
今村翔吾 著
「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」
(祥伝社文庫)※電子書籍
かつて、江戸随一(ずいいち)と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾(まつながげんご)。別名、「火喰鳥(ひくいどり)」――。しかし、5年前の火事が原因で、今は妻の深雪(みゆき)と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄(でわしんじょう)藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶(とび)」と揶揄(やゆ)される火消たちを率(ひき)い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。(解説・吉田伸子)−出版社HPより−
この作家さんの「くらまし屋」シリーズを読んで面白かったので、こちらも読んでみました。読書メーターで読友さんにお勧めもされました。
なるほど、面白かった!
くらまし屋は裏の稼業なわけですが、こちらはきちんとした公の仕事、火消です。しかも、武家火消。そういうのがあるのは知りませんでした。そういえば、よく「町火消」って言いますね。町人がやるか、武士がやるかってことでしょうね。なぜ両方必要なのかはよくわかりませんけど。
もしかしたら、武家屋敷での火事を町火消では消しにくいのかな?
このシリーズの主人公は松永源吾という火消として活躍していた人。昔は「火喰鳥」という異名を付けられるくらいのカリスマ的火消でしたが、大きな火事が原因で心に傷を負ってしまい、火消を辞めて浪人暮らしをしていました。
そんな彼の昔の姿を知っていた、とある武士から誘いを受け、出羽新庄藩の火消組織を立て直すという大役を引き受けることに。
財政難でもある藩なので、お金が掛けられない中での立て直し。もともといるメンバーたちも素人のような動きしか出来ない人たちでした。そこでまず始めたのは、使える人を探すことでした。
とはいえ、お金が足りないので町火消から引き抜いたり、他の藩から引き抜くわけにはいきません。
日常生活を送りながら、気になる人を見つけていった源吾。力が強かったり、身軽で屋根の上にも飛び乗れたり、風をよむことで火の流れをみることができたり、色んな才能をもった人たちを仲間にすることが出来ました。
せっかく良い仲間を見つけたのに、実は源吾に問題が。引退することになった5年前の心の傷が癒えておらず、実は火が怖かったのです。それをどうやって乗り越えていくのかが一つのテーマになっています。
昔は火事が起きたら、火を消すというよりも延焼を防ぐために風下の家を壊していくという方法で、火事を止めていました。何とももどかしい状態です。そんな危ない現場に飛び込んでいくのはかなり勇気がいるでしょう。
率先して飛び込んでいく源吾たちの姿は本当にかっこよくて、惚れ惚れしながら読み進めました。
更に、源吾の奥さんが良い味を出しているんです! 旦那さんに対して冷たい感じがするのですが、さすが火消の妻、かっこいい姿を見せてくれました。
続きも楽しみです。
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