2023年03月14日

柴田よしき「自滅」

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 柴田よしき 著
 「自滅」
 (角川文庫)


子供の頃から自己主張が苦手で、不満を口にすることができない由佳里。狭苦しく選択肢のない実家を出て、東京で大学を卒業し会社員となった由佳里は、そりの合わない営業の鈴本から理不尽なことで文句を言われ、罵倒される毎日を送っていた。「死ねばいい」現実逃避するのにのぼったビルの屋上で呪詛を吐いた翌日、由佳里は会社で鈴本が無断欠勤したと聞く・・(「自滅」より)。女性たちの心の闇に迫る戦慄のホラー短編集。−裏表紙より−


「薫衣草(ラベンダー)」「雪を待つ」「隠されていたもの」「ランチタイム」「自滅」の5編収録。


あらすじを見て「ホラー」と書かれていたので読むのを躊躇していたのですが、好きな作家さんなので、きっと私が苦手で絶対に読まない、いわゆる「ホラー」とは違うだろうと信じて読むことにしました。

結果、やはりいわゆる「ホラー」とは違い、そこまで怖いこともなく読めました。まあ心地いいということもなかったですけど。

ほぼすべての話が最後までスッキリとはいかず、ぞわっとする終わり方でした。「ランチタイム」がある意味、きれいに終わったかな?途中が怖かったですけど。描写を頭で描かないようにすれば読めました。

とはいえ、怖くないわけではなく怖くもありましたが、それよりも「なるほど、そうなのか」と納得した感じです。この女性はラクになれるのかな?と思える結末だったのでマシでした。


一番怖くてゾッとしたのは表題作の「自滅」 これは女性の心の闇というか、彼女の嫉妬心や欲望が引き起こした悲劇というか事件であって、「女性」とくくらないで欲しいと思うくらい共感出来ず。

チラッとわからなくはないですけど、ここまでする?と思いますし、そんなことをしておいて、ビルの屋上で呪詛を吐いたら消えた、なんて都合よく考えられる!?と納得できませんでした。これは怖い。こんなことを引き起こす人はどこか壊れているのでしょうから、この行動も仕方ないというかあり得るのかもしれませんけど。


お化けや幽霊や超常現象などのホラーではないですが、決して読了感は良くないので、口直しできる爽やかな作品を用意しておいて読むことをお勧めします。

この作家さんだから読んだけど、他の作家さんなら読まないな。


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posted by DONA at 14:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:柴田よしき