
今村翔吾 著
「夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組」
(祥伝社文庫)※電子書籍
花魁・花菊は死を希った。吉原の大見世で最高位の花魁となるも、やはりここは苦界でしかない。父母と彼岸での再会を望み、燃え盛る妓楼に身を置いた。だが紅蓮の炎に飛び込んできた男がいた。花菊は業火の中、ぼろ鳶組纏番・彦弥と運命の出会いをする―。連続する火付け、下手人と思しき者の殺害、黒幕が?新庄藩火消頭・松永源吾が情念渦巻く吉原で謎に挑む。−出版社HPより−
今回は彦弥が大活躍の巻でした。
ぼろ鳶組の纏番として活躍している彦弥は、女たらしでよく女性を泣かせています。特別良い顔でもなさそうですが、優しくて口もうまいんでしょうね。
身が軽くて、ポンと屋根の上に上れる身体能力があるので、火事場でも大活躍してくれています。
今回の火事は吉原で起きました。吉原の火事は、吉原の火消が対処することになっているのですが、たまたまその場にいた彦弥が単独で花魁を助け出します。苦界から抜けられることはないなら死んでも良いかと覚悟を決めていた花魁にとっては、彦弥は迷惑な存在でした。でもうまく言いくるめて逃がすことが出来たため、花魁は当然、彦弥に惚れます。店の主人からも感謝され、お礼を言いに来てくれるのですが、それに対してはクールな対応をする彦弥。でも、花魁と交わした約束はきっちり守ろうと努力するところがかっこいい!
吉原の火消に関わることになるぼろ鳶組ですが、吉原ならではの掟や考え方に戸惑います。火事になったら変に建物が残るよりも燃えてしまった方がありがたいなんて、ひどい考え!と腹が立ちますが、そこは制度にも問題があるわけで、商売をする者としては当たり前の考えなのかもしれないとも思います。
ただの火事と思われた物がだんだんきな臭くなっていき、殺人事件まで発生することに。いつものように複雑化していきます。
罪を犯した人の動機が悲しすぎて泣きそうになりました。吉原で働く女性は、男を良い気持ちにさせて手のひらの上で転がすことが出来るはずなのに、好きになると一途なんですね・・。何だか悲しい話でした。
彦弥の活躍と、花魁とのほのぼのしたやりとりがほっこりさせてくれたのが救いでした。これからも彼らの関係が続くと良いですが。
<羽州ぼろ鳶組シリーズ>
「火喰鳥」
「夜哭鳥」
「九紋龍」
「鬼煙管」
「菩薩花」
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