2023年03月15日

松岡圭祐「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論Z レッド・ヘリング」

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 松岡圭祐 著
 「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論Z レッド・へリング」
 (角川文庫)


24歳になった李奈は引っ越しを終えた新居で心機一転、小説家として新たな一歩を踏み出そうとしていた。新刊の評判は上々。しかしそんな状況に水を差すような事態が! アマゾンの評価は軒並み星一個となり、行った覚えのない店での痴態が撮影され、書きもしない官能小説が自分名義で編集者に送られていたのだ。一体何が起きているのか? 混迷を極める中、出版社にいる李奈を呼び出す内線電話がかかってきて……。−裏表紙より−


本が好き」で献本申し込みしました。

前に読んだのは4巻。そして今回は7巻。その間に李奈の本は多少売れるようにはなってきているようで、引っ越しが出来ました。物語の出だしから、良かった良かったと思えたのですが。

当然そのまま終わるわけもなく、いきなり新居が世間に明かされ、アマゾンでの評価が軒並み下がり、挙句には出版社に書いた覚えのない官能小説が李奈の名義で送られます。若い女性が書いた官能小説は需要があると出版話が持ち掛けられてしまうのですから何とも悲しい展開です。

一気に嫌がらせを仕掛けて来たと思われる人物は、出版社にいた李奈を呼び出します。一人で呼び出された店に行くと、そこにいた男性にある依頼をされます。丁寧に頼めばいいのに、さんざん嫌がらせをして、これ以上続けられたくなかったら、という強迫をしてきます。

脅迫に屈したくない李奈でしたが、嫌がらせの仕方が巧妙で卑劣だったため、一応依頼を飲む形をとります。

その依頼とは、古い聖書を見つけることでした。脅迫してきた人物の身元はすぐに判明するのですが、依頼の意味がなかなかわかりません。その聖書もすでに新たな聖書が次々と作られたためにほぼ絶版状態であることがわかり、難航を極めます。

その聖書に詳しいという人物に会いに行くと亡くなっていて、事件を解決するなんていう寄り道もありました。

李奈は探偵ではなく、小説家なのですから、本業もあるため、かかりきりになるわけにはいかず、ちょっと別のことをしているとまた新たな嫌がらせがあったり、急に拉致されて脅されたりします。李奈やその友だちが脅迫される度に「まだそんなことを調べているのか!」と叱責するのですが、そんなに色々わかっているなら、とりあえず全て明かせば良いのに、屁理屈をこねて明かしてくれません。

いちいち捕まえては脅すのも意味がわかりません。それをされる度に調査が中断するのに。

絶版かもしれないけどそこまで価値があるとは思えない聖書を見つける目的は何だろう?と気になり、読み進めると、なるほど・・という目的が。ある意味納得ですけど、それってどうなの??

かなり前に一時期ブームになって、専門家たちがテレビ番組に出て来てはあちこち掘り返していましたけど、結局見つかることはなかったアレです。

李奈が最後に解決してくれるのですが、これが事実なのかは知りませんが、かなりしっくりきた気がします。


これでやっと本業に戻れそうですし、最後には嬉しい報告もあったので、これからきっと作家としても人気が出てくることでしょう。

シリーズを1巻から読まないといけないな。ってこれ前回も書いた気がしますけど。今度こそ実行したいです。更に、ここにも出て来た「万能鑑定士Q」なるシリーズも読んでみたくなりました。こちらはかなりたくさん出版されているようなので、追うのが大変そうですが。


<「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論」シリーズ>
「W シンデレラはどこに」


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タグ:松岡圭祐