
鴨崎暖炉 著
「密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」
(宝島社文庫)
「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」との判例により、現場が密室である限りは無罪であることが担保された日本では、密室殺人事件が激増していた。そんななか著名なミステリー作家が遺したホテル「雪白館」で、密室殺人が起きた。館に通じる唯一の橋が落とされ、孤立した状況で凶行が繰り返される。現場はいずれも密室、死体の傍らには奇妙なトランプが残されていて―。−裏表紙より−
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「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」という判決が出されて以降、殺人事件といえば密室殺人となるほど流行っていた時代の話です。もちろん、現実にはそんな時代はありませんけど。
この判例はつまり、密室殺人事件で密室トリックが解明出来なければ、容疑者が密室内以外どこにいようともアリバイが証明できなくても容疑が晴れるということです。
だから、殺人事件を起こそうと思ったら、変にアリバイ工作するよりも、密室を作ってしまった方が確実だということになり、密室殺人が多発していました。
でも素人が簡単に密室を作れるはずもなく、密室つくりの達人みたいな人が登場します。まあそれは自然な流れですけどね。
そんな時代に、とあるミステリー作家が遺したホテルで密室連続殺人が起きます。そのホテルは作家が生きている頃に密室を作ったことがあり、いまだにそのトリックが解明されていないため、密室事件に興味を持っているマニアから人気になっていました。
ミステリーファンの中でも密室殺人のマニアでもある人たちが泊っている中で起きる連続殺人事件。ホテルに通じる唯一の橋も落とされてしまい、部屋だけではなくホテル自体も大きな意味での密室状態でした。犯人は必ず宿泊客の中にいるわけで、誰が犯人なのか、密室のトリックは解明できるのか、動機はなんなのか、など謎が次々と。
殺人が起きる度に、新たな密室が作られるので、密室殺人が好きな方にはたまらない作品だと思います。私も嫌いではないのですが、想像力が乏しいせいもあって、密室の様子がいまいち頭で再現できないのがもどかしかったです。
簡単な図はついているのですがそれだけでは理解出来ないこともたくさんありました。殺人のドラマはあまり気持ち良い物ではないですが、これはぜひ映像化されたものを見てみたいです。
トリックを暴く人の解説と共に密室の様子を映像でしっかり見せてほしいです。そうしないと「なるほど!」と思えません。
しかし、これだけ何個も密室が出てくると、作家さんの頭ものぞいてみたくなりますね。どういう構造をしていたらここまで次々思いつくんでしょう。変なことに興味がいってしまいました。
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