
柴田よしき 著
「あんの夢 お勝手のあん」
(ハルキ文庫)
安政の大地震から一年も経たず、颶風の高波に品川の街は呑みこまれてしまった。品川宿の宿屋「紅屋」も、かろうじて建ってはいたが、一階はすべて水に浸かり、二階は強風で屋根も壁も壊れて使い物にならなかった・・・。紅屋は建て替えのため二ヶ月の休業が決まり、その間、やすは政さんに親戚であるおくまさんから紹介された深川の煮売屋へ、年内いっぱい料理修行にでることに―。大好評「お勝手のあん」シリーズ、待望の第五弾!−裏表紙より−
前作でどうなることか?と心配になった災害ですが、紅屋はきちんと対策をしていたので食料などは無事に確保できていました。お陰で比較的早く再開できたのですが、さすがに以前のようにお客をたくさん泊めるほどは回復できず、日々の暮らしに困っている人たちを泊めて休憩させてあげる形でした。
あまり新鮮な食料も調達できないので、蓄えている物をいかに美味しく食べてもらうかという工夫が必要でした。そんな工夫もおやすにとってはいい勉強になっています。
壊れた二階を修理するため、しばらく休業することになった紅屋ですが、他の奉公人はのんびり休養したり田舎に帰ったりしていましたが、おやすは勉強をするため、煮売り屋へ住み込みで働きにいくことに。
紅屋も良い人ばかりですが、煮売り屋の女主人もとても良い人で、さっぱりと言いたいことを言いますが、気持ちはこもっていて、美味しい料理が食べられると評判になっていました。
煮売り屋というのは、今でいうところのお惣菜屋さんでしょうか。それを店で売るのではなく、売り子が売り歩いています。石焼き芋のお惣菜バージョンみたいなものですね。
お客さんは独身男性や、子どもをたくさん抱えている主婦。あまり裕福とはいえない庶民がターゲットなので、安価で温め直さなくても美味しく食べられて、おかずの一品にもなって、酒のつまみにも出来るような惣菜を作らないといけません。
しかも、女性ひとりで作っているので、手軽に短時間で仕上げられる物でないといけません。色々な制約がある上に、当然美味しくないと買ってくれませんから、どんな惣菜を作るかを考えるのは、おやすにとってもいい勉強になりました。
前回に引き続き、お小夜さんが作れる料理も新たに考えないといけませんし、立ち止まる暇がないおやす。試練があればあるほど、強くたくましくなっていくおやすですから、今回も大きく成長出来ました。
そして、ほんのほんのわずかですが、何となく恋の雰囲気も??
おやすには幸せになってもらいたいので、ぜひ良い人に巡り会って、それをまた料理に生かしてもらいたいです。
続きも楽しみです。
<お勝手のあんシリーズ>
「お勝手のあん」
「あんの青春〜春を待つころ〜」
「あんの青春〜若葉の季〜」
「あんのまごころ」
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