2021年03月29日

今野敏「任侠浴場」

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 今野敏 著
 「任侠浴場」
 (中公文庫)


日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、小さいながらも人情味溢れる昔ながらのヤクザ。人望の篤い親分・阿岐本雄蔵の元には一風変わった経営再建の相談が次々持ちかけられる。今度の舞台は古びた銭湯!? 乗り気な組員たちの一方、不安でいっぱいの日村。こんな時代にどうやって・・。そして阿岐本組は銭湯の勉強と福利厚生(?)を兼ねてなぜか道後温泉へ―。大好評「任侠」シリーズ第四弾!−裏表紙より−


出版社、学校、病院に続いて、今回は銭湯。なるほど、思いつかなかったですが、納得の業界です。

親戚筋に当たる同業者から持ち込まれた銭湯の立て直し。明らかに胡散臭い話なのに、妙に乗り気な組長。それを見て胃が痛くなる代貸・日村。いつもの構図です。このシリーズのファンとしては「お!始まった始まった!」と嬉しくなってしまうのですが、日村は大変です。

銭湯を立て直すにあたり、組長は温泉旅行に行くことを決定します。組員もみんな連れて行こうという計画。立て直しのヒントを捜すのと、日ごろの疲れをいやす目的でした。

いつもの日村を知っている人からすれば、彼がどんな行動をするのかは想像できます。組長も当然そう思うわけで、日村を休ませるためにある行動に出ます。お陰でゆっくり出来たわけですが。

温泉慰安旅行先でのトラブルの場面もなかなか笑えました。組長、お茶目すぎです。


あるヒントを得て、銭湯の立て直しを始めたのですが、今回もものすごく基本的な所をもう一度見つめ直すという方法がとられました。組員たちも手伝いたくて仕方ない様子を見せ、普通の人なら面倒くさがるような作業も真面目に真剣にこなしていきます。

彼らの働きを見て、自分の仕事を見つめ直す銭湯の主人たち。

といういつもの展開です。


こんなに何でもうまくいくかな?という展開もいつも通りですが、このシリーズはこれが定番で、これが一番心地いいので最高の読書時間になりました。

やっぱり好きだな〜このシリーズ。


次は何を立て直すだろう?? 経営が苦しい業界、たくさんありますから、どんどん立て直していってもらいたいです。


<とせいシリーズ>
「とせい」
「任侠学園」
「任侠病院」


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2021年03月25日

柴田よしき「Vヴィレッジの殺人」

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 柴田よしき 著
 「Vヴィレッジの殺人」
 (祥伝社文庫)


山梨県自治郡V村。そこは、非公式に政府が公認する吸血鬼村で、ひそかに侵入しようとする者が後を絶たない。自殺志願者や永遠の命を欲する者など、実にさまざま。V村出身の探偵・メグは、美貌の青年探しを依頼されそこへ向かった。だが、吸血鬼村にはあり得ない、十字架が突き刺さった他殺体に遭遇する! 不可能だらけの謎に挑む女吸血鬼探偵の名推理とは?−裏表紙より−


サクッと読めてしまえる展開と、ページ数であっさり読めました。

しかし、「V村」の「V」ってそういう意味だったのね・・と、ちょっと驚かされました。ちゃんとあらすじを読めばいいのに、読まずに買うと驚きます。

しかも、主人公がその村の出身だとは! 簡単に入れない村に入れる数少ない人ですから、頼られても当然なんですけどね。


で、出身の村に失踪人を捜しに行ったわけですが、そこで殺人事件に遭遇します。捜している失踪人が殺されたのか??もしくは犯人?と謎解きが始まるわけですが、そこはどうでもいいというか、話のメインではありますがあまり興味がもてませんでした。

それよりも、彼らの生態系というか、人生(?)が気になってしまいました。長い年月を生きている彼ら。普通の人間たちが数年後の未来のことを心配したり、過去のことを悩んだりすることが理解できません。

そんな村に自殺願望を持ってやってくる人間たちに嫌悪感さえ覚えていて、迷惑がっているんですよね。

何だか面白い設定というか、面白い視点だなと感心しました。彼らの気持ちになって人間たちを見るって難しそうですけど、面白そうです。


私が一番気になったのは、その村に入るのは難しい手続きなんかもあるようですけど、村の人が出るのが簡単そうな所。いや、出てきたらまずいでしょう!

