2021年05月26日

今村翔吾「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」

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 今村翔吾 著
 「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」
 (祥伝社文庫)※電子書籍


かつて、江戸随一(ずいいち)と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾(まつながげんご)。別名、「火喰鳥(ひくいどり)」――。しかし、5年前の火事が原因で、今は妻の深雪(みゆき)と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄(でわしんじょう)藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶(とび)」と揶揄(やゆ)される火消たちを率(ひき)い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。(解説・吉田伸子)−出版社HPより−


この作家さんの「くらまし屋」シリーズを読んで面白かったので、こちらも読んでみました。読書メーターで読友さんにお勧めもされました。

なるほど、面白かった!

くらまし屋は裏の稼業なわけですが、こちらはきちんとした公の仕事、火消です。しかも、武家火消。そういうのがあるのは知りませんでした。そういえば、よく「町火消」って言いますね。町人がやるか、武士がやるかってことでしょうね。なぜ両方必要なのかはよくわかりませんけど。

もしかしたら、武家屋敷での火事を町火消では消しにくいのかな?


このシリーズの主人公は松永源吾という火消として活躍していた人。昔は「火喰鳥」という異名を付けられるくらいのカリスマ的火消でしたが、大きな火事が原因で心に傷を負ってしまい、火消を辞めて浪人暮らしをしていました。

そんな彼の昔の姿を知っていた、とある武士から誘いを受け、出羽新庄藩の火消組織を立て直すという大役を引き受けることに。

財政難でもある藩なので、お金が掛けられない中での立て直し。もともといるメンバーたちも素人のような動きしか出来ない人たちでした。そこでまず始めたのは、使える人を探すことでした。

とはいえ、お金が足りないので町火消から引き抜いたり、他の藩から引き抜くわけにはいきません。

日常生活を送りながら、気になる人を見つけていった源吾。力が強かったり、身軽で屋根の上にも飛び乗れたり、風をよむことで火の流れをみることができたり、色んな才能をもった人たちを仲間にすることが出来ました。

せっかく良い仲間を見つけたのに、実は源吾に問題が。引退することになった5年前の心の傷が癒えておらず、実は火が怖かったのです。それをどうやって乗り越えていくのかが一つのテーマになっています。


昔は火事が起きたら、火を消すというよりも延焼を防ぐために風下の家を壊していくという方法で、火事を止めていました。何とももどかしい状態です。そんな危ない現場に飛び込んでいくのはかなり勇気がいるでしょう。

率先して飛び込んでいく源吾たちの姿は本当にかっこよくて、惚れ惚れしながら読み進めました。


更に、源吾の奥さんが良い味を出しているんです! 旦那さんに対して冷たい感じがするのですが、さすが火消の妻、かっこいい姿を見せてくれました。

続きも楽しみです。


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2021年05月21日

大崎梢「キミは知らない」

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 大崎梢 著
 「キミは知らない」
 (幻冬舎文庫)※電子書籍


父の遺した謎の手帳を見るなり姿を消した憧れの先生。高校生の悠奈はたまらず後を追うが、なぜか命を狙われるはめに……。すべての鍵は私が握ってる!? 超どきどきのドラマチックミステリー。−出版社HPより−


表紙の絵を見ていたら、ほのぼのとしていて、もしかしたら恋愛的な話なのか?と不安だったので、電子書籍で様子見しました。


物語の始まり方は、教師と生徒の恋愛!?という雰囲気だったのですが、どんどん怪しくなっていきました。


主人公・悠奈は高校生。どこにでもありふれた、と言えるかもしれません。少し違うのは、父親を亡くしたこと。しかも、病気ではなく火事に巻き込まれて亡くなりました。旅先での火事なので、悠奈と母親は家にいて無事でしたが、なぜ父親がその場所にいたのか、更に一緒に亡くなった女性がいたことも謎でした。

