
横山秀夫 著
「ノースライト」
(新潮文庫)
北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。過去からの呼び声。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。−裏表紙より−
久しぶりの横山秀夫作品です。
警察小説以外では「クライマーズ・ハイ」「陰踏み」に続いて3作目です。
やはり、警察小説が良いですね。でもこれも面白かったです。ちょっとマニアック過ぎる部分があって理解出来ていないところもありましたけど。
建築士・青瀬は、依頼人からの「自分が好きなように建てて欲しい」という要望に応えて、今までで最高傑作とおも言える家を建てました。業界からも評価されたその家は、その後、他の人からも「同じような家を建ててほしい」と言われるくらいの物件になりました。
中も見てみたいと言われた青瀬は、住人に連絡を取ろうとするが、電話が全く通じず不審に思い、家まで行くと、どうやら一度も住んでいない様子でした。
しかも誰かに荒らされていて、鍵も壊れていました。中には窓から外を眺めるように置かれた一脚の椅子。
住人はどこに行ったのか、住まない家をなぜ青瀬に建ててくれと依頼したのか、置かれた椅子の意味は?と様々な疑問にいきあたり、とにかく住人の行方を探し始めます。
建築士が、一度引き渡した家を見に行くことはあるのか疑問ですが、思い入れのある家だけにそういうこともあるのかもしれません。家主の思惑が気になり、後半はほぼ一気読みでした。
青瀬の人生だったり、他の仕事の話だったりはあまり興味がわかなかったのですが、大掛かりな仕掛けというか思いに最後まで納得いかない部分もありました。
残された椅子についても色々と探り始めますが、その辺りの記述は理解できているか自分でも疑問です。とはいえ、そんな魅力的な椅子だったら一度は座って見たい気もします。
家主と青瀬の因縁?やそこまでして家を建てる意味なんかは共感出来ませんでしたが、青瀬が設計した家が見てみたいと強く思いました。題名から予想できるように、北からの光を取り入れるという家。土地の傾斜などをうまく利用した家のようですが、北からの光を入れようなんてよく実行できたなと感動しました。
暗くないんだろうか?寒くないんだろうか?など色んな疑問がわきます。
でもきっと柔らかい光が入り込む素敵な家なんだろうと思うと、見てみたいものです。
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