2022年01月24日

乃南アサ「美麗島紀行」

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 乃南アサ 著
 「美麗島紀行」
 (新潮文庫)


美しき、麗しの宝島、台湾。数奇な運命を辿ったこの島に魅了された作家が、丹念に各地を歩き、人々と語り合い、ともに食べ、その素顔を描き出す。日本人の親友の妹と結婚した考古学者、日本統治下時代を「懐かしくて悔しくて」と語る古老、零戦乗りを祀る人々。そうした彼らの面影には私たちが見失った私たち自身の顔も浮かび上がるのだった――。歴史と人に寄り添った、珠玉の紀行エッセイ。−裏表紙より−


エッセイとか自叙伝とか苦手なんですが、以前、この作家さんのエッセイを読んで面白かったので、今度は旅行記にチャレンジしてみました。

旅行先が台湾ということで、こちらも興味がありました。特に行きたいという想いはないのですが、台湾について知りたくて。

台湾がどこにあるかということは知っていますし、大体の大きさとか雰囲気はわかります。でもそれくらいの知識しかありません。知識と呼べないほどです。

そんなに浅い感情しかないのに、台湾の方は東日本大震災の時には真っ先に救助隊を派遣してくれましたし、多額の義援金も寄付して下さいました。親日家が多いともよく聞きます。

台湾に対して日本はどんなことをしてきたのだろう?と疑問でした。でもこの作家さんのように行って確かめよう!という行動力も強い思いもない私。ちょうど良い本に出会えました。


読み始めると、作家さんも同じ疑問を持って旅行していることがわかり、興味津々になりました。でも出てくるのは日本が台湾を占領して統治していたという話ばかり。

そうだよね、歴史というか現代社会の授業で習ったような気がしていたんだよな・・。なのにどうして親日家が多いんだろう?

色んな所に出かけて行っては台湾の歴史を学ぶ作家さん。その度に「日本に占領されて」と出てきます。なかなか答えが出てきません。


最後まで読んで何となくわかったのは、結局、日本が台湾から去った後、中国など他の国に占領された時の方がよりひどい扱いを受けたから、日本の方が良かったという感じだったのか?ということ。

もっと劇的に何か貢献したのかと思ったらそんな感じか・・とちょっとがっかり。

でもどんな理由であれ、辛い目に合わせてきた、ひどいことをしてきた私たちの国に対して、親しみを覚えてくれたり、助けようと思ってくれたりしてくれるのは本当にありがたいですし、感謝しかありません。


もう少し台湾のことを知る努力をすることは必要ですね。まずは学校の授業で現代社会をもっと詳しく教えていってほしいと思います。私は台湾の話題にもっと耳を傾けようと思います。


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2022年01月20日

今野敏「継続捜査ゼミ2 エムエス」

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 今野敏 著
 「継続捜査ゼミ2 エムエス」
 (講談社文庫)


警察学校校長を最後に退官した後、女子大教授となった小早川は未解決事件を取り上げる「継続捜査ゼミ」を主宰する。5人のゼミ生が次のテーマを「冤罪事件」に決めるなか、学園祭でのミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶と小早川が議論を交わした後、高樹がキャンパスで襲撃された。傷害容疑で任意同行を求められる小早川。疑いが晴れない教授のため、ゼミ生たちが推理と行動を始める! 女子大を舞台にした人気シリーズ最高潮!!−裏表紙より−


シリーズ2作目は、継続捜査のことよりも、小早川が傷害事件の容疑者になったことを重点的に描いています。

学園祭が近づく大学。学生たちも準備に忙しく、空気も浮足立っている感じです。でも小早川のゼミ生たちは意外と変化がなく、いつも通りに生活しているようです。


学園祭の目玉となるのが「ミスコン」です。ミスコンなんて今もあるんだと思っていたら、やはり反対派がいるようで、ビラを配ったり演説したりして活発に動いていました。

小早川は「別にやっても良いんじゃない?」というスタンスだったので、反対派を先導する学生と議論をすることになりました。お互いに意見をぶつけ合った後、その日だけでは決着がつかなかったため、お互いの言い分を改めて考えるということで一旦別れました。

その後すぐに、その学生が何者かに襲われ、病院に搬送される事件が起きます。当然、直前に被害者と一緒にいた小早川が疑われます。事件に気づいて首を突っ込んでしまったせいもあるのですが、何を言っても容疑が晴れないどころか、小早川の言動が全て裏目に出てしまい。疑いが濃くなる事態でした。

表立って動けない小早川に代わり、ゼミ生たちが色々と調査を始めます。


ゼミの内容は冤罪事件を取り上げていました。ただ、そちらはあっさり終わりました。でもあっさりではありましたが、腹が立つ展開で、これはもう少し深く調べて欲しかった気はします。


小早川の件は、警察の動き方が気になりました。とりあえず誰も亡くなっていないわけで、ここまで真剣に捜査するものなのか?と思いましたし、何よりも自分の立場だけでここまで偏った捜査の仕方をするものなのか?と疑問でした。

