
小田菜摘 著
「平安あや解き草紙 その姫、後宮にて天職を知る」
(集英社オレンジ文庫)※電子書籍
時は平安。過去に入内の話はあったものの立ち消えになってしまい、婚期を逃したまま実家に居座っている藤原伊子(かのこ)。当時の結婚相手となるはずだった東宮は早世し、彼の息子が現在の帝である。ところが、ここにきてなぜかその帝が伊子の入内を希望してきた。彼は十六歳、伊子はその倍の年齢だ。いくらなんでも無理でしょう、と断るために出かけた先で、伊子が再会したのは十年前に別れた恋人、嵩那(たかふゆ)。彼との関係は誰にも知られていないけれど、処女ではない身で入内なんてできないと思っていたのだ。だが帝の熱烈な要請によって、尚侍として後宮に入ることになってしまった伊子に謎の人物からの脅迫文が届き…!? −出版HPより−
初めましての作家さんです。軽い文章で読みやすかったです。
ただ、登場人物の名前が覚えられなくて困りました・・。平安時代の話ですから、一人に対しての呼び方が山ほどあるんですよね。主人公はともかく、元彼も帝も、とにかく呼びかける時だけでも、言う人によって呼び方が変わりますし、説明文のときも違いますし、どれが誰のことなのか理解するまでに時間がかかりすぎました。登場人物の数はかなり少ないのでまだマシでしたけど。
それ以外の部分では、平安時代らしい(特に平安貴族の)しきたりも興味深かったですし、主人公・伊子の恋愛模様もちょっと笑える所があって面白かったですし、謎解きもあって楽しめました。
この時代は、十代どころかそれ以下の年齢から結婚することもあるので、伊子のように32歳はすっかりおばさんです。何度も「婚期を逃した」という描写が出てくるのが悲しいくらいです。今だったらまだ若いと言われるのに。
一夫多妻制ですから、女同士の確執もなかなかのものです。だれが帝の寵愛を受けるのか?という争いが醜いこと! まだこの話の中ではマシですけど、源氏物語のようにドロドロしてきたらギブアップしそうです。
更に面倒なことは、男女が面会するときには、御簾とか衝立とか扇子などで顔を隠さないといけないところ。父親と年頃になった娘でもです。恋仲になって初めてその衝立は外されるわけです。それでなくても、重くて長い着物を着て窮屈なのに、人に会うたびに色々と隠さないといけないなんて、面倒臭すぎます。
この時代に生まれていたら、もしも貴族だったら生きていけないな〜とか変なことを考えてしまいました。
このシリーズはすでに3冊出ているようです。続きを早めに読まないと、また名前がわからなくなりそう・・。でもちょっと別に続きは要らないかな?とも思ってもいるので、成り行きに任せようか・・。
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