2022年12月27日

近藤史恵「ほおずき地獄 猿若町捕物帳2」

9784334746100.jpg

 近藤史恵 著
 「ほおずき地獄 猿若町捕物帳2」
 (光文社文庫)


吉原に幽霊が出るという噂がたった。幽霊が出た後には必ず縮緬細工のほおずきが落ちているという。騒動のさなか、幽霊が目撃された茶屋の主人と女将が殺された。下手人は幽霊なのか。女性が苦手な二枚目同心”玉島千蔭は「じゃじゃうま娘」との縁談話に悩む傍ら、事件の解決に乗り出すが・・。『巴之丞鹿の子』に続く「猿若町捕物帳」シリーズ第二弾。−裏表紙より−


前作のことはすっかり忘れていましたが、何とか読めました。読み進めると、そうそう二枚目だったな、とかお父さんが面白かったな、とか思い出してきました。


今回も舞台は吉原。よくドラマや映画で取り上げられる場所ですが、華やかなイメージと裏腹に悲しい雰囲気もある場所です。そんな吉原で幽霊騒ぎが持ち上がります。

特に何をするわけでもない幽霊なのですが、気味悪がって客足が遠のくので困っているということもあり、千蔭が捜査に乗り出します。

1作目の感想でも書いていましたが、ページ数が少なくあっさり読み終わるのは同じ。しかも事件の解決までが早い。容疑者もほとんどなく終わってしまいます。


ただ、今回は幽霊の正体が悲しすぎでした。あまりにもひどい仕打ちに涙が出ました。殺された女将よりも、甘い言葉で寄って来た奴の存在が最悪です。罪が深すぎ!

あまり書き過ぎるとネタバレになるのでこれ以上言えませんが、殺される相手が違う気がしました。

重苦しい雰囲気のまま終わるのかと思っていたら、最後に笑える出来事があり、そこはホッとしました。


こうなると、千蔭の結婚はまだまだ先になりそうです。どうなるやら・・。


まだシリーズは何冊かありますが、なかなか手に入らないのが難点。再版してくれないかな??

<猿若町捕物帳シリーズ>
「巴之丞鹿の子」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


posted by DONA at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:近藤史恵

2022年12月16日

吉永南央「紅雲町珈琲屋こよみ 月夜の羊」

51Q0s6hIxRL._SL500_.jpg

 吉永南央 著
 「紅雲町珈琲屋こよみ 月夜の羊」
 (文春文庫)


コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営むお草は、朝の散歩の途中、“たすけて”と書かれた一枚のメモを拾う。折しもその日の夕方、紅雲中の女子生徒が行方不明に。その後、家出と判明するが、では助けを求めているのは、いったい誰なのか?日常に潜む社会のひずみを炙り出しつつ、読む人の背中を押してくれる人気シリーズ第9弾。−裏表紙より−


いつものように日課の散歩をしている途中で「たすけて」と書かれたメモを拾ったお草さん。いたずらとも思えず、別の日にも近くを通ってみると不審な家を発見します。

とりあえず中を覗いてみると女性が倒れていました。慌てて救急車を呼んで対応し、のちに病院へも行ってみます。そういうところがお草さんらしいというか、そこまでお節介やくか?と驚いてしまいます。

でも中年というか老年に近い女性が一人で倒れていたことを心配する気持ちはわからなくはないですけど。


その女性との関わりが意外な展開に。

ひきこもりに学校の校則に、若者たちを取り巻く色々な問題が取り上げられ、お草さんと共に考える内容になっていました。

話があちこち跳ぶ感じがするのと、誰が何?という場面が多々あるのもこのシリーズらしいです。


「あれ?どういうことだろう?」と思ってもそこであまり悩まず読み進めるときっと解決されるので、慣れると読みやすくなるとは思います。

今回あまり食器が売れず、試飲のお客さんが多かったような。

経営は大丈夫だろうか?と変な心配もしてしまいました。


色々お節介を焼きつつ、最後には「自分で考えなさい」と放置するお草さんの対応はある意味、親切なのでしょうし、この対応の仕方って実際にはやりにくいでしょう。それをさらりとやれてしまうのはやはり年の功かな?