現実世界ではもっと公平な見方をしてもらいたいものです。きっと実際にはこんなことはないと信じたいです。


<継続捜査ゼミ>
「継続捜査ゼミ」


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2022年01月17日

西條奈加「せき越えぬ」

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 西條奈加 著
 「せき越えぬ」
 (新潮文庫)


東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。離縁され故郷に帰る女。江戸から夜逃げをした夫婦・・。実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。一之介は逡巡するも決断する。友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない―。関所をめぐる人間ドラマを描いた圧巻の人情時代小説。−出版社HPより−


物語は、武藤という真面目な武士が箱根の関所を越えようとしている所から始まります。初めての箱根越えで汗だくになり、関所を越えるために必要な書類を濡らして文字が滲んで読めなくなってしまいます。

読めなくなるとは言ってもよく見れば読める程度だったのでいけるだろうと思っていたら、融通に利かない役人に止められてしまいます。融通が利かないというより、難癖をつけていじめているかのような役人の態度に、真っ向からぶつかって行ってしまい、ますます通してもらえなくなりました。

真面目過ぎるのも考え物です。

その役人の態度が気になった武藤は、下役と親しくなり、事情を聞くことに。事情を知っても放っておけば良いのに首を突っ込んでしまったため、関所の番士を入れ替える事態にまで発展し、気付けば武藤自身が番士として勤務することになっていました。


二話目以降は、番士となった武藤たちの仕事ぶりが描かれていきます。

箱根の関所というのはあまり歴史に詳しくない人でも知っている有名な関所ですね。ここを越えると江戸に出られますし、逆に江戸にも入ることが出来る重要な場所でした。

将軍のいる江戸に怪しい人を入れるわけにいきませんし、重要な人物を江戸から出すわけにもいかない。最後の関門でした。


色んな人が関所を越えていきますが、特に印象に残ったのは妊婦さんの話でした。この時代、男性でも越えるのが難しかった箱根ですが、女性は更に大変でした。妊婦だからといって調べが甘くなることはなく、足止めされることも多かったようです。

ここに出てくる妊婦さんも調べに時間がかかってしまい、関所内で産気づいてしまいます。でもここで産んでしまったら、子どもと離れ離れにならざるを得ないということで、武藤たちは必死で策を練ることになりました。

奔走する様子を読みながらも、なんて大変な時代なんだと腹が立ちました。


武家の女性はもっと大変で、基本的には江戸から出ることは出来ないくらいでした。武家の女性は将軍家にとって人質のようなものだからです。色々理不尽な時代ですね。


最後の話がメインのようでしたが、これはあっさり終わり過ぎていたのでちょっと物足りない感じでした。この終わり方だと続編は無さそうですが、出来ればまた武藤たちの活躍が読みたいです。


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2022年01月11日

買った本

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 伊坂幸太郎 著
 「フーガはユーガ」
 (実業之日本社文庫)


感想が難しい作品でした。


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 今野敏 著
 「キンモクセイ」
 (朝日文庫)


こちらは内容が難しい作品です。


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 横山秀夫 著
 「ノースライト」
 (新潮文庫)


珍しく警察小説ではありませんでしたが、久しぶりに読めて嬉しかったです。


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 柴田よしき 著
 「あんの夢 お勝手のあん」
 (ハルキ文庫)


大好きなシリーズになりました。

2022年01月05日

12月のまとめ

美麗島紀行 (新潮文庫)美麗島紀行 (新潮文庫)
台湾という国について本当に知らないことだらけなことに自分で驚きました。東日本大震災で多額の義援金を下さったこと、どの国よりも早く救助隊を送ってくれたこと、なぜなんだろう?と思ったのに調べようともしませんでした。日本が植民地として支配していたというのに親日家が多いのが不思議ですし困った時に手を差し伸べてくれることに感謝しかありません。もっと日本人が勉強すべき事柄がたくさんありました。
読了日:12月08日 著者:乃南 アサ


ノースライト(新潮文庫)ノースライト(新潮文庫)
珍しく警察小説ではなく、建築士の話でした。北からの光を取り入れるって考えないな〜。私の乏しい想像力では彼の渾身の家が頭で再現しきれなかったのが残念です。悲しいことが多いですけど、きっとみんな幸せになれると思える結末で救われました。
読了日:12月19日 著者:横山秀夫


フーガはユーガ (実業之日本社文庫)フーガはユーガ (実業之日本社文庫)
辛い描写が多くて何度も目をそむけたくなる感じでした。双子だから支え合えたのはせめてもの救いなのかもしれませんが、最後が悲しすぎました。二人とも幸せになってほしかった・・。
読了日:12月23日 著者:伊坂 幸太郎


あんの夢 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-7)あんの夢 お勝手のあん (ハルキ文庫)
とにかくみんな無事で良かった。大きな被害を受けた割には早い立ち直りで、大規模な工事もすぐに始まりまた美味しい料理が食べられる旅館が再開できそうです。武者修行にも行けてまたおやすは大きくなりました。
読了日:12月29日 著者:柴田 よしき



全部で4冊。相変わらずの少なさでした。どの本も時間がかかった気がします。

特に印象に残ったのは「あんの夢」です。
posted by DONA at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