2021年01月28日

西條奈加「銀杏手ならい」

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 西條奈加 著
 「銀杏手ならい」
 (祥伝社文庫)


手習所「銀杏堂」に集う筆子とともに成長していく、新米女師匠・萌の奮闘物語
子に恵まれず離縁され、実家の手習所「銀杏堂」を継ぐことになった二十四歳の萌。女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。自身も血の繋がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、その子を「授かりもの」として育てることを決心するが…。真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。
−裏表紙より−


祝!直木賞受賞。 読書好きではありますが、直木賞ってどんな賞なのかよく知りません・・。でも、とにかく賞を取るのはすごいことですよね。これを機会に、手に入らなくなっている作品を再出版してほしいです。ゴメスシリーズとか読みたいものがたくさんあります。


「銀杏堂」という手習所を父親から受け継いだ萌。彼女は一度嫁入りしましたが、子供が出来ずに離縁されて戻って来ていました。嫁入り前に手伝っていた手習所を受け継いで、母親にも手伝ってもらいながら毎日を過ごしています。

ストーリーとは関係ありませんが、子供が出来ないから離縁って、昔は理不尽ですよね。どちらが原因かわからないのに簡単に実家に戻されてしまいますし、文句も言えない。出戻ったら、産めない女性としてレッテルを貼られた状態で生きていくことになる。嫌な時代です。


門の前に大きな銀杏の木がある所から「銀杏堂」と名付けられた手習所。ここには、勉強するために通っている子どもたちがいます。年齢も性別も、家柄も様々な子どもたちなので、教える方はなかなか大変です。

武士の家なら勉強も大事ですが、商人や農家だと勉強はほどほどで良いということにもなってきます。更に女の子なら家を継ぐわけでもないので、行儀見習いさえ出来ればそれで良いと言われてしまいます。

子ども自身が習いたいものと、親が習わせたいものが違ったり、師匠として教えたいものが違ったりして、問題が次々と。子どもたちの可愛らしいけど真剣な悩みや、言動にクスリと笑ってしまう所もたくさんありました。


子供が出来ずに出戻ることになった萌の元に、捨てられた赤ちゃんがやって来ます。門の前に置かれた赤ちゃんを抱っこした萌は自分で育てることを決意します。実は、萌自身も捨て子だったこともあり、血がつながらなくても愛情をたっぷりもらった経験がありました。

色々戸惑いながらも日々成長していく赤ちゃんと向き合って、萌も成長していく様子が心地よかったです。

子どもたちを含め、萌や赤ちゃんの成長と幸せを祈らずにはいられない素敵な作品でした。

旅に出ていた父親が帰ってくるようなので、また雰囲気も変わるであろう銀杏堂の今後の物語をいつか読みたいと思いました。続編希望です。


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2021年01月26日

大門剛明「海のイカロス」

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 大門剛明 著
 「海のイカロス」
 (光文社文庫)


正岡周平は、自然エネルギーとして注目される潮流発電の研究者だ。地元企業の社長・羽藤の協力を得て、水車イカロスの発電実験を成功させた。そんな中、研究仲間・七海の自殺の真相を知った周平は、ある人物への復讐を決意する。周平が思いついたのは、おそらく人類史上誰も考えつかない殺人計画だった。瀬戸内海を舞台に、一途な研究者の完全犯罪劇が幕を開ける。−裏表紙より−


イカロスというのは、瀬戸内海の潮流を利用して発電するための装置のことです。色々と詳しい説明が書かれてはいるのですが、私の理解力の無さ、科学に対するアレルギーもあって、どんな装置なのかイマイチわかりませんでした。形もどんな感じなのかわからなかったので、せめて図解があると良かったのにとは思います。

そのイカロスを潮の流れに設置して、発電することに成功した研究者・周平が起こす、殺人事件がメインに描かれています。

彼がどうして殺人を犯すことになったのか、どんな心境で犯行に及ぶのか、どんな方法を使うのか、殺害後の心境はどんな感じなのか・・を細かく描いていきます。

つまり、犯人を推理するミステリーというのではなく、人間ドラマに近いでしょうか。

彼が研究者なので、かなり理論的に考えて行動を起こすことになり、自分の精神さえも冷静に分析しています。その冷静さが好きになれませんでした。もっと人間臭く、苦しんでもがいて欲しかったです。まあそういう場面もあるのですが、すぐに冷静になる感じが怖い。

殺害方法の細かい部分は読者にもわからなくなっています。それを想像しながら読むのですが、どうやったか説明されてもわからない自分の理解力の無さにがっかりしました。


常に冷静に分析する割には、動機となる出来事が起きてから時間が経って犯行に至ることや、殺人なんていう非合理的なことを実行してしまう弱さや、尊敬していたはずの恩師さえも利用してしまう所が気に入らず。

確かにかなり腹立たしいですし、怒りで我を忘れるのも理解出来ます(想像できます)が、これだけ冷静なら何とか出来なかったかな?と最後まで納得できませんでした。

もっと違う性格の人が主人公なら面白かったのかもしれません。

事件が解決しても、後味が悪い感じでした。


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2021年01月22日

矢崎存美「名探偵ぶたぶた」

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 矢崎存美 著
 「名探偵ぶたぶた」
 (光文社文庫)


