
柴田よしき 著
「あんのまごころ お勝手のあん」
(ハルキ文庫)
品川宿の宿屋「紅屋」では、おやすが見習いから、台所付きの女中として正式に雇われることとなり、わずかばかりだがお給金ももらえるようになった。最近は煮物も教えてもらえるようになり、また「十草屋」に嫁いだ仲良しのお小夜さまが、みずから料理して旦那さまに食べてもらえる献立など、毎日料理のことを考えている。そんななか、おしげさんからおちよの腹にやや子がいることを聞いていたおやすは、日に日に元気がなくなっていくおちよの本音に気づきはじめて──。大好評「お勝手のあん」シリーズ、待望の第四弾!−裏表紙より−
おやすの今回の課題は、お小夜さんの旦那さんが食べる健康的で満足できる献立を考えること。こってりと濃い物が好きな旦那さんですが、身体のことを考えるともっと健康的な料理を食べてもらいたい。しかも、おやすが作るのではなく、普段ほとんど料理をしないお小夜さんでも作れる物という難題付き。
もちろん通常業務はしっかりこなしつつ、その献立も考えないといけません。店の人だけではなく、お医者様にも助言を求めながら日々試案を続けます。
今回は、この難題に加えて、おちよちゃんの妊娠という問題もあり、日々悩んでいるおやす。おちよちゃんの赤ちゃんは産むわけにはいかないということになったのですが、昔の中絶手術はかなり危険を伴うもので(今でも危険ではありますが)、まさしく命がけの事態に。色々悩んだ末、ようやく手術を受ける決心をしたはずですが、やはり思い悩むおちよちゃんに、おやすはもちろん、女中頭のおしげさんも何とか助けようと言葉をかけます。
こちらの問題はどうにかなりそうで安心しました。でもまだまだこれからも問題はあるでしょう。何とか幸せになってもらいたいものです。
お小夜さんが作る料理も、色んな人の力を借りながら何とか形になりました。その場面は読んでいるだけでお腹が鳴りそうなくらい美味しそうでした。今では簡単に作れるその料理ですが、道具が無いことや火加減の調節の難しさを考えると、この時代に作るのは本当に大変そうです。
でも拙い作り方をしているお小夜さんを見てニコニコ笑ってくれる旦那さんの人柄は、読んでいても嬉しくなりました。ほんと、良い所にお嫁に行きました。
問題が全て解決してこのまま穏やかに終わるかと思えば最後に大きな出来事が!
お店にとってはとても大きな損害になるでしょうが、働く人たちが良い人ばかりだということがよくわかったので、おやすの今後は安心だと思えたのは救いでした。
これからもきっとみんなで力を合わせて店を繁盛させていくでしょう。その様子を追いかけたいと思います。
それにしても気になるのは題名。「赤毛のアン」シリーズをなぞるのかと思ったら違うようですね。まあそれにこだわる必要もないんですけど。次はどんな成長を見せてくれるかな?楽しみです。
<お勝手のあんシリーズ>
「お勝手のあん」
「あんの青春〜春を待つころ〜」
「あんの青春〜若葉の季〜」
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