村の中にいた方がまだ秩序が保てそうです。シレッと普通の生活に紛れないでよ!って強く思ってしまいました。

そういえばあの子、十字架が嫌いって言っていたな・・・なんて思い出して心配になりそうです。


この作品はもう1作あるようです。早めに読むことにします。


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2021年03月24日

買った本

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 今野敏 著
 「任侠浴場」
 (中公文庫)


大好きなシリーズの最新巻。相変わらずの面白さでした。


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 柴田よしき 著
 「Vヴィレッジの殺人」
 (祥伝社文庫)


大好きな作家さん。ずっと探していたのに見つからず、ネットで購入しました。


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 近藤史恵 著
 「岩窟姫」
 (徳間文庫)


こちらもずっと探していたのに見つからず、ネットで購入しました。


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 近藤史恵 著
 「私の命はあなたの命より軽い」
 (講談社文庫)


これもネットで。本屋さんでもネットでも見つからなかったら、後は古本しかないのかな??読みたいけど見つからない本がいっぱいあります・・。

2021年03月23日

J・B・スタンリー「カップケーキよ、永遠なれ」

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 J・B・スタンリー著
  武藤崇恵 訳
 「カップケーキよ、永遠なれ」ダイエット・クラブ6
 (コージーブックス)



<デブ・ファイブ>として友情と思い出をはぐくんできた5人。気がつけば、それぞれが違う人生を歩み、幸せをつかもうとしていた。あと必要なのは、ダイエットのみ! そんなある日、催眠療法がダイエットに効果絶大らしいとメンバーのひとりが言いだし、試してみるとみるみる効果が。未来はバラ色に思えた矢先、図書館長ジェイムズの息子が、よりによってベジタリアンになると言いだした。困り果てたジェイムズは農家のフェスティバルで「食育」をしようと思いつくが、祭りのさなかに町会議員が心臓発作で死亡。その直後、祭りを妨害したデモ隊の女性も何者かに殺された。ふたつの事件に関連があると睨んだ<デブ・ファイブ>のメンバーは、力を合わせて最後の事件に挑むことに!



かなり久しぶりに読んだシリーズ。なんと10年も前に読んだのが最後だったようです。最終巻となるとなかなか読む気がしないんですよね・・。ドラマとかの最終回もなかなか見ない人です。

ハッキリ言って細かい部分は忘れていました。まあ当然ではありますが。それでも特に問題も無く読み進められたのでホッとしました。

デブ・ファイブのことは覚えていましたが、メンバーが誰だったかとか、どんな人だったかとか細かい所は忘れていました。主人公のジェイムズのことは覚えていましたけど。そういえば、前作で息子が出来たんだったなと。

この息子がかわいくて良いんですよね。で、今回はこの息子が「ベジタリアンになりたい」と言い出して大変なことに巻き込まれて行きます。

とある人の発言によって影響されてしまったわけですが、この希望を尊重すべくジェイムズと母親は動き出します。親がベジタリアンじゃないのに子どもだけって本当に難しいです。まだ小さいですから、栄養面も心配になりますしね。

図書館長であるジェイムズは本で調べたり、身近なベジタリアンに聞いたりすることで何とか対応しようとしています。

そんな時に事件に巻き込まれてしまうわけですが・・。


コージーミステリにありがちな、事件の解決は大したことなく、登場人物たちの生活が面白いという展開が進み、突然事件が解決します。それも想定内ですから驚きませんけど。

今回は最終巻だということがずっと頭の隅にあって、どんな終わり方をするのか?ばかりに気を取られる感じでした。でも結局、まだ続けられそうな感じで終わったので何ともモヤモヤしました。

