2022年06月23日

小前亮「残業税」

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 小前亮 著
 「残業税」
 (光文社文庫)


残業をすればするほど取られる税金が増える「時間外労働税」が導入された。残業時間は劇的に減って、社会のありようは変わりつつあった。だが、もっと働かせたい企業も残業したい労働者も多く、サービス残業という「脱税」は絶えないのだが・・。根っから真面目な残業税調査官と熱血労働基準監督官が働く人たちのために奮闘する、リアルすぎるお仕事ミステリー!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

税金について詳しくないので、読み始めた時は「残業税」という物があるのかと思ってしまいました。よく考えたら払ったことないわ、と思い、架空の話だとわかって興味深く読み進められました。


正式名称は「時間外労働税」なるほど、こういう税金があっても面白そうとか思いつつ読んでいたのですが色々問題が出てきて、そう簡単には導入できない税金だということは分かりました。

税金を課せられなくてもサービス残業が多いのに、税金まで課せられたら更に増えそうですし、当然脱税も後を絶たないでしょう。

残業はさせられないけど、仕事は終わらない、となると人員を増やして、時間内に一気に済ませるしかないわけですが、何人もで出来る仕事も限られてくるでしょうし、なかなか難しそうです。

話の中でも問題が次々起こっていくわけです。それを残業税調査官と労働基準監督官が調査して税金を徴収していきます。


半分くらいまで面白く読んでいたのですが、税金の仕組みの細かい所を読み飛ばしていたらだんだんわからなくなってきました。後半は読むのが苦しくなり、結局挫折しました・・。

もっと税金について詳しく知っていくようにしないとこの話の面白さは完全にわからない気がします。なぜ「残業税」は実際には導入できないのか、なぜ脱税が増えるのか、などなどがわかっている方は楽しめると思います。

もう少し社会について知ってから読みなおしたいと思います。・・・いつになるやら。


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タグ:小前亮

2022年06月20日

柴田よしき「クリスマスローズの殺人」

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 柴田よしき 著
 「クリスマスローズの殺人」
 (祥伝社文庫)


女吸血鬼探偵メグが引き受けたのはよくある妻の浮気調査のはずだった。監視を続ける家から人の気配が消えた。不審に思って駆けつけると、家にいるはずの妻はおらず、海外出張へ出たはずの夫の惨殺体が・・。折しもクリスマスローズの花を死体のそばに撒く連続殺人が頻発。メグの発見した事件もとんでもない方向へ!二転三転、奇想天外の吸血鬼ミステリー。−裏表紙より−


シリーズ第2弾です。

シリーズにはなりそうですけど、やはりミステリ部分が軽くなってしまいますね。

だって、吸血鬼なるものが存在する世界の話ですから。

普通の人間だったらあり得ない行動も出来るので、普通のミステリのように考えても無駄な部分があります。

例えば、人型以外にも変身出来たり、仮死状態になれたり。一旦死んだふりをして抜け出すとか、蝙蝠に変身して脱出するとか出来るんですよね。なので、普通なら容疑者にならないはずの人が実は犯人ということもあり得ます。

つまり、人間が考えてもわからない、ということですね。

ということで、ミステリ部分の謎解きは置いておいて、他の部分で楽しむ作品だといえます。


ミステリですけどファンタジーなので、ファンタジーが苦手な方は読みにくいとは思います。私はどちらも大好きなのですんなり受け入れられましたし、吸血鬼の世界ってどんな感じ??と興味津々で読み進められました。


不便なことも多いので、なりたいとは決して思いませんけど。


<吸血鬼ミステリー>
「Vヴィレッジの殺人」


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2022年06月17日

松岡圭祐「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論W シンデレラはどこに」

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 松岡圭祐 著
 「ècriture 新人作家・杉浦李奈の推論W シンデレラはどこに」
 (角川文庫)


中堅・グライト出版が大々的に売りだした新人作家REN。刊行した作品が女子中高生を中心に次々ベストセラーになるが、既刊からのパクリ問題が浮上しブームは突如として失速。出版界の事件を解決してきた李奈には、被害作家からの相談がよせられる。自著からの盗作も判明し、頭を悩ませる中、別の難題も抱えていた。「シンデレラの原典を探れ」という不可解なメールが届いたのだ。送り主の意図、そしてその正体は一体・・!?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。以前から感想を読んで面白そうだとチェックしていた作家さんだったので、「本が好き」で献本申し込みしました。

