
乃南アサ 著
「チーム・オベリベリ 上」
(講談社文庫)
文明開化の横浜で、女学校に学び教会で洗礼を受けた鈴木カネ。兄の銃太郎は神学校の同窓である渡辺勝や伊豆の素封家の息子・依田勉三と「晩成社」を興し北海道開拓に挑む。卒業後、勝と結婚したカネは父と共に十勝オベリベリへ向かった。厳しい自然に戸惑いながら、先の見えない日々を希望を捨てず生きる女性の物語。−裏表紙より−
文明開化時代、ということは明治時代ですね。その頃の話です。横浜で育ったカネという女性が、北海道開拓をする夫に付いて行く話なのですが、この上巻はカネが女学校で学んでいる所から始まります。
クリスチャンの彼女は、神様を信じ、祈りを捧げながら生活をしています。彼女の学校は外国人が先生となり授業をしています。周りからは時々白い目で見られつつも信念を持って学んでいます。
外国人教師から授業を受けているだけあって、英語も話せる彼女。このまま女学校に残って教師になるつもりでいました。ところが、同じくクリスチャンの兄が友人らと北海道開拓をしようとしていることを知り、興味を持ちます。更に兄の友人の勝に求婚されて共に北海道に行くことに。彼女の父親も一緒に行くことになりました。
カネには妹と弟がいるとはいえ、母親を残して未開の地である北海道に行くなんてびっくりです。カネや兄はともかく、父親はなぜ?と不思議でした。ただ、この時代も男性社会で、妻はひたすら逆らわずに夫の仕事や生活を支えていくのみでしたから、夫が行くのは止められないのでしょうけど。それにしても冷たい人だと思ってしまいました。
今みたいに飛行機もなかった時代、船で何日もかけてやっとたどり着く北海道。その中でも未開の地で暮らそうとするなんて自分には想像もつきません。しかも、自分が開拓したくて行くのではなく、夫が望んでいるからという理由で。精神的に強くないと出来ないことです。
土地を耕して畑にしては、天候や害虫にやられ、冬の寒さにやられてしまう作物。ろくに収入もないというのに、開拓を後押ししてくれているはずの会社からは「金を返せ」と言われる始末。
確かに会社としては利益が出ない以上、融資は出来ないというのはわかりますが、彼らの苦労を見ていると、ものすごく非情なことに思えます。
カネの兄と夫は力を合わせているのですが、もう一人共に移住してきた会社の人はどうも地に足がついていない感じで、開拓よりも会社の存続を気にしている様子。だんだん3人がかみ合わなくなっていきます。
先に望みが出ない状態が続き、他の移住者も去って行ったり、逃げたり、人数も減っていく状況。
お先真っ暗状態のまま下巻へ。
↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