打ち切りされたのかな? そのうちまた書いてくれたら嬉しいのですが。


ジェイムズファミリーの今後も知りたいですし、他のメンバーのことも知りたいと思うので。きっといつまでも「痩せたい」と言いながらつまみ食いをしていくのでしょう。


<ダイエット・クラブシリーズ>
「ベーカリーは罪深い」
「アイスクリームの受難」
「料理教室の探偵たち」
「バーベキューは命がけ」
「とんでもないパティシエ」


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2021年03月18日

高田郁「あきない世傳金と銀<十> 合流篇」

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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀<十> 合流篇」
 (ハルキ文庫)


呉服太物商でありながら、呉服仲間を追われ、呉服商いを断念することになった五鈴屋江戸本店。だが、主人公幸や奉公人たちは、新たな盛運の芽生えを信じ、職人たちと知恵を寄せ合って、これまでにない浴衣地の開発に挑む。男女の違いを越え、身分を越えて、江戸の街に木綿の橋を架けたい──そんな切なる願いを胸に、試行錯誤を続け、懸命に精進を重ねていく。両国の川開きの日に狙いを定め、勝負に打って出るのだが……。果たして最大の危機は最高の好機になり得るのか。五鈴屋の快進撃に胸躍る、シリーズ第十弾!!−裏表紙より−


前作は痛くて苦しい巻でしたが、今作は平穏で幸せな巻でした。

とはいえ、前作の苦しさから抜け出すための試行錯誤が繰り返されたので、苦しい場面はたくさんありました。でもこれを完成させれば絶対に成功する!という確信があるのでかなり前向きな気分で進められました。

読者側もただひたすら「がんばれ!やれば出来る!」と応援すれば良かったので、苦しまずに読めました。


いよいよ、大坂から菊栄さんがやって来ました。幸にとってはかつての女主人ですが、今は良い友人となっている菊栄。今回は彼女がカッコいい活躍を見せてくれて嬉しかったです。

菊栄さんにも色々と大変な部分はあるのでしょうが、商売上手な彼女ですから、江戸でもきっとうまくやれるはずです。そして、幸たちの支えにもなってくれるはず。

そう思うと心強くて頼もしくて、幸と共に感謝感謝な気分になりました。


相変わらず色んな人たちに助けられている幸。彼女の人柄に惹かれてみんな助けてくれるのでしょうが、今後も彼女の元、店が繁盛していく、いやお客様に愛される店になるのを楽しみにしています。

今回は妹が何もしてきませんでしたが、彼女が黙っているとも思えないので、どうなるのか・・。いつかは姉妹仲良くできたら良いのですが。


そして、今回は良いことがもう一つあって、お梅どんの春に私も嬉しくなりました。彼女の存在は江戸本店を明るくしてくれるので、いつまでも元気で幸せでいてほしいです。


次回も平和に過ぎたら良いですけど、そうはいかないでしょうね・・・。でも幸たちなら乗り越えていってくれるでしょう。


<あきない世傳金と銀>
「源流篇」
「早瀬篇」
「奔流篇」
「貫流篇」
「転流篇」
「本流篇」
「碧流篇」
「瀑布篇」
「淵泉篇」


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2021年03月16日

柚月裕子「ウツボカズラの甘い息」

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 柚月裕子 著
 「ウツボカズラの甘い息」
 (幻冬舎文庫)


家事と育児に追われる高村文絵はある日、中学時代の同級生、加奈子に再会。彼女から化粧品販売ビジネスに誘われ、大金と生き甲斐を手にしたが、鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として突然逮捕されてしまう。無実を訴える文絵だが、鍵を握る加奈子が姿を消し、更に詐欺容疑まで重なって・・・。すべては文絵の虚言か企みか? 戦慄の犯罪小説。−出版HPより−


ウツボカズラというのは、食虫植物の一種です。読み終わったら題名がしっくりくる内容でした。


物語はとある女性の日常の様子から始まります。他の人より精神的に辛そうではあるけれど、よくいる感じの専業主婦の日常で、彼女がどんな風に立ち直っていくか?が描かれていくのかと思ったら、次の場面ではいきなり殺人事件が。

