2022年05月27日

三川みり「仙文閣の稀書目録(1)」

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 三川みり 著
 「仙文閣の稀書目録(1)」
 (角川文庫)


巨大書庫・仙文閣。そこに干渉した王朝は程なく滅びるという伝説の場所。帝国・春の少女、文杏は、1冊の本をそこに届けるべく必死だった。危険思想の持主として粛清された恩師が遺した、唯一の書物。けれど仙文閣の典書(司書)だという黒髪碧眼の青年・徐麗考に、蔵書になったとしても、本が永遠に残るわけではないと言われ、心配のあまり仙文閣に住み込むことに・・。命がけで本を護る少女と天才司書青年の新感覚中華ファンタジー!−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

中華ファンタジーです。いつも思うんですけど、なぜ中華にする必要があるんでしょう?? 日本の名前が着いていたらファンタジー感が薄れるからでしょうか? 日本の名前が付いていてもファンタジーにはなれますけどね・・。まあそれはともかく。


身寄りのない少女・文杏は、育ての親でもある恩師が危険思想を持つものとして処刑されてしまい、その知らせを受けて呆然としている間に彼の遺した書物が焼かれそうになっていることを知り、それだけは守らなければと持って逃げだします。

突然の別れに悲しむ暇もなく、せめて彼の遺した言葉たちだけでも守らなければならないと思い詰めた文杏は、納められた書物はどんな物でも守られるという巨大書庫・仙文閣の存在を思い出し、そこに持って行くことを決めます。


どこにあるのか正確な場所は知らないという文杏。道中にも何度か狙われそうになることもあり、これは書庫に辿り着くまでの大冒険がメインになるんだろうと思っていたら意外とあっさり到着してしまいます。

書庫に着いた後からの方が色んなことが起こってきます。

仙文閣の司書・麗考に出会い、書庫に収められても永遠に残るわけではないと知らされたことで、大事な書物をそこに収めても良いのか悩んでしまった文杏。そんな彼女に、しばらくここに留まって決めたら良いと言ってくれたので、麗考と共に寝泊りして仕事を手伝うことになりました。


彼が時々見せる謎の行動や、同僚たちの働きぶりなどを見ながら過ごしながらも迷い続けることになります。


普段なら本にそこまでの思い入れをするのは理解できないのですが、今回は恩師の遺産ですし、世の中に一冊しかない物ですから、命がけで守ろうとする気持ちは理解できる気がしました。でも命の方が大事でしょ?とは思いますけど。

黒幕が誰か?は私でも予想出来ましたからその辺りはまあそうだよね、という感じですが、それ以外の部分は楽しめました。

何よりこの仙文閣という場所が魅力的でしたし、そこで働く人たちの姿も素敵でした。


シリーズになるのであれば(題名に番号があるということはなるでしょう)、文杏の成長ぶりが見たいと思います。また仙文閣の雰囲気につかりたいです。


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タグ:三川みり

2022年05月20日

沖田円「雲雀坂の魔法使い」

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 沖田円 著
 「雲雀坂の魔法使い」
 (実業之日本社文庫)


ある町の片隅に、少女のような風貌の魔法使い・翠が営む『雲雀坂魔法店』がある。その店を訪れるのは、人知れぬ悲しみや孤独、後悔を抱えた人々。幼馴染との関係に苦しむ女子中学生、余命わずかの画家、物語が書けない小説家・・。翠は、彼女らの心の奥底に眠る「真実」を感じ取り、希望へと繋ごうとするが―。読むたびに涙あふれる珠玉のストーリー。−裏表紙より−


初めましての作家さんです。


「春めく傷痕」「夏風の幸福」「秋雨の道しるべ」「冬が明ければ」「雲雀坂の魔法使い」の5編収録されています。


1話目を読み始めたら、私の嫌いなタイプの話だったので、最後まで読める気がしなかったのですが、何とかそれを乗り越えると面白かったです。


雲雀坂という所にある魔法使いが営む店に持ち込まれる様々な問題や人生が描かれています。魔法使いに悩みを打ち明けたら魔法で何とかしてくれるのかと思ったら、この魔法使いはほとんど魔法を使うことはないんですよね。簡単に魔法で解決しても、真の解決にはならないということで、薬をくれたりアドバイスとまではいきませんが、ちょっとした言葉を掛けてはくれます。それを聞いて自分で考え直すきっかけにはなるようです。


1話目は恋愛物ですし青春物です。どちらの気持ちもわかるけど、やっぱり私はこういう話は苦手だな・・。理由はわかりませんが、昔から好きだ嫌いだの話が苦手です。


2話目以降は恋愛絡みもありますが読みやすかったですし、「夏風の幸福」「冬が明ければ」は電車の中で読んでいなければ泣いていたと思うくらい感動しました。

相手を想う気持ちと、それがうまくいかないもどかしさが、より一層涙を誘いました。


最終話は魔法使い本人の話になっています。彼女が魔法使いになろうとした経緯や成長の様子などが描かれています。始めは誰の事かな?という感じなのですが、わかってくると話が沁みてきました。


魔法は使わないですが、ある意味、魔法を使っているような雰囲気があって、最後まで読み切ることができました。もっとこの世界に浸っていたいような気持ちにもなったので、もし続編があったら読んでみたいです。


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タグ:沖田円

2022年05月02日

4月のまとめ

最後の晩ごはん 秘された花とシフォンケーキ (角川文庫)最後の晩ごはん 秘された花とシフォンケーキ (角川文庫)
イガはどんどん良い子になっています。言動が本当に立派になって感心しきりです。今の彼なら芸能界に戻っても地に足を付いてしっかりやっていけそうです。でもまだしばらくはお店にいてほしいですけど。
読了日:04月06日 著者:椹野 道流


うちの旦那が甘ちゃんで 3 (講談社文庫)うちの旦那が甘ちゃんで 3 (講談社文庫)
相変わらずほのぼのと話が進んで、周りの協力によって事件は解決。ミステリに疲れた時に読むのにちょうどいいシリーズです。前振りは次を手に入れてから読むことにしました。
読了日:04月11日 著者:神楽坂 淳


クリスマスローズの殺人 (祥伝社文庫)クリスマスローズの殺人 (祥伝社文庫)
シリーズ2作目。あっさりと読んでしまえる作品です。そして何となく話の流れがわかってしまったのは残念。でもそうでなければこの世界観にする意味も無いですから仕方ないかな?
読了日:04月15日 著者:柴田よしき


残業税 (光文社文庫)残業税 (光文社文庫)
税金の仕組みがいまいち理解出来ないまま読み進めていたら途中で挫折しました・・。残業税、もし本当に導入されたら申告しない会社多そうです。
読了日:04月22日 著者:小前 亮


歌舞伎座の怪紳士 (徳間文庫)歌舞伎座の怪紳士 (徳間文庫)
久澄と共通する部分が少しですがあって励まされた気がしました。傷ついて働けなくなった身内に対してこんなふうに温かく見守ってくれる家族、本当に羨ましいです。
歌舞伎、生で見たら面白いんだろうなと思いつつまだ見る機会がありません。いつか見てみたいです。
読了日:04月27日 著者:近藤史恵




全部で5冊。読み切れたのは4冊ですけど。

ページ数の少ない作品が多かった割に読めていませんね・・。
posted by DONA at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