シリーズの4作目から読むことになったので、登場人物の細かい設定などはわかりにくい部分がありました。ただ、そこは読み進めるのに大きな問題とはならなかったので助かりました。


杉浦李奈は作家として活動していますが、どうやらあまり売れていないようです。出版されている本も少ない様子。でも彼女には謎解き能力があるので、出版界での事件などを解決してほしいと様々な人から声をかけられています。

本人としてはそれよりも作品を出させて欲しいわけですが。


今回持ち上がった事件は、ある作家による盗作疑惑問題でした。RENという新人作家が出す本が次々とベストセラーになり注目されますが、どうやらあまり売れていない作家の作品を盗んでいる様子。

ただ、盗作となると著作権で争うことになるのですが、その線引きが曖昧なので立証が難しいのです。確かに、小説の題材となる物、その設定、人物像、人物名などは考えることって重なることも多いですから、どこまで似ていたら盗作なのか?は微妙になってきます。

登場人物の名前から設定から全部同じだともちろんパクリとなるわけですが、性別を変えたり、住んでいる場所の設定を変えたり、少し違うようにすればそれはパクリとも言い難くなります。

でもパクられた人からすれば、絶対に自分の作品を使っている!とわかるわけです。小説を書くのが簡単という作家さんはいないでしょうから、血のにじむような努力をして生み出した作品をいとも簡単に盗まれたらかなりショックだと思います。

李奈の作品もパクられていることがわかり、この問題も解決しないといけないのですが、更に李奈の元に「シンデレラの原典を探れ」という謎のメールが届き、周りの人間に危害を加えると書かれていたため、そちらに取り掛かることに。

シンデレラの原典なんて考えたこともありませんでした。李奈がすでに知っているだけでもたくさんの話があり、調べていくと世界中に似た話があることがわかってきます。なかなかエグい内容の物もあり、なるほどと感心しながら読み進めました。

継母と義理の姉にいじめられる美少女という設定、そして王子様(お金持ちの男性)が助けてくれるという設定、苦労した子ども時代を過ごした人にとっては憧れの設定ですから、似たような話が作られるのは当然ではありますね。

日本にもあったのは驚きでしたけど。ディズニーのシンデレラで知った身としては、王子様、パーティー、魔法、ドレス・・と日本というかアジアではありえない設定なので。不幸な境遇の少女を領主が救うと考えればあり得ますね。

どのように解決したのか?は読んでもらったら良いですが、なるほどそうなりますか、って感心しましたし、爽快な結末でした。


盗作問題とシンデレラ、一見関係なさそうな問題ですが、きれいに回収されて面白かったです。ちょっとあっさりし過ぎな気はしましたけど、それまでの部分で興味深く読めたのが良かったです。

これは1作目から探して読まないといけないと思いましたし、他の作品も読んでみたいと思いました。
しかもすでに5作目も発売されている様子。急がないと!


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2022年06月13日

柚月裕子「チョウセンアサガオの咲く夏」

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 柚月裕子 著
 「チョウセンアサガオの咲く夏」
 (角川書店)


柚月裕子の13年がつまった短編集
美しい花には毒がある
献身的に母の介護を続ける娘の楽しみとは……。

柚月裕子は短編も面白い
「佐方貞人」シリーズ、「孤狼の血」シリーズ、『盤上の向日葵』『慈雨』など数々のベストセラー作品を世に送り出してきた著者。ミステリー、ホラー、サスペンス、時代、ユーモアなど、デビュー以来の短編をまとめた、初のオムニバス短編集。「佐方貞人」シリーズスピンオフ「ヒーロー」収録。柚月裕子の13年がつまった短編集。
−出版社HPより−


お気に入りの作家さんの作品集です。読みたいに決まっているので「本が好き」で献本申し込みしました。

「チョウセンアサガオの咲く夏」「泣き虫の鈴」 「サクラ・サクラ」「お薬増やしておきますね」「初孫」「原稿取り」「愛しのルナ」「泣く猫」「影にそう」「黙れおそ松」「ヒーロー」 が収録されています。

短編は何度か読んだことがありますが、オムニバス形式は初めてです。色んなジャンルの作品を書かれる方だとわかりました。

どれも面白かったですが、合うか合わないかはありますね。

表題作がやはり一番印象に残りました。でもとても短い話でびっくりしました。短いのに内容はギュッと詰まっていて、始めは親の介護をして大変な毎日を送る女性の話としてしんみりと読んでいたのですが、少しずつ方向が変わっていき、最後には「え〜!?」となりました。なかなかブラックな話です。