その殺人事件の捜査をする警察の様子と主婦の日常が交互に描かれていて、それが少しずつ重なり合っていきます。

読み進めるうちに、きっと殺されたのはあの人だな、とかきっと犯人はあの人だな、とかわかってきて、全く関係なさそうな殺人事件と主婦がいよいよ関係してくるとちょっと嬉しくなってしまいました。

動機はまだわからないけど、まあ彼女が殺したんだろうと予測しながら読み進めると驚きの展開が。

犯人が違うというのは、私の推理力ではよくあることですけど、まさかそんなことが! という別の驚き。そうなると、彼女の人生があまりにも辛くて悲しくて、幸せな家庭なのになんでこんなに病んでいるんだろう?と疑問だったことも一気に解決しました。

彼女が壊れてしまったのも、こんな事件に巻き込まれてしまったのも納得です。

そこまで一気読み状態でした。


ただ、犯人がわかってからが慌ただしすぎたのが残念でした。もっとゆっくりじっくりと犯人の人生についても描いて欲しかったですし、犯人にたどり着くまでの警察の動きももっと知りたかったです。

ちょっと動機がわかり辛いというか、納得しかねました。


最後まで読んでも誰も救われない感じがして、後味悪かったです。事件解決までの疾走感は心地よかったので、最後さえもう少し細かければ・・・。


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タグ:柚月裕子

2021年03月12日

買った本

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 柚月裕子 著
 「ウツボカズラの甘い息」
 (幻冬舎文庫)


お気に入りの作家さんです。感想が難しい話でした。


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 J.B.スタンリー 著
 「カップケーキよ、永遠なれ」
 (コージーブックス)


前に買っていて読んでいなかった作品。お気に入りのシリーズでしたが、これが最終巻だそうです。


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 高田郁 著
 「あきない世傳金と銀 <十> 合流篇」
 (ハルキ文庫)


シリーズ最新刊。一気読み状態でした。

2021年03月11日

山本幸久 「男は敵、女はもっと敵」

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 山本幸久 著
「男は敵、女はもっと敵」
 (集英社文庫)※電子書籍


仕事に恋に真剣に生きる女たちの日常とは!?
舞台は東京。仕事に恋に真剣に生きる女たち。ある時は泣き、ある時は笑い、彼女たちが日常の中で、不確かながらもつかんだモノとは……。文庫オリジナル書き下ろし短編収録。(解説/宮下奈都)
−出版HPより−


初めましての作家さんだと思っていましたが、後で調べてみると「エール!」というアンソロジーで読んだことがありました。しかも感想を読むと「合わない」と書いていました・・。

なるほどね。

今回もやっぱり合わなかったんですよね。

始めから最後まで何が言いたいのかわかりませんでした。

別の男性に当てつけるように他の適当な男性に結婚をせまり、その相手が憐れんで結婚してくれたり、結婚した後もシレッと生活を続けたかと思ったらサクッと別れて、数年後には「そんなこともあったね〜」的な関係になっている。意味がわかりませんし、理解できません。


主人公の考えが一つも共感出来ませんし、登場人物の誰のことも好きになれず、読み進めながら「これって何で読んでるんだっけ?」と思っていました。

結局誰が敵だったんだろう??最後までわかりませんでした。


大人の恋愛をしたことのある女性や、ゴタゴタした関係性なんかが好きな方には楽しめるのかもしれません。



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タグ:山本幸久
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2021年03月10日

古内一絵「風の向こうへ駆け抜けろ」

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 古内一絵 著
「風の向こうへ駆け抜けろ」
(小学館文庫)※電子書籍


芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした、数少ない女性騎手。敬愛する亡き父親への思慕から競馬界に身を投じた。だが、彼女の受け皿となったのは今にもつぶれそうな「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎。そこにいる調教師、厩務員たちは皆それぞれが心に傷を抱え、人生をあきらめきったポンコツ集団だった。 弱小厩舎のため強い競走馬も持てず、さらなる嫌がらせを受け、困っていた矢先に出合った一頭の馬。虐待により心身共にボロボロだったこの馬も懸命な介護と歩み寄りにより、生まれ変わったかのような素晴らしい競走馬に変貌を遂げる。当初は廃業寸前だった厩舎も、瑞穂の真摯な努力と純粋な心、情熱から、徐々に皆の心は一つとなり、ついには夢のまた夢である狭き門、中央競馬の桜花賞を目指すまでになる。が、その行く手には様々な試練が待ち受ける。温かな絆でつながった彼らの運命は…?−出版HPより−


初めましての作家さんです。この作家さんの他の作品が文庫化されるのを待っているのですが、こちらも面白そうだったので読んでみました。


競馬界の話でした。地方競馬界にデビューした数少ない女性騎手、18歳の瑞穂の話です。

競馬学校の間に好成績を残し、期待の新人として注目されつつあったのですが、彼女の就職先は地方のつぶれそうな弱小厩舎でした。しかも、厩務員たちが一癖も二癖もあるややこしい人ばかりで、初日から苦労させられます。

大きくて有名な厩舎の場合は、一流の馬がたくさんいるのですが、その分新人ジョッキーにレースの出番はありません。弱小の場合は、新人でもレースに出る機会はありますが、馬がいない・・。いるけど走れる馬がいません。一流のジョッキーが乗っても勝てない馬ばかりです。

厩務員が癖がすごいせいか、馬の方も癖が強くて瑞穂も乗りこなせない状態でした。


あまりにも勝てないため、いよいよ潰れるしかないのか?という所まで来たとき、虐待を受けてボロボロになった馬・フィッシュアイズに出会います。

走れるはずのこの馬は、気性の粗さと虐待によって、人にも慣れない状態にまでなり、身体も痩せてボロボロでした。この馬を譲り受けて厩舎で大事に育てた所、かなり強い馬だということがわかりました。

瑞穂とフィッシュアイズの成長にワクワクさせられました。・・この部分はワクワクで面白かったんです。


でも、やはり競馬の世界って辛いな〜と思いました。ジョッキーはもちろん競争が激しくて大変ですけど、それ以上に馬が大変です。

競馬馬の命って本当に短い。一流の馬になっても、走って勝てる期間は短いですし、勝てなくなったらお払い箱になる感じもとても辛いです。怪我することもありますしね。足を怪我したら終わりですし・・。

こういう話を読むと、人間って非情なことをするな、と感じてしまいます。普通にお肉を食べておいてこんなことを言うのは違うのかもしれませんけど。


せめて、人間に可愛がられて、走れても走れなくても馬として幸せに生きてほしいと願ってしまいます。


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タグ:古内一絵
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2021年03月09日

高殿円「上流階級 富久丸百貨店外商部 其の一」

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 高殿円 著
 「上流階級 富久丸百貨店外商部 其の一」
 (小学館文庫)※電子書籍


天下の富久丸百貨店芦屋川店で、外商員として働く鮫島静緒(37)。日本一の高級住宅街・芦屋に住む本物のセレブたちに、ロレックスの時計やダイヤの指輪を持参してお買い物をしていただくのが仕事だ。新人外商員の静緒に課されたノルマはなんと、月1500万円! 職場の正社員としては珍しく高卒からのたたきあげで働く静緒は、顧客の要望に応えるため、そしてマンネリ感満載の百貨店業界を立て直すため、前のバイト先・パティスリー「ローベルジュ」での人脈をフル活用して全力で奔走する。 静緒をパティスリーから引き抜いたカリスマ外商員・葉鳥士朗の勧めで、静緒は実家から芦屋の高級マンションに引っ越した。ところがそこには思わぬ同居人が。大嫌いな同僚の桝家修平(29)も、葉鳥の勧めでその部屋に住んでいたのだ。バツイチ独身の静緒だが、桝家は実は、セクシャリティの問題を抱えていて……。−出版HPより−


