2021年12月22日

吉永南央「紅雲町珈琲屋こよみ 初夏の訪問者」

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 吉永南央 著
 「紅雲町珈琲屋こよみ 初夏の訪問者」
 (文春文庫)


お草が営む紅雲町の小蔵屋では、近頃町にやってきた親切で物腰がスマートな男のことが話題になっていた。ある日、その男は小蔵屋を訪ね、お草に告げた。「私は、良一なんです」。お草が婚家に残し、三歳で水の事故で亡くなった息子・良一。男はなんの目的で良一を騙るのか、それとも・・。ほろ苦くも胸を打つ人気シリーズ第8弾。−裏表紙より−

あらすじを読んでびっくり! まさかの出来事です。でももし本当に生きていてくれたらどんなに良いか、と期待してしまいました。

お草さんはさすが母親だからわかるのか、ほとんど動じることなくその言葉を聞いていました。でも実は息子が事故で亡くなった時、遺体を見ていなかったそうで、そんなことを聞いたらますます本当に息子なんじゃないの!?と期待が膨らみます。

でも冷静なお草さんは、なぜ彼がそんな発言をしたのか、どんな目的があるのかを冷静に聞いていきます。昔の手紙を見せられたり色々証拠という物を出してくる彼に、静かに諭すお草さん。

何より、久実ちゃんにも相談しませんし、親友にも言わないところが強い。

誰にも心配かけず、静かに動向を見守って対処していきました。


彼にまつわるアレコレ以外に、久実ちゃんの恋も色々あります。彼氏はなかなかの好青年っぽいので応援したいところですが、このままで良いのか?と不安になる出来事も。

久実ちゃんにはいつも笑っていてほしいです。


お草さんのお店はお客さんもたくさんついていて、売れ行きも好調です。これからも素敵なお店とお草さんの様子を読んでいくのが楽しみです。


<紅雲町珈琲屋こよみ>
「萩を揺らす雨」
「その日まで」
「名もなき花の」
「糸切り」
「まひるまの星」
「花ひいらぎの街角」
「黄色い実」


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2021年12月15日

近藤史恵「散りしかたみに」

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 近藤史恵 著
 「散りしかたみに」
 (角川文庫)


歌舞伎座での公演中、毎日決まった部分で桜の花びらが散る。だれが、なんのために、どうやって花びらを降らせているのか?女形の瀬川小菊は、探偵の今泉文吾とともに、この小さな謎の調査に乗り出すことになった。1枚の花びらが告発する許されざる恋。そして次第に、歌舞伎界で30年以上にわたって隠されてきた哀しい真実が明らかにされていく―。歌舞伎座を舞台に繰り広げられる。妖艶な魅力をたたえた本格ミステリ。−裏表紙より−


シリーズ2作目。前回も悲しい物語だった気がしますが、今回も・・。

起きた事件は、そこまで大きくなく、誰かが殺害されるわけでもありません。ただ、公演中に毎日同じ場面で花びらが一枚降ってくるだけ。

花びらが一枚落ちてくるだけなら放っておけば良いやん、と思いますが、その舞台に立って芝居をしている役者からすれば気になるもので。まあ確かに毎日毎日同じ場面で必ず一枚だけ降ったら気になるかもしれませんけど。

他の場面で降らしていた花びらが残っていて、ということでもないとなれば、誰が何のために降らせているのか?と調べたくなるのはわかる気がします。


師匠に「気になるから調べろ」と言われてしまったら、調べなければならないのが弟子というもので、小菊は友人でもある探偵の今泉に相談することにします。でもなぜか今泉は話を聞いたとたんに「調べるのはやめろ、放っておけ」と言い出します。辛く悲しいことに巻き込まれるからというだけで、細かい理由は語ってくれません。

そんな曖昧なことで師匠が納得するはずもなく、小菊は再び調べ始めます。そこで浮上したのが同じ歌舞伎役者の若手の人。ちょっと色気もあってモテるその役者の怪しげな行動に注目して調べるわけですが、彼は同じ場面で舞台に立っているので直接手を下すことは出来ない。

・・・と色々調べていくわけですが、進捗状況を知らせる度に悲しげになっていく今泉の様子も気になりますし、その役者の周りにいる人たちも気になり、誰が犯人なのか?ということよりも、どこに着地点があるのか?というのが気になってしまいました。

花びらを一枚降らせるだけなんですから、そこまで大きな動機ではないだろうと思っていたのですが、最終的には・・・。


謎が解明されると、歌舞伎の世界の狭さに呆れますし、そこまでして守らないといけない伝統って何なんだろう?と不思議でなりませんでした。

こんな結末を迎えるほどのことをしたわけでもないのに・・と色んな意味で悲しくなりました。

もっと気楽に生きてはいけないものでしょうか。伝統を守るって大変なことなんですね。

絶対に関わりたくないと思ってしまいました。まあ関わることはないでしょうけど。


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2021年12月06日

秋川滝美「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」

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 秋川滝美 著
 「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」
 (講談社文庫)