「初孫」これもブラックでした。なかなか子どもが出来ない夫婦の話で、こちらも応援するような気持ちで読み進めていたら最後にど〜ん!とオチが。まあそういうこともあるでしょうけど・・・いやいや、それはダメでしょう!な内容でした。

どちらも身内の話だけに怖さが倍増です。

「お薬増やしておきますね」「愛しのルナ」もブラックというかゾッとしました。オチが怖いのが多かったです。

「泣く猫」は短い話なのにほろりとさせられましたし、「ヒーロー」も感動的でした。

「ヒーロー」は佐方シリーズのスピンオフ作品で、シリーズのファンにはたまらない内容です。本人に自覚なく良い言葉をさらりと言ってくれる佐方にまた惚れ直しました。


目をそむけたくなるような話もありますが、この作家さんの新たな面が見られた気がして、読んで良かったです。

佐方シリーズだけではなく他の作品も読んでみようと思えました。

まだ読んだことが無い方にも、作家さんのことを知るきっかけとしてお勧めです。


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タグ:柚月裕子

2022年06月06日

神楽坂淳「うちの旦那が甘ちゃんで 3」

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 神楽坂淳 著
 「うちの旦那が甘ちゃんで 3」
 (講談社文庫)


江戸で「九両泥棒」というものが流行っていた。情報は入るが、盗難届は出ない。「十両以上の盗み」は打ち首、九両なら遠島。ぎりぎりの線を狙った盗賊だ。しかも、盗みに入るのは繁盛している料理屋ばかりらしい。風烈廻り同心の月也は、沙耶と料理屋を開いて囮捜査をすることに・・。大好評書下ろし時代小説。−裏表紙より−


2作目も読んだはずですが感想を載せていなかったようです。すでに内容は覚えていませんが。

相変わらずほのぼのとした雰囲気の話です。事件は起こるわけですが、そこまでひどい物ではないということと、同心であるはずの月也がのんびりしているのも原因でしょう。

お役目はしっかりこなしてはいるのですが、元々ほんわかとした雰囲気のする人なので、どうしてもふんわりとした話になってしまいます。


今回も小者の役目をはたしている妻の沙耶が目覚ましい活躍を見せます。本来であれば同心である月也が考えるべきことも、彼のいないところで考えて行動に移します。

沙耶は気配りの出来る人なので周りが手を差し伸べてくれて、彼女も実はあまり行動していない感じです。ある程度の考えを誰かに言うと、周りが具体化して実行してくれる。

羨ましい人物です。それだけ人間が良いということなのでしょうけど。


今回の事件は、かなり大掛かりな仕掛けで解決しましたけど、そこまでやらないとダメだったか?と後になると思いました。それくらいやった方がエンタメ性はありますけど。


巻の終わりには次作のプロローグ的な物が描かれているようです。次がいつ読むかわからないので、それまで読まずにおいておくことにしました。次の巻を読む前に読むつもりです。


<うちの旦那が甘ちゃんでシリーズ>
「うちの旦那が甘ちゃんで」


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タグ:神楽坂淳

2022年06月03日

買った本

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 近藤史恵 著
 「歌舞伎座の怪紳士」
 (徳間文庫)


新刊が出たら買うと決めている作家さん。不思議な話のような題名ですが、ファンタジーではなく現実的な話でした。



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 柴田よしき 著
 「クリスマスローズの殺人」
 (祥伝社文庫)


こちらも大好きな作家さん。シリーズ2作目です。


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 西條奈加 著
 「隠居すごろく」
 (角川文庫)


大好きな作家さんです。新刊が出たらとにかく買います。面白かったです。


2022年06月02日

椹野道流「最後の晩ごはん 秘された花とシフォンケーキ」

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 椹野道流 著
 「最後の晩ごはん 秘された花とシフォンケーキ」
 (角川文庫)


芦屋の定食屋「ばんめし屋」。節分の恵方巻きを振る舞う店員の海里と店長の夏神のもとを、作家の淡海が訪れた。彼は海里が小説のモデルであると発表し、騒ぎになったことを謝罪。そして罪滅ぼしのように、海里にオーディションを提案する。それは小さな店で行われる、往年の人気女優との朗読舞台。一方夏神は、昔懐かしい料理を復活させ、看板メニューにすべく動き始めるが、厄介な幽霊が現れ・・・。心震えるお料理青春小説第12弾。ポークチャップのレシピつき!−裏表紙より−