この作家さんの作品では「トッカン」がお気に入り。あらすじを読むと同じようながんばる女性のお仕事小説みたいだったので読んでみることに。


主人公は、静緒という37歳の女性。わざわざ細かい年齢設定しなくても・・と思いそうですが、この年齢は意外と大事になってきます。まあ40歳でも良さそうですけど、40手前というのが必要かもしれません。ある程度の人生経験を踏んできて、社会人として油が乗ってきて、でもプライベートは?みたいなお年頃ですね。こういう感覚は男女関係なくありそうです。

静緒は、百貨店で働いています。過去にとある販売戦略で大きなヒットを出し、その能力を買われる形で、外商員に抜擢されました。外商員といえば、外商カードのお得意様を担当する人ですね。

庶民にとっては遠い存在ですが・・。芦屋のマダムたちに百貨店から高級品をお持ちして、お勧めして「あら、こちら素敵ね」なんて言わせながらカードをバンバン切らせるのがお仕事。

月のノルマが1500万というのですからすごいことです。

全く縁のない世界のことですから、百貨店で売っている商品の中からお客様に合う物をいくつか持って行って売るだけだと思っていたのですが、読んでみるとなかなか奥が深い。

冠婚葬祭の手配から、家のリフォーム、手に入りにくい流行りのフィギュアなどなど、百貨店では扱っていないような商品まで売るというのですからすごいです。

ちょっとした便利屋さんのようです。・・・あ〜、この例えが庶民ですね・・。


代々同じ外商員さんからお買い物をして、色々助けてもらっているので、担当さんの役割はとても重要です。ご家族の人生に寄り添いながら常に好みの物、必要な物を手に入れてお買い上げいただくように、時には無償で働かないといけないことも。

お客様と外商員の信頼関係が大事なんですよね。


現実世界では全く縁のない世界なので、本の中ではちょっとお金持ち感覚が味わえてそれだけでも読んで良かったです。

主人公の頑張る女性も素敵でしたし、彼女の同居人もなかなか面白いですし、上司も良い感じ。シリーズ3作目まで発売されているので、早く続きも手に入れようと思います。


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タグ:高殿円
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2021年03月03日

斎藤千輪「ビストロ三軒亭の謎めく晩餐」

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 斎藤千輪 著
 「ビストロ三軒亭の謎めく晩餐」
 (角川文庫)※電子書籍


三軒茶屋にある小さなビストロ。来る人の望みを叶える魔法のような店。料理は本格派、サービスは規格外。どんな事情の客も大歓迎。――ここ『ビストロ三軒亭』には、お決まりのメニューが存在しない。好みや希望をギャルソンに伝えると、名探偵ポアロ好きな若きオーナーシェフ・伊勢優也が、その人だけのオリジナルコースを作ってくれる、オーダーメイドのレストランなのだ。ひと月ほど前までセミプロの舞台役者だった神坂隆一は、姉の紹介でこの店のギャルソンとして働くことに。個性豊かな先輩ギャルソンたちに気後れしつつも、初めて挑んだ接客。だが、担当した女性客が、いろいろな謎を秘めた奇妙な人物であることを、隆一はまだ知らずにいた……。美味しい料理と謎に満ちた、癒しのグルメミステリー。−出版HPより−


この作家さんの作品は2作目。同じようにレストランの話です。

一応ミステリですが、日常の軽い謎なので、重い話の本が続いた時には良い気分転換になれるかもしれません。


「ビストロ三軒亭」は、本格的なフレンチが出てくるレストラン。普通のビストロとの違いは、決まったコース料理が無くて、お客のリクエストに応えて好みのコースを作ってくれる所と、担当してくれるギャルソンを指名できる所です。

オーダーメイドでコースを作ってくれるのはとても素敵ですね。この部分では、近くにあったら通ってしまうかも!と思うのですが、ギャルソンが・・。指名したくないわ・・と思ったら担当は新人になる確率が高いし、指名したら「ご指名ありがとうございます」って言われるし、苦手です・・。

気軽に楽しめるビストロ、となっていますが、ギャルソンが常にそばにいるだけで十分堅苦しいと思ってしまう私には向かない店かも。

でも料理はかなり美味しそうです。なので一度は食べてみたいかな?