何となく母親にはその火事のことを聞けなかったのですが、父親の手帳を見つけて、学校の先生に見せた所から話は思わぬ方向へ。

手帳を見た先生が突然、学校を辞めて連絡が取れなくなってしまったのです。不審に思った悠奈が先生の住所を探り出して会いに行きます。そこにいたのは本当に同じ人物か?というほど変貌した先生が。


この辺りで一瞬「?」となってしまって、置いていかれる感じはあるのですが、それを乗り越えたらますますスピードupします。


先生の家から、父親が亡くなった火事の現場まで車で行けることがわかり、見に行くと、そこで悠奈は怪しい人物たちに拉致されてしまいます。

そこから次々と現れる怪しい人たち。誰もかれも怪しすぎて、誰を信じたら良いのか、誰が黒幕なのか、父親はなぜ死んだのか、先生の正体は、などなど疑問がいっぱい出てきます。

とにかく、出てくる人たちが多すぎて、しかも誰が誰の関係者なのかわからなくなってきて、相関図をどこかに書いて欲しいくらいでした。この人とこの人が恋人同士で、親子で・・など書いてもらわないと理解が出来なくなります。


悠奈が拉致される辺りから一気に面白くなっていきます。そこからはほぼ一気読みでした。

最後まで読んでも、そんなつまらないことで・・と動機については全く理解できませんでしたし、もっと早く話すべき人と話しておけばこんなに大変なことにはなっていなかっただろうに、とか色々考えてしまいました。


なかなか面白かったですけど、繰り返し読みたいか?というとそうでもないかも・・。

ということで、電子書籍で正解かな?


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2021年05月19日

柴田よしき「草原のコック・オー・ヴァン」

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 柴田よしき 著
 「草原のコック・オー・ヴァン 高原のカフェ日誌 season2」 
 (文春文庫)


奈穂のカフェ「Son de vent(ソン・デュ・ヴァン)」二度目の四季。東京で傷ついた心は百合が原高原で働く日々の中で癒されてきた。村役場の青年・涼介との愛情を育む平和な日々。そこに都会から元ギタリストがやって来る。ワイン造りを志す彼を奈穂は何くれとなく助ける。やがて二人の仲が取り沙汰され始め―。好評シリーズ第二弾。−裏表紙より−


東京から離れて、百合が原高原での二度目の年を迎えている奈穂。冬は雪深い場所なので、カフェを休むことも考えていたのですが、試行錯誤の末、結局はそのまま営業を続けることに。

ある人からお願いされた、結婚パーティーをカフェで開催出来たことが自信になりました。いつものカフェ料理よりも少し手を加えて華やかにしつつ、でも菜穂だけで作らないといけないので、適度な簡素化も図りつつの準備になりましたが、それが意外とうまく行ったことで、こういう需要があれば続けられるかも?と思えるようになります。


奈穂が色んな思い付きを試行錯誤して新たなメニューやビジネスを開発していくのがすごいと思いました。慣れない土地にもうまく馴染んでいますし、住人達との距離感も良い感じです。あまりベタベタし過ぎず、でもみんなが菜穂や店のことを心配していて、困った時には助けてくれる関係。読んでいてうらやましくなりました。


そんなとき近所に、東京からある男性がやって来ました。実はこの男性は人気バンドのギタリストだということがわかり、地元の人たちは大騒ぎになります。スキャンダルも抱えているその男性・大地のことを、何となく気にかけるようになった奈穂に、様々な問題が降りかかります。

大地がどんな思いでこの土地にやって来たのか、本当に根付くつもりはあるのか、地元の人たちの心配もわかりますが、こういう時、田舎は怖いなと思ってしまいます。

人情味があって温かいと言われがちな田舎ですが、やはり狭いコミュニティだけに、一度外れると仲間外れ感がすごい。彼がどうやってこの地に馴染んでいくのかも今後描かれていくでしょう。

同じように東京で挫折して移住してきた奈穂もうまく支えていくことになると思いますが、彼女には婚約者がいるのでそれも難しい所です。


彼の今後も、奈穂のカフェの今後も、人生も色々気になることがあるので、続きも楽しみに待つことにします。


<高原のカフェ日誌シリーズ>
「風のベーコンサンド」


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2021年05月10日

大門剛明「罪人に手向ける花」

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 大門剛明 著
 「罪人に手向ける花」
 (ハルキ文庫)


