2023年02月28日

知念実希人「天久鷹央の推理カルテ」

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 知念実希人 著
 「天久鷹央の推理カルテ」
 (新潮文庫)※電子書籍


統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護師。突然赤ちゃんを身籠った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な事件”には思いもよらぬ病”が隠されていた・・?頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央が解き明かす新感覚メディカル・ミステリー。−出版社HPより−


「泡」「人魂の原料」「不可視の胎児」「オーダーメイドの毒薬」の4編収録

死神シリーズを書いている作家さんです。そういえば似た雰囲気はあるかも。


病院にやって来る患者の中に、原因が判断できない場合があり、そういう時に呼ばれるのが「統括診断部」。その責任者である鷹央がこの物語の主役なのですが、彼女のことは特に好きにはなりませんでした。こういう女性ってよく描かれますが、私は好きではないです。

頭が良くて美人で、でも暴力的で人を見下すタイプ。風変わりなのは良いのですが、人を馬鹿にするような言動は好きになれません。

でも彼女が解き明かす事件や病気については面白かったですし、時々悲しい場面もあって気づけば入り込んで読んでいました。


病気を解明することは少なく、ほとんどが事件なのが残念ですけど、判断しかねる病気を解明するのって、もし真剣に書かれても素人が読んでわかるのか?というと微妙なので、これで良いのかもしれません。


シリーズはかなり出ているようです。この先もきっと病院で巻き起こる色んな事件を解き明かしていくのでしょう。読んでいくうちに彼女のことも好きになれるかな? とりあえずしばらく追ってみるつもりです。


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タグ:知念実希人

2023年02月24日

田中啓文「漫才刑事」

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 田中啓文 著
 「漫才刑事」
 (実業之日本社文庫)※電子書籍


腰元(こしもと)興行所属の若手漫才コンビ「くるぶよ」のボケ担当・“くるくるのケン“。彼が大阪府警難波署の刑事・高山一郎であることは相方の“ぶよぶよのブン“にも言えない秘密だ。お笑い劇場で起こる数々の事件にも、刑事であることは伏せ事件解決に協力する。しかしある日、同僚の交通課巡査・城崎ゆう子に正体がばれ…爆笑間違いなしの警察&芸人小説!−出版社HPより−


「ふたつの顔を持つ男」「着ぐるみを着た死体」「おでんと老人ホーム」「人形に殺された男」「漫才師大量消失事件」「漫才刑事最後の事件」の6編収録。


どこかで聞いたことがあるようなお笑い事務所に所属している漫才コンビのボケ担当・ケン。彼には相方にも言っていない秘密があります。実は、大阪府警難波署の刑事なのです。お笑いが副業というわけでもなく、どちらも真剣にやっているから余計ややこしい状態。

刑事と漫才師の掛け持ちだなんて、現実にはあり得ないですね。

漫才師としてはほとんどテレビにも出ていないので出来る技だということになっています。少し人気が出てきて、テレビに呼ばれることがあっても、相方だけに出てもらうようにして自分は断るという徹底ぶり。劇場だけは出演して腕を磨いています。


そんな忙しい彼が遭遇する事件の数々。かなり軽いタッチと展開なので、事件も軽そうに思えますが、実はしっかりミステリになっています。その辺りは読み応えがあります。

ただ、彼の上司の惚けっぷりには笑えますが。

こんな上司だからこそ、彼の二刀流が成り立つわけですけど、警察官がこんな感じで大丈夫か?と心配にはなります。


ちょっとほろりとしてしまう話もあり、ゾクッとする話もあり、なかなか楽しめました。

んなあほな!と突っ込みつつ楽しい時間が過ごせました。

続編もあるのかな?もしあったら読みたいです。


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タグ:田中啓文

2023年02月21日

買った本

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 知念実希人 著
 「天久鷹央の推理カルテ」
 (新潮文庫)※電子書籍


ネットで感想を読んで面白そうだったので購入。軽く読めて面白かったです。


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 ジョアン・フルーク 著
  上條ひろみ 訳
 「ココナッツ・レイヤーケーキはまどろむ」
 (ハーパーコリンズ mirrabooks)※電子書籍


毎年何で読んでいるのか自分でもわからないシリーズですが、発売されたらすぐに買って読んでしまいます。


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 今野敏 著
 「アキハバラ」
 (中公文庫)


シリーズ2作目。1作目は忘れていましたがそれでも楽しめました。ハードボイルドな感じかな?

