研究で、自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺して、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に関係者にインタビューする。だが、身近な人物が容疑者に浮かんできて・・。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、傑作謎解きミステリ!―出版社HPより―
初めましての作家さんです。文章は読みやすかったですし、展開も面白かったです。ただ、題名がどうもしっくりこない感じがしました。それは作家さんのせいではないかもしれませんが「自由研究」と聞くと日本人はどうしても夏休みの宿題のイメージをもつと思うんですよね。もっと軽いイメージ。なのに、殺人事件の調査を自由研究で!?と不思議な感じがしました。というか、「自由研究に向く」殺人事件なんてないでしょう!と思いますよね。
読み始めると「自由研究」というよりも「卒業論文」に近いというか、もっと真剣で重い宿題だとわかります。世界情勢について自論を述べるような。物語の中では「自由研究で得られる資格」「大学入学に必要な試験を受けるのと並行して独自に行うプロジェクト」だと書かれています。それだけ重要な課題ということです。
主人公のピップが選んだのは5年前に失踪した17歳の少女の事件についてでした。学校に提出した計画書には「メディアが報道することが事件に重大な役割を果たしていることについて考察する」と書きましたが、ピップがやりたいのは事件を解決することでした。
失踪した少女は殺害されたと目されていて、容疑者となったのは彼女と付き合っていた男性でした。彼は彼女が失踪後、警察から取り調べを受けた直後に自殺していました。被疑者死亡で解決したとされているわけです。
ピップは過去に彼に助けてもらったことがあったため、どうしても彼が犯人だとは信じられず、課題をきっかけに調査に乗り出したわけです。
殺人事件の捜査を高校生がやるなんて無謀なことを・・と思っていたら、何とも行動力があり、根性もあり、どんなに脅されても冷たくあしらわれてもへこたれません。
ただずっと気になってしまったのは、失踪した少女のことをみんな「死んだ」と思っていること。遺体は見つかっていないわけで、もしかしたらどこかで生きているかも?と誰も思わないんだな、と不思議でした。もしかして生きているんじゃない!?と予想したのですが、まあ結末は読んでのお楽しみ。
そしてやっぱりイギリスの学生は大人だなと感心、と同時に怖い。飲酒はもちろん、ドラッグも当然という世界。真面目でそういう物と無縁という学生もいるのでしょうが、使用率は日本より確率はかなり高そうです。そんなに早く大人にならなくても良いのに・・
シリーズ化しているようなので、2作目も読むつもりです。
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