
高田郁 著
「あきない世傳 金と銀<十三> 大海篇」
(ハルキ文庫)
宝暦元年に浅草田原町に江戸店を開いた五鈴屋は、仲間の尽力を得て、一度は断たれた呉服商いに復帰、身分の高い武家を顧客に持つことで豪奢な絹織も扱うようになっていた。だが、もとは手頃な品々で人気を博しただけに、次第に葛藤が生まれていく。吉原での衣裳競べ、新店開業、まさかの裏切りや災禍を乗り越え、店主の幸や奉公人たちは「衣裳とは何か」「商いとは何か」、五鈴屋なりの答えを見出していく。時代は宝暦から明和へ、「買う手の幸い、売っての幸せ」を掲げて商いの大海へと漕ぎ進む五鈴屋の物語、いよいよ、ここに完結。−裏表紙より−
長かったシリーズもいよいよ最終巻。前作の様子を見ると終わりそうにもない感じでしたが、最終巻を読み始めてもその思いは変わらず。後半どころか終わる手前くらいまで問題山積で本当に最終巻なのか?と心配になりました。
前作の終わりで気になっていた衣裳競べは色々な妨害がありつつも、五鈴屋らしい衣裳で勝負に出て、モデルとなった女性が活きるような素晴らしい終わり方でした。優勝とはならなくても、五鈴屋の名前をしっかり残せたのがさすがです。
そしてもう一つの問題となっていた、庶民と身分の高い武家との買い物方法について。店側としては、高い商品を扱えて売ることが出来るのは嬉しいことですし、商売としてありがたいことではありますが、この時代、庶民と身分の高い武家の人が同じ空間に立っているだけでも息が詰まる状況。
楽しいはずの買い物の時間が苦痛になっては、お客にとって悲しいことですし、お客が離れていく原因にもなってしまいます。それを防ぐにはどうすれば良いのか?と悩んでいた幸でしたが、こちらもうまく2つを分かれさせて、店も商売も広げることができました。
・・と良いことばかりで終わればいいのですが、そうはいかないのが高田郁作品。
うまく行き始めると邪魔をするものが現れます。しかもその相手は幸が信頼していたあの人。結構早い段階で怪しいとは思っていましたが・・。まあこれにもオチがあったのでその辺は読んでみてください。
ずっと気になっていた妹・結との関係は、最終巻になってもほぼ進展なしで、このまま終わるのか??と思ったらこちらも最後に大きな出来事が。でもこの問題に関しては残念ではありました。まあ姉妹なんて意外とこんなものかもしれません。
最後の最後は心がじ〜んと温まるような話もあり、ほろりと涙して終わりました。
全てがすっきり終わったわけではないので、まだまだ読んでいたい気はしましたが、とりあえず番外編的な物を書いてくださるそうなので、それを楽しみに待つことにします。
また新たなシリーズも書いてくれるかな?楽しみです。
<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」
「合流篇」
「風待ち篇」
「出帆篇」
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