2023年02月17日

柴田よしき「あんの明日 お勝手のあん」

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 柴田よしき 著
 「あんの明日 お勝手のあん」
 (ハルキ文庫)


一人前の料理人として歩み始めたおやす。彼女の前には見慣れぬ食材への挑戦、調理場での出会いなど新しい出来事が次々と起こっていく。そんな日々の中、料理に興味を持ち始め歩み出したとめ吉と二人で考え出した料理は紅屋の新たな名物となってゆく。一方、とめ吉に嫌がらせをした男がお縄になったことで、おやすは若女将であるおゆうから、相模屋の女郎・桔梗との意外な秘密を聞かされる。そして山路一郎から想いを告げられ、おやすは一つの決心を固めるのだが・・。大好評お勝手のあんシリーズ第七弾!−裏表紙より−


紅屋は災害からもうまく復活し、再び経営も軌道に乗って来た感じです。

そんな安泰な紅屋ですが、時々よからぬ噂が出てきています。とはいえ、ほとんどが誤解なので、良い店であることは変わらないようです。おやすが良い店で働けていることが嬉しいです。とりあえず、彼女が一人前の料理人として成長できるまではきちんと店が存在していて欲しい物です。


おやすは今回、女性としてどう生きるかの決断を迫られました。そういう話が出るであろうことは前作まで読んでいれば想像出来たのですが、もしかして良い解決策があったりして・・という淡い期待はやはり無理で、そうなるわね、という結果になり、残念ではありました。

でもこれをきっかけに、料理人としてしっかり生きようという決意が更に強固になったのは良いことなのかもしれません。それも一つの幸せですからね。


一人前の料理人になるための試練も与えられました。おやすが苦労したのは、年上の女性を自分の部下として使うことでした。年上ということで遠慮もしますし、手取り足取り教えるより自分でやった方が早いので、つい何でも自分でやってしまうおやすの気持ちはよくわかります。

でもおやすの師匠は「人を使うことも料理人の仕事」と励まします。人をうまく使えないと美味しい料理は出せませんから、この経験は今後の料理人人生にとても役立つと思います。

とりあえずこの女性も良い人そうなので安心しました。今後、おやすの手足となって働いてくれると思います。


今回は悲しい場面もありましたが、これからの未来が明るい感じがしたのでうれしかったです。続きも楽しみです。


<お勝手のあんシリーズ>
「お勝手のあん」
「あんの青春〜春を待つころ〜」
「あんの青春〜若葉の季〜」
「あんのまごころ」
「あんの夢」
「あんの信じるもの」


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posted by DONA at 14:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:柴田よしき

2023年02月09日

今村翔吾「八本目の槍」

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 今村翔吾 著
 「八本目の槍」
 (新潮社文庫)※電子書籍


石田三成とは、何者だったのか。加藤清正、片桐且元、福島正則ら盟友「七本槍」だけが知る真の姿とは・・。「戦を止める方策」や「泰平の世の武士のあるべき姿」を考え、「女も働く世」を予見し、徳川家に途方もない経済戦”を仕掛けようとした男。誰よりも、新しい世を望み、理と友情を信じ、この国の形を思い続けた熱き武将を、感銘深く描き出す正統派歴史小説。吉川英治文学新人賞受賞。−出版社HPより−


日本史は好きな方ではありますが、そこまで詳しいわけではないので、石田三成についてもよく知りませんでした。秀吉の家臣で、頭が良い戦略家ということくらい。

大河ドラマなどでは秀吉の横で賢いことを言う人、という感じで特別スポットライトを浴びる感じではないですね。


この作品ではそんな三成とはどんな人物で、どんな人生を歩んで、どんな考えをもっていたのか?が描かれます。

本人の視点ではなく「賤ヶ岳の七本槍」(しずがたけのしちほんやり)と呼ばれた7人の武将から見た三成が描かれています。それぞれの視点で短編になっていて、三成の人生が描かれるため、1話毎に三成が処刑される場面も描かれてしまうのが辛かったです。

処刑された時、それぞれがどう感じ、どう動いたのか。描きたいことはわかるのですが、何度も処刑されている感じがして何だか・・。


歴史上の人物で、もしこの人がもっと長く生きていたら今の日本は違っただろう、と思うのは織田信長が私の中で1番なのですが、石田三成の話を読んで、彼ももっと生きていたら、もっと出世していたら、と思いました。

女性も働く世の中。ずっと問題になっていることで、いつまでも実現できない問題。このことを江戸時代より前に考えていた人がいたなんて。これがフィクションでなければ、本当に惜しい人です。

戦がなくなった時に武士の存在はどうなるのか、そういうことをしっかり考えていける人物が今もいてくれたら、もっと良い社会になるでしょうね。

長い江戸時代に、必要のない武士がたくさんいて、でも武士をやめるわけにいかないと思い込んでいて、生活が苦しくても両刀差して練り歩く。どう考えても無駄な時代です。

もっと早く武士をやめていたら今頃どんな日本になっていたのだろう?と考えてしまいます。


この中で描かれる秀吉も好きになりました。彼が選んだ女性はイマイチですし、息子もどうなの?って感じですが、なり上がって来たからこそ、家臣の細かい所にも目を配れて、実は良い人なんだと思えました。人生の終わりに差し掛かった頃までは。

やはり人って世に名を遺したいと思うんでしょうか。他国に目を向けるのが早すぎた気がします。それよりも地固めをもっとするべきでしたね。


読んでいる間、それぞれの人物に思い入れをし過ぎて、読み終わるのに時間がかかってしまいました。読み終わったら、大河ドラマを見終わったようなずっしりとした疲れが出ました。

でも読んで良かったと思える作品でした。


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posted by DONA at 14:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書:今村翔吾