続きも楽しみです。久実ちゃんの恋愛もまだまだ不安定なのでそちらも気になります。


<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」
「まひるまの星」
「花ひいらぎの街角」
「黄色い実」
「初夏の訪問者」


↓ ランキングに参加中 ポチッ×2と押して下さるとうれしいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 14:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:吉永南央

2022年12月15日

買った本

9784334746100.jpg

 近藤史恵 著
 「ほおずき地獄 猿若町捕物帳2」
 (光文社文庫)


なかなか手に入らない本。面白いシリーズなのに、追えません。


ISBN978-4-575-52609-7-main01.jpg

 高田郁 著
 「駅の名は夜明 軌道春秋2」
 (双葉文庫)


シリーズになって嬉しいです。2作目も素敵でした。


51Q0s6hIxRL._SL500_.jpg

 吉永南央 著
 「月夜の羊 紅雲町珈琲屋こよみ」
 (文春文庫)


第9弾。長くなってきました。でもこれは長く続いてほしい。

2022年12月09日

今村翔吾「菩薩花 羽州・ぼろ鳶組」

034423.gif

 今村翔吾 著
 「菩薩花 羽州・ぼろ鳶組」
 (祥伝社文庫)※電子書籍


番付のためか―。火消番付への関心は高く、お家の評判にも繋がる。その噂が人々の口にも上りだす頃、ぼろ鳶組松永源吾は、無謀にも他の火消から手柄を奪おうと闘う仁正寺藩火消柊与市の姿を目にする。そんな折、火消による付け火を疑う読売書きが姿を消し・・。真相を追う源吾らの前に現れたのは、火難の遺児を救い育て、「菩薩」と崇められる定火消進藤内記だった。−出版社HPより−


娯楽の少ない時代、火事もある意味エンタメのようなもので、人々の生活を全て失くしてしまうくらいの大事件でもありましたが、火事を命がけで消す火消の存在は憧れでもあり、ヒーローでもありました。

そんな彼らの活躍を番付という形で読売が持ち上げるため、更に盛り上がるってものです。今でいう人気ランキングのようなものですね。この番付が単なる人気投票でないのは、それを作っている読売書きが現場で彼らの活躍をしっかり取材した上で順位を決めているという点。見た目がかっこよくても簡単に順位を上げられないため、火消たちの間でもその順位を上げることは火消としての立場や活躍ぶりも評価されるということになるので必死になっています。


物語はとある藩で火消の人数を減らす案が出ているところから始まります。それを阻止するためには、番付で順位を上げること、そう言われた火消は決意を新たにするというところでプロローグとなる場面は終了。

結局、どこの藩のことを書いていたのかわからないまま本編が始まります。起きた火事が火付けではないか?しかも火消による付け火ではないか?と疑いが浮上します。

読者としては、プロローグで描かれていた彼の仕業?と疑うわけですが・・。



今回の敵はなかなか薄気味悪いタイプでした。こういう人って暴力をふるう人よりもタチが悪いし、どちらかというとこっちの方が怖い気がします。火事で家族を失った子どもを救って育てるのは素晴らしいことですが、その後、火消に育てるところまではわかりますけど。

彼を崇拝するあまり、火事を消すためなら自分の命も投げ出す覚悟をもっているというのは怖い。怖すぎます。それを止めずに何なら「よし、行ってこい」的な送り出しをするのが恐ろしいです。

そんな恐ろしさよりも、火事を消してもらった人からすれば、命がけで消してくれたと感謝の気持ちが大きくなり、崇め奉るわけです。きっとその人も始めはそこまで怖い人ではなかったのでしょうが、崇め奉られるうちにどんどん自分のことを勘違いしていったのでしょう。


今までの犯人たちもなかなか怖い人ばかりでしたが、私的には今回の人が一番ぞっとしました。良い人に見えるだけにより怖い。


そして最後には嬉しい出来事があり、犯人の怖さをすっかり忘れるくらいでした。今後がますます楽しみです。


<羽州ぼろ鳶組シリーズ>
「火喰鳥」
「夜哭鳥」
「九紋龍」
「鬼煙管」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by DONA at 14:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:今村翔吾

2022年12月06日

西條奈加「亥子ころころ」

9784065282809_w.jpg

 西條奈加 著
 「亥子ころころ」
 (講談社文庫)


店の主の治兵衛が諸国をめぐり見覚えた菓子を手頃な値で売る「南星屋」。娘と孫の三人で店を繁盛させた治兵衛は、手首を痛めてしまう。納得のいかぬ代物に苛立ちが募る中、店先に雲平という男が行き倒れていた。京から来たわけを訊くと、込み入った事情があるようで・・。荒んだ心をほぐす人情味溢れる時代小説。−裏表紙より−