日常の中の、小さな謎。心に引っかかった、昔の記憶。失くしてしまったものの行方。胸に秘めた誰にも言えない秘密。そんな謎や秘密を抱えた5人が出会うのは、なんとも「謎すぎる」ぶたのぬいぐるみ、山崎ぶたぶた。小さくてピンク色で、かわいいけど、実は名探偵って、本当!?―本当なのだ。悩みを解決するヒントをくれるんだって。心温まる謎解き、五編を収録。−裏表紙より−


「悪魔の叫び声」「置き去りの子供」「レモンパイの夏」「ぬいぐるみのお医者さん」「女の子の世界」の5編収録。

題名を見ると、今回のぶたぶたさんは探偵なのか!と思うのですが、実際には探偵ではありませんでした。過去のぶたぶたさんの続編のような作品集で、文壇カフェやホテルマン、海の家から発展した喫茶店、スクールカウンセラー、ドクターのぶたぶたさんに再び会えます。



「悪魔の叫び声」これは、文壇カフェの話です。悪魔の叫び声の正体がそんなこと!?とびっくりでした。今時の人は聞いたことないんだね〜。年齢を感じてしまいました・・。しかし、悪魔の叫び声に聞こえるかな??

「置き去りの子供」ホテルマンのぶたぶたさんに会えます。可愛らしいエピソードですけど、ちょっと切なくもある話でした。

「レモンパイの夏」海の家のぶたぶたさん。あの時にやりたいと言っていたカフェを開店させたようですね。美味しそうな料理にお腹がすきます。

「ぬいぐるみのお医者さん」はドクターです。ぶたぶたさんのことでもありますし、本当にぬいぐるみのお医者さんのことでもあります。出てくるおじいさんの心境が理解できませんでしたが、子どもは可愛かったです。

「女の子の世界」はスクールカウンセラー。女の子同士の友情ってなんだかややこしいです。同性として痛い部分がありました。ぶたぶたさんの存在が明るく軽くしてくれます。


最後まで読んでも「探偵」が出てきません。ではなぜ「名探偵ぶたぶた」という題名なのか?は作者によるあとがきではっきりします。なるほどね〜という感じ。題名はともかく、今後もこんな感じで過去の様々なぶたぶたさんにもう一度会いたいと思いました。

さ、次はどんなお仕事しているのかな?楽しみに待ちます。


<ぶたぶたさんシリーズ>
「ぶたぶた」
「刑事ぶたぶた」
「ぶたぶたの休日」
「夏の日のぶたぶた」
「クリスマスのぶたぶた」
「ぶたぶた日記」
「ぶたぶたの食卓」
「ぶたぶたのいる場所」
「ぶたぶたと秘密のアップルパイ」
「訪問者ぶたぶた」
「再びのぶたぶた」
「キッチンぶたぶた」
「ぶたぶたさん」
「ぶたぶたは見た」
「ぶたぶたカフェ」
「ぶたぶた図書館」
「ぶたぶた洋菓子店」
「ぶたぶたのお医者さん」
「ぶたぶたの本屋さん」
「ぶたぶたのおかわり!」
「学校のぶたぶた」
「ぶたぶたの甘いもの」
「ドクターぶたぶた」
「ぶたぶたの花束」
「居酒屋ぶたぶた」
「海の家のぶたぶた」
「ぶたぶたラジオ」
「森のシェフぶたぶた」
「編集者ぶたぶた」
「ぶたぶたのティータイム」
「ぶたぶたのシェアハウス」
「出張料理人ぶたぶた」


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2021年01月20日

買った本

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 矢崎存美 著
 「名探偵ぶたぶた」
 (光文社文庫)


相変わらずサラッと読めて面白いシリーズです。


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 大門剛明 著
 「海のイカロス」
 (光文社文庫)


気に入って読んでいる作家さんですが・・・。


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 近藤史恵 著
 「インフルエンス」
 (文春文庫)


どうなるのか展開が気になる!

2021年01月19日

中島久枝「お宿如月庵へようこそ」

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 中島久枝 著
 「お宿如月庵へようこそ」
 (ポプラ文庫)※電子書籍


時は江戸。
火事で姉と離れ離れになった少女・梅乃が身を寄せることになったのは、お宿・如月庵。
如月庵は上野広小路から湯島天神に至る坂の途中にあり、知る人ぞ知る小さな宿だが、もてなしは最高。かゆいところに手の届くような気働きのある部屋係がいて、板前の料理に舌鼓を打って風呂に入れば、旅の疲れも浮世の憂さもきれいに消えてしまうと噂だ……。
梅乃は部屋係として働き始めるが、訪れるお客は、何かを抱えたワケアリの人ばかり。
おまけに奉公人達もワケアリばかり。美人で男好きな部屋係に、いつもパリッとしているがやたらと強い中居頭。強面で無口だが心は優しい板前、宿に来るお客を全て覚えている下足番。そしてそれらを束ねる女将。
個性豊かな面々に囲まれながら、梅乃のもてなしはお客の心に届くのか? 
そして、行方不明の姉と再会は叶うのか?
心温かくなるお江戸人情シリーズ第一弾!
−出版社HPより−


