
今野敏 著
「任侠浴場」
(中公文庫)
日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、小さいながらも人情味溢れる昔ながらのヤクザ。人望の篤い親分・阿岐本雄蔵の元には一風変わった経営再建の相談が次々持ちかけられる。今度の舞台は古びた銭湯!? 乗り気な組員たちの一方、不安でいっぱいの日村。こんな時代にどうやって・・。そして阿岐本組は銭湯の勉強と福利厚生(?)を兼ねてなぜか道後温泉へ―。大好評「任侠」シリーズ第四弾!−裏表紙より−
出版社、学校、病院に続いて、今回は銭湯。なるほど、思いつかなかったですが、納得の業界です。
親戚筋に当たる同業者から持ち込まれた銭湯の立て直し。明らかに胡散臭い話なのに、妙に乗り気な組長。それを見て胃が痛くなる代貸・日村。いつもの構図です。このシリーズのファンとしては「お!始まった始まった!」と嬉しくなってしまうのですが、日村は大変です。
銭湯を立て直すにあたり、組長は温泉旅行に行くことを決定します。組員もみんな連れて行こうという計画。立て直しのヒントを捜すのと、日ごろの疲れをいやす目的でした。
いつもの日村を知っている人からすれば、彼がどんな行動をするのかは想像できます。組長も当然そう思うわけで、日村を休ませるためにある行動に出ます。お陰でゆっくり出来たわけですが。
温泉慰安旅行先でのトラブルの場面もなかなか笑えました。組長、お茶目すぎです。
あるヒントを得て、銭湯の立て直しを始めたのですが、今回もものすごく基本的な所をもう一度見つめ直すという方法がとられました。組員たちも手伝いたくて仕方ない様子を見せ、普通の人なら面倒くさがるような作業も真面目に真剣にこなしていきます。
彼らの働きを見て、自分の仕事を見つめ直す銭湯の主人たち。
といういつもの展開です。
こんなに何でもうまくいくかな?という展開もいつも通りですが、このシリーズはこれが定番で、これが一番心地いいので最高の読書時間になりました。
やっぱり好きだな〜このシリーズ。
次は何を立て直すだろう?? 経営が苦しい業界、たくさんありますから、どんどん立て直していってもらいたいです。
<とせいシリーズ>
「とせい」
「任侠学園」
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