個性的なギャルソンたちと、個性的なシェフが、やって来るお客さんのちょっとした謎を解き明かす展開です。美味しい料理を提供しながら、さり気ない会話や行動をヒントに謎解きしていくので、面白く読めました。

シェフにも何やら暗い過去がありそうな描写もあり、気になっていたのですが、最後にはすっきり解決してしまい、もっと引っ張らなくて大丈夫なのか?と心配になるくらいでした。

4話収録されていたのですが、印象に残ったのは3話目でした。ビストロが試食会を開いたときに来てもらった大食い女性3人の話です。食べることが大好きなのに、味覚障害になってしまう・・。私も食べるのは好きなので辛いだろうなと彼女の気持ちになって心が痛くなりました。人間って弱いなと改めて感じさせられた話でした。


間違えて3作目を購入済みなので、早く2作目を手に入れて読もうと思っています。とりあえず3作目を読んでも問題は無さそうですけどね。


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タグ:斎藤千輪

2021年03月01日

2月のまとめ

帰り船 〔風の市兵衛〕 (祥伝社文庫)帰り船 〔風の市兵衛〕 (祥伝社文庫)
サクッと軽く読めて面白い時代小説です。市兵衛にもっと活躍してもらいたかったですけど、きれいでカッコいい女性も登場して読みごたえがありました。また逃げてしまった敵が気味悪いです。
読了日:02月01日 著者:辻堂 魁


猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)
とても優しくて温かい物語たちでした。ミクジという神社に現れる野良猫からお告げのような4文字が書かれた葉っぱをもらう人たち。謎かけのような4文字を生きていくヒントにして進んでいきます。悩みが解決される様子を読むのがとても心地よかったです。他の作品も読んでみようかな?
読了日:02月04日 著者:青山 美智子


平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)
面白かった。でも、誰が誰だか名前ではわからない人が多くて馴染むまで時間がかかりました。平安時代のもどかしさとかしきたりとか興味深く読めました。
読了日:02月12日 著者:小田 菜摘


ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)
フレンチの数々が美味しそうで、店の雰囲気はかなり良さそうで、近くにあったら一度は行ってみたいかも。そばに店の人がずっといる状況は苦手だから常連にはならないかもしれませんが。ちょっとした謎解きもあって、次々読み進められました。
読了日:02月15日 著者:斎藤 千輪


上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫)上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫)
百貨店のわくわく、何かわかる気がします。小さい頃は確かに屋上遊園あったな〜とか懐かしく思い出しました。外商カードのお得意様になることはこの先もないでしょうけど、家まで欲しい物をお届けしてくれるのってなんだか緊張しそう。それを緊張せずに「あら、素敵ね」なんて余裕で対応できる人にしか経験できないことなのかも。続きも楽しみです。
読了日:02月17日 著者:高殿 円


風の向こうへ駆け抜けろ風の向こうへ駆け抜けろ
競馬にほとんど興味はないですが、地方競馬と中央競馬の違いとか華やかそうな世界の裏側とか色々知ることが出来て面白かったです。活躍できる馬の数も少ないですし、第一線で走る期間もものすごく短くて儚いですね。何ともいたたまれない気持ちになりました。
読了日:02月20日 著者:古内一絵


男は敵、女はもっと敵 (集英社文庫)男は敵、女はもっと敵 (集英社文庫)
もう少し違う内容を想像していたのでちょっと残念でした。結局誰が敵なんだかよくわからず。綺麗でサバサバした性格で、どんな男性でもよりどりみどりっぽいのに何がダメなんだか。確かにこういう女性は女性に嫌われるかも?出てくる人たち全員好きになれず。そういうのも珍しい。
読了日:02月25日 著者:山本 幸久



全部で7冊。最近にしてはまだ増えた方かな?

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