癒し系女性検事・黒木二千花、登場!ゆったりめのワンピースに、ふわふわと波打つ長い髪。笑顔を絶やさず被疑者に向かい合う彼女には、元検事だった父の影響からか絶対に悪を赦さないという強い信念があった。その彼女が担当する殺人事件の被疑者は、かつて二千花の父が起訴を見送った男だった。その男は今度も無罪なのか、それとも・・。法廷ミステリーの旗手として注目を集める著者による新たなる検事小説。−裏表紙より−


読んだのは最近のことなのに、詳しい内容を忘れてしまっています。

結末なんかは覚えているのですが、感想を書きにくいので、またいつか再読したら書きます。




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2021年05月06日

4月のまとめ

草原のコック・オー・ヴァン 高原カフェ日誌II (文春文庫 し 34-20)草原のコック・オー・ヴァン 高原カフェ日誌II (文春文庫)
シリーズ2作目。ちょっと細かい部分を忘れていましたが、高原の風景が浮かぶような描写を読んでいるうちに少しずつ思い出しながらの読書になりました。冬の厳しさ、牧場経営、農家の大変さも少し知ることが出来、生き物の命をいただいていることへの感謝とか、色々勉強にもなる物語でした。仕事に対する姿勢が一番勉強になったかも。
読了日:04月03日 著者:柴田 よしき


キミは知らない (幻冬舎文庫)キミは知らない (幻冬舎文庫)
この可愛らしい表紙に騙されました。まさかこんな複雑な内容だとは。登場人物が増える度に、家系図が欲しい!と思ってしまいました。誰が誰のどういう関係??と頭の中が混乱しながら読み進め、そんなにしてまで守りたいものって何なんだろう?と最後まで理解できず。でも収まる所に収まった感じが心地よかったです。
読了日:04月09日 著者:大崎 梢


火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)
くらまし屋も面白いけど、こちらも絶賛されていたので読んでみました。確かに面白い!そして、カッコいい!始めは少し話に乗り切れない感じがあったのですが、後半は一気読みでした。火喰鳥か〜。素敵です。奥さんも最高です。次も早く手に入れて読みたいです。
読了日:04月14日 著者:今村 翔吾


ビストロ三軒亭の奇跡の宴 (角川文庫)ビストロ三軒亭の奇跡の宴 (角川文庫)
途中、不穏な空気が流れて心配しましたが、最後は明るく終わってくれて良かったです。精一杯がんばる人たちの物語は、心がやさぐれているとちょっと引いてみてしまうこともありますが、今回は穏やかに読み終えられてホッとしました。
読了日:04月16日 著者:斎藤 千輪


巡査さん、事件ですよ (コージーブックス)巡査さん、事件ですよ (コージーブックス)
のどかな雰囲気があまりなく、日本でいうところの下町という感じでした。他人との関りが濃いのを楽しめる人には良いかもしれませんが、ちょっと息苦しく感じました。巡査の人柄もいまいちわかりませんでした。シリーズが進むとわかってくるのかな?
読了日:04月22日 著者:リース・ボウエン



僕らだって扉くらい開けられる (集英社文庫)僕らだって扉くらい開けられる (集英社文庫)
ほんのちょっとした超能力が使える人たちの物語で、その能力のせいで助かったり、逆に苦しめられたりする日常が描かれています。そして最後には集結して大きな事件を解決!痛快な物語でした。時々ニヤッとしながら読み終えられる面白い話でした。
読了日:04月25日 著者:行成薫




3月は久しぶりの2桁でしたが、4月は約半分の6冊でした。

暇になったはずなのにおかしいな・・。なかなか読み終わらない作品があったせいでしょうけど。


特に印象に残ったのは「火喰鳥」「草原のコック・オー・ヴァン」です。

posted by DONA at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