お祭り復興と連動し、閉店危機を免れた堀内百貨店だが、「聖域」であるデパ地下も売上低迷。事業部長の高橋伝治は、人気おにぎり屋を出店させようと奮闘するが、出来たてに拘りを持つ店主は断固拒否。バブル世代の高島マーケ部長、瑠衣そして若手店員の協力を得て「迷わば進め」の伝治が繰り出す奇策で奇跡が起こる!?−裏表紙より−


初めましての作家さんです。

読み始めてしばらくしてから2作目だと気づきました・・。それくらい1作目を読んでいなくても何とか理解できる内容で良かったです。ただ、登場人物の人となりを詳しく知りたければやはり1作目から読む方がより楽しめるとは思います。


百貨店の話なのですが、閉店危機を1作目でお祭り復興というイベントと共に盛り上げて乗り越えたようです。でもその時の危機は乗り越えても、その売り上げを継続しなければ閉店危機は続くわけで。

今回はやはり売り上げが落ちてきている店をどうやって盛り上げるか?を悩み苦しむ人たちの様子が描かれています。

ただ単に百貨店だけが売り上げを伸ばせば良いというわけにはいかず、すぐ近くにある商店街も共に売り上げを伸ばさないと、客は呼べないということでどうすれば両方に客を呼んで、商品を買ってもらえるのか?を考えないといけないのでより一層大変です。

しかも一時的な売り上げではなく、長期的に売り上げを伸ばす方法となると一人のアイディアでは何ともなりません。商店街の人たちや百貨店の店員、更には百貨店を経営する会社の事業部長も色んな店を巡りながら知恵を絞ります。


自分だったら、どんな百貨店だったら買いに行くか?ということを考えながら読みました。もともと買い物が好きでは無いので、結論から言うと「どんな店でも要らない物は買わない」っていう考えしか出ず。ではどんな物が要る物だろう?と考えるとやはり食べ物かな?となるので、この話の方法はある意味、正解なのかもしれません。

高価な物を買うなら百貨店に行こうとなりますけど、高価な物を買うのは一年に一回あるかないかですから、客足と売り上げを伸ばすためには地下を盛り上げるのが大事なのかもしれません。

でも単価が安いからな・・・とか、自分が経営しているわけじゃないのに色々と考えてしまいました。


今回の方法でうまくいくか?は疑問ですけど、これをきっかけにして相乗効果が出れば良いと思います。商店街も盛り上がってほしいです。シャッター街は寂しいですから。


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タグ:秋川滝美
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2021年12月01日

11月のまとめ

幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動 (講談社文庫)幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動 (講談社文庫)
どうやら2作目だったらしいです。でも何とか意味はわかりました。百貨店の立て直し物語で、お客様のことを考えて良い変化を作ることが出来て良かったですが、こんなことで売り上げは回復するだろうか?と不安です。出てくる人たちは良い人ばかりで好ましかったです。
読了日:11月01日 著者:秋川 滝美


散りしかたみに (角川文庫)散りしかたみに (角川文庫)
前作のことはほぼ忘れていましたが、確か悲しい物語だった気がします。今回も辛く悲しい物語でした。歌舞伎のことは全く詳しくないのですが、狭くて窮屈な世界なんだと思わされました。そこまでのことをしたわけでもないのに命を絶たなくても・・と思ってしまいますが、それがやはり狭い世界のせいなのだろうと思うと悲しいです。
読了日:11月05日 著者:近藤 史恵


初夏の訪問者 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)初夏の訪問者 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)
帯の言葉を見て、まさかそんなことがあるのか!?と驚いてしまったのですが、最終的にはやっぱりそうだよね・・と悲しくなってしまいました。草さんの心をかき乱すようなことは二度と起きて欲しくないと思います。でもいつも嫌なことは嫌、ダメなことはダメと言える草さんには憧れてしまいます。これからも元気でみんなの世話を焼いて欲しいです。
読了日:11月13日 著者:吉永 南央


せき越えぬ (新潮文庫)せき越えぬ (新潮文庫)
箱根の関所、昔は厳重で越えるのが大変な場所だったということは知っていましたが、女性が特に大変だとは。妊婦さんの話は一番ハラハラしましたが、どの話も終わり方が心地よくて読みやすかったです。最後の話はあっさりし過ぎな気はしましたけど。この感じだと続編は無さそうかな?
読了日:11月20日 著者:西條 奈加


エムエス 継続捜査ゼミ2 (講談社文庫)エムエス 継続捜査ゼミ2 (講談社文庫)
今回は継続捜査というか、冤罪事件を調査していました。小早川が事件に巻き込まれたのですが、被害者が亡くなっていない事件に警察がここまで力を入れて捜査するのか?と疑問に思いました。これくらい力を入れてくれると助かりますけど。現実にはどうなんでしょう?
読了日:11月20日 著者:今野敏



全部で5冊。相変わらずの少なさです。

最近は色々と片づけることにはまっているので、そちらに時間が取られています。でもまあすっきりと気分も良くなってまた新たに読書できたらいいかもしれません。

特に印象に残ったのは「初夏の訪問者」です。

posted by DONA at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