「夏ひすい」「吹き寄せる雲」「つやぶくさ」「みめより」「関の戸」「竹の春」「亥子ころころ」の7編収録。


前作を読んだのは2017年なので5年くらい前のことです。細かい部分は色々と忘れていましたが、和菓子を庶民も買いやすい価格で販売している店の話ということはもちろん覚えていました。

読み進めるとちょっとずつ色々思い出すのですが、前作を忘れていても楽しめるとは思います。もちろん順番に読んだ方が良いですけど。


前作で腕をケガして思うように菓子が作れない治兵衛。アイディアはあるけどどうしても形が不格好になったり、力仕事は難しかったり、もどかしい毎日を過ごしていました。

そんな時、店の前で行き倒れを発見します。助けてあげた所、同じ菓子職人だということがわかります。治兵衛と同じように全国を旅しながら菓子作りをしてきたという雲平。話を聞いているうちに、店の前で倒れていたのは運命ではないかという思いがわいてきます。

雲平は京から家族同然の弟弟子を探しに来たという。彼を見つけるまでの間、治兵衛の店で過ごすことになり、治兵衛の片腕として菓子作りも手伝うことになりました。

お陰で店を再開することが出来、お互いに刺激をもらいながら毎日美味しい菓子を作ってお客様に喜んでもらえました。


出てくるお菓子(治兵衛の作るお菓子)の美味しそうなこと! 細かい描写を読みながら想像しては食べたくなりました。これが安価で食べられるとなれば人気になるのもわかります。

雲平の人探しの方も少しずつ進展を見せ、ちょっと辛い出来事もありましたが、最後は幸せになる展開を見せてくれて読んでいてほっとしました。


続きも描いてもらえそうですし、治兵衛はもちろん、娘や孫の今後も楽しみになりました。もちろん、彼らの作るお菓子も楽しみです。


<南星屋シリーズ>
「まるまるの毬」


↓ ランキングに参加中 お帰りの際にポチッ×2と押して行って下さると嬉しいです。

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


posted by DONA at 14:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:西條奈加

2022年12月01日

11月のまとめ

四谷の弁慶 公家武者 松平信平3 (二見時代小説文庫)四谷の弁慶 公家武者 松平信平3 (二見時代小説文庫)
ページ数が少ないのかあっさり読み終わって「もう終わり?」と驚くほどでした。色々な展開は早いのに奥様との仲は進まない・・。のんびりした信平を待っていたら別居のまま終わりそう。
読了日:11月01日 著者:佐々木 裕一


ほおずき地獄―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)ほおずき地獄―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)
前作のことは忘れていましたが、問題なく読めました。吉原での幽霊騒動と夜鷹がそういう繋がりなのか・・と驚かされ、あまりの仕打ちに泣きそうになり、千蔭の縁談の結果には笑いそうになり、色んな感情が出てくる読書時間でした。
読了日:11月05日 著者:近藤 史恵


チーム・オベリベリ (上) (講談社文庫)チーム・オベリベリ (上) (講談社文庫)
よくこんな場所について行くもんだ・・と感心しきり。宗教の力って偉大です。ここまで信じられるものがあるのってある意味うらやましい。話はどうなっていくのか下巻も楽しみです。
読了日:11月18日 著者:乃南 アサ


チーム・オベリベリ (下) (講談社文庫)チーム・オベリベリ (下) (講談社文庫)
大きな夢や理想を追い求める男性にただついて行くだけの女性。この時代はそれしかない時代。すぐ結果が出ないと投げだしそうになるのも男性。女性はただ支えるのみ。そんな時代。私には絶対真似が出来ない生き方です。こういう人たちのお陰で今の日本はあるんですよね。頭が下がります。
読了日:11月26日 著者:乃南 アサ


春夏秋冬代行者 春の舞 上 (電撃文庫)春夏秋冬代行者 春の舞 上 (電撃文庫)
読んだ本というか、挫折した本。世界観は面白いと思ったのですが、キャラクターが・・。もっと純粋な気持ちで楽しめないといけないのかも。
読了日:11月28日 著者:暁 佳奈


全部で4冊と半分。

最後の本は読み切れず断念。文章が合わなかったのとキャラクターが好きになれなかったのと。

読むのに時間がかかる本が続いたのでいつものように少な目でした。

posted by DONA at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