前作で騒ぎを起こしてしまった淡海先生が「ばんめし屋」に謝罪に来ました。かなり迷惑を被ったのですから許さなくても良いと思うのですが、さすが人格者たちはあっさりと許してしまいます。まあそうならないと話は進まないわけですが。

自分の小説が映像化される時に海里を使うことは諦めてくれたようですが、その代わりに彼にとあるオーディションを受けるように勧めます。

小さな店で行われている朗読劇のオーディション。朗読はしたことがない海里ですが、何でもやりたい気持ちがあるので、とりあえず受けに行くことに。

朗読劇といえば、小説なんかを読んでお客さんに聞かせるだけかと思ったら、なかなか奥が深そうです。

お芝居の経験があっても難しいようで、海里は苦戦することに。でも一緒に朗読劇をやる女優さんとその夫、更に店のオーナーとも知り合いになり、彼らは今後も海里に刺激をくれそうですし、助けてもくれるでしょう。良い出会いになりそうです。


ばんめし屋には、今回もこの世の者ではない者が現れます。霊的な物とはちょっと違いましたけど、夏神さんはなかなかの難題を突き付けられます。

この難題を乗り越えることで、夏神の悩みも少しクリアになったようです。

もちろん、眼鏡のロイドも元気に周りをかき回していますし、彼の発言で気付かされることも多いです。


海里がばんめし屋を離れる日は遠からずやってきそうですが、着実に一歩ずつ進んでくれそうで、安心して見ていられます。みんなが望む道を歩んでくれそうで、今後も楽しみです。

<最後の晩ごはん>
「ふるさとだし巻き卵」
「小説家と冷やし中華」
「お兄さんとホットケーキ」
「刑事さんとハンバーグ」
「師匠と弟子のオムライス」
「旧友とおにぎり」
「黒猫とドーナツ」
「忘れた夢とマカロニサラダ」
「海の花火とかき氷」
「聖なる夜のロールキャベツ」


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posted by DONA at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:椹野道流

2022年06月01日

5月のまとめ

幸腹な百貨店 (講談社文庫)幸腹な百貨店 (講談社文庫)
2作目から読んでしまったので、戻って読んで人となりがわかって良かったです。百貨店もつぶれる所が多いご時世ですから大変なんでしょうね。スーパーと同じ物を売るわけにもいかず、でも町ともうまく溶け込まないとやっていけない。今回はうまくいきましたけどこの先どうなるやら。
読了日:05月09日 著者:秋川滝美


隠居すごろく (角川文庫)隠居すごろく (角川文庫)
隠居なんてしても暇なだけなのに・・と思ったらやはりそうなって、どんどんボケちゃうぞ?と心配していたら何とも楽しい展開になりました。次々巻き起こる難題をさすがの貫禄で解決していって素敵な老人になっていく様子は読んでいて楽しかったです。素敵な時間になりました。最後が残念な展開でしたけど。出来れば続編も読みたかった。
読了日:05月19日 著者:西條 奈加


機捜235 (光文社文庫)機捜235 (光文社文庫)
また新しいシリーズに出会ってしまった!また追わないといけなくなる・・という嬉しい悲鳴です。機動捜査隊の話はなかなか読むことないですけど、良いですね。警察には色んな仕事があるんだと改めて感心しました。しかし、まだ交番の警察官と何が違うんだろう?とは思います。警視庁と所轄の違い??
読了日:05月25日 著者:今野敏


ぶたぶたのお引っ越し (光文社文庫)ぶたぶたのお引っ越し (光文社文庫)
色んな引っ越しの風景に現れるぶたぶたさん。引っ越し業者ではないのか・・とちょっと残念な気持ちにもなりますが、これはこれで面白かったです。今回、お子さんのことも多めに描かれていてお得な気分になりました。
読了日:05月27日 著者:矢崎存美


神様の子守はじめました。〈4〉 (コスミック文庫α)神様の子守はじめました。〈4〉 (コスミック文庫α)
今回もドタバタ劇がたくさん。ちょっと怖い話もありましたけど、ラストが良い感じだったのでホッとしました。4人(?)とも素直でかわいく育っていて今後も楽しみです。
読了日:05月31日 著者:霜月 りつ




全部で5冊。なかなか読めない本もありましたが、後半は次々読めて良かったです。

特に印象に残ったのは「隠居すごろく」「機捜235」です。

posted by DONA at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