2023年02月03日

中村颯希「神様の定食屋」

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 中村颯希 著
 「神様の定食屋」
 (双葉文庫)※電子書籍


妹とともに、両親の遺した定食屋を継ぐことになった高坂哲史。ところが哲史は料理がまったくできず、妹に叱られてばかり。ふと立ち寄った神社で、「誰かに料理を教えてもらいたい」と愚痴をこぼしたところ、なんと神様に、この世に未練を残した魂を憑依させられてしまった。神様曰く、魂から料理を教わる代わりに、その魂が望む相手に料理を振る舞い、未練を解消してやってほしいということで―。思い出の味を繋ぐ、五編の心温まる物語。−出版社HPより−


初めましての作家さんです。

ネットの感想を読んで面白そうだったので、電子書籍で読んでみました。


読み始めは、文章の軽さと、話し言葉で書かれる感じのチャラさについていけない感じがして、失敗したかな?と思ってしまいました。更に主人公もウジウジした性格ときては、早々に読むのをやめようか?と思うほどでした。

でも気づけば引き込まれ、軽い文章も気にならなくなり、軽い文章の中に重い言葉が入っていたりして、読むのが楽しくなりました。

そうなると、主人公のウジウジした性格も「優しい人」に変わるんですよね。


両親が遺した定食屋を妹が続けていきたいと言い出すので、巻き込まれる形で兄である哲史も経営することに。妹は両親が健在な頃から店を手伝っていたのですが、哲史は手伝ったこともない上に料理も全く出来ない、更には接客の経験もない。

理想が高く、厳しい妹にいつも叱られて落ち込んでいた哲史が神社に行き、愚痴をこぼしたら、この世に未練を残した魂を憑依させられます。なんという展開!

色んな料理をしてきた亡き人の魂を身体に入れることで、彼らの想いを受け止めながら料理も目の前で、というか自分の身体で作り出すことが出来るようになります。

なるほど、それでこの人に貸して料理の腕を上げていくわけか〜と読んでいると、1話毎に魂が成仏してしまう! つまり哲史は色んな人の魂を身体に入れながら、色んな料理を知って、接客も知っていくわけです。

冷静に考えたら怖い状況ですけど、ある意味簡単で手っ取り早くもありますね。


これだけの展開ならつまらないのでしょうが、身体に入った魂たちの未練を料理を振る舞うことによって浄化されていく過程が素敵で、毎回涙が出ました。亡き人の想いもそうですが、亡くした側の気持ちも丁寧に描かれていて涙なしでは読めません。


何人もの魂を浄化させた哲史は料理の腕も上がり、定食屋とは、接客とは、ということも分かって、これで話が終わって良い感じと思っていたら、実はシリーズになっているようです。

確かに続けようと思えば出来る話ですが。つまり、哲史の料理人としての腕はともかく、未練を残した魂を浄化させる方に重きを置いて続けていくのでしょう。

たくさん感動させてもらったので、続きもそのうち読もうかな?



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タグ:中村颯希

2023年02月02日

1月のまとめ

あんの明日 お勝手のあん (ハルキ文庫)あんの明日 お勝手のあん (ハルキ文庫)
次々とおやすに降りかかる難題。でもそれを腐ることなく一つ一つ乗り越えてどんどん成長していくおやすが輝いています。この時代には珍しかった女性料理人。どんな人生を歩んでいくのか本当に楽しみです。
読了日:01月02日 著者:柴田 よしき


漫才刑事 (実業之日本社文庫)漫才刑事 (実業之日本社文庫)
クスクス笑いながらあっという間に読み終えました。面白かったです。・・が、印象には残らないかも?
設定的にもツッコミどころが満載です。
読了日:01月10日 著者:田中 啓文


天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)
表紙の絵は鷹央かな?私の想像していた感じとは違います。もっとクールビューティな感じと思っていました。サラッと読めて面白かったです。まだキャラクターがつかめない感じなので、続きも読んでいきます。
読了日:01月13日 著者:知念 実希人


ココナッツ・レイヤーケーキはまどろむ (mirabooks)ココナッツ・レイヤーケーキはまどろむ (mirabooks)
前作、ものすごく気になる終わり方をして、この先ハンナはどんな生活をしていくのか楽しみなような心配なような気持ちで読み始めたら・・・そんなオチ!?あ〜そう。まあありがちなことではあるのでしょうけど。結局いつも通りの恋愛ごっこが続いていくわけですね。ほんと、何でこのシリーズ読み続けているんだろう?まだまだ続くらしいので、来年もきっと読むでしょう。
読了日:01月20日 著者:ジョアン フルーク


警視庁捜査一課・碓氷弘一2 - アキハバラ - 新装版 (中公文庫)警視庁捜査一課・碓氷弘一2 - アキハバラ - 新装版 (中公文庫)
始めは何となくだるい雰囲気の話で入り込めなかったのですが、気付けば一気読みでした。ちょっとした勘違いからここまで大事件になるとは!怖い展開でした。秋葉原のイメージが怖くなった・・。
読了日:01月28日 著者:今野 敏


全部で5冊。軽く読める本が多かったかな?

特に印象に残ったのは「あんの明日」です。

posted by DONA at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