初めましての作家さんです。読書メーターでの感想を読んで面白そうだったので、とりあえず電子書籍で手に入れました。

文章は軽くて読みやすい感じでしたが、いきなり重い展開になったのでちょっとペースダウン。主人公に魅力を感じる前にいきなりだったので、大変なことになった・・とは思いましたが、これからどうなるんだろう?大丈夫かな?といった感情があまり湧かず。

しかも、読んでいる途中でお気に入りの作品が発売されたのでそちらを読んでしまい、ますます読み進められず。似たような雰囲気の本を挟んだらダメですね・・・。


火事のせいで唯一の肉親だった姉とはぐれてしまい、天涯孤独となった主人公・梅乃。如月庵という宿に拾われる形で、部屋係として働くことになりました。小さいながらも評判のお宿ですが、やって来るお客さんたちは色々訳ありの人が多く、問題を起こしてくれます。

梅乃は新人なのですが、担当したお客さんの役に立ちたい!という思いが強すぎて、そこまで口を出すか!?ということも言ってしまいます。言った後で「どうしよう?」と悩んでしまいます。


その度に、他の奉公人たちに助けてもらったり、突き放されたりしながら何とか解決していきます。


この物語の大きな軸としてあった、火事で行方不明になった姉の捜索というのがあるのですが、それがあっさりと解決してしまってびっくり。更に、しきりに「この宿には秘密がありそう」と書かれている割には、特に変わったことがあるように感じられないのも気になります。何かの布石なのか??

シリーズ何冊か出ているので、追いかけていけば色々解明されるのでしょう。

次も電子書籍で手に入れて読むことにします。


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タグ:中島久枝

2021年01月13日

柴田よしき「あんの青春〜若葉の季〜 お勝手のあん」

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 柴田よしき 著
 「あんの青春〜若葉の季〜 お勝手のあん」
 (ハルキ文庫)


昨年の大地震が残した爪痕も、ようやく幾らか薄れてきたように思えた頃。品川宿の宿屋「紅屋」では、おやすが見習いから、台所付きの女中として正式に雇われることとなり、わずかばかりだが給金ももらえることになった。「百足屋」のお嬢さま・お小夜が嫁ぎ、おあつから別れの手紙を受け取るなど、寂しくもなるおやすだが、心配していた勘平の消息を聞き、「むら咲」の女料理人・おみねから出された謎も考えながら、充実した日々を送っていく──。時代小説版「赤毛のアン」、大好評シリーズ第三弾。−裏表紙より−



このあらすじすごいな〜。改めて読んだら笑ってしまうくらい、ほぼ全部の出来事が説明されてる!

まさにこれらのことが次々と起きました。なかなか忙しい日々を送っていますよ、おやすは。そして、難問を解決する度に大きく成長しています。

おみねから出された謎を解くために協力してもらったのは、とある漢方医で、人たらしというか、気付けば何でも話してしまうような心安い男性で、おやすも頼りにしていました。彼とは今後も何やらありそうです。もしかしたら恋のお相手??とか勝手に想像していますがどうなるでしょう。

おみねの謎解きでは、現代ではよく食べるある料理が登場します。謎の答えになる物なので書きませんが、今では普通によく食べる料理と初めて出会ったおやすたちの反応に何だか感動してしまいました。黒船がやって来たくらいの時代なので、今後日本が大きく動くはずで、だんだん新しい食材や料理とも出会っていくのでしょうね。


嫁いだお小夜さんも相変わらずのわがままぶりのようです。でもすっかり奥様らしくもなりました。わがままも可愛いと思ってもらえる所に嫁げたお小夜さんは幸せです。今後も交流は続きそうなので楽しみです。


おあつさんとはお別れになりそうな雰囲気です。でももしあの「篤姫」だとすれば、時代が動けばまた会えそうな気もしますけど。


そして今回何よりも心配で、何よりも苦しかったのはおちよちゃん。おやすが働く店の主人の親戚の子なのですが、実家の店を継ぐために修行中の身。でもいい加減な所も多くて周りから叱責されることもしばしば。性格は明るくて可愛らしい少女です。

そんな彼女が今回は恋をして、その恋のせいで問題が・・・・。これを恋と呼んでいいのか?というくらいの物ですが、その代償は大きくて、この問題はどうやって解決していくのか心配でたまりません。

おやすが身代わりになるとかいう展開はやめてほしいですけど、どうなるやら。

おちよがおやすに言った言葉の数々がまた痛くて苦しかったです。本心ではないとは思いますが、心のどこかにはあったであろう感情は、ある意味正論でもあって、でもそうしないと生きていられなかったおやすのことを思うと苦しかったです。

そして、そんな辛い言葉たちを怒ることなく冷静に分析して受け止められるおやすのことをますます好きになりました。


まだ物語は始まったばかりです。今後も楽しみです。



<お勝手のあんシリーズ>
「お勝手のあん」
「あんの青春〜春を待つころ〜」


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2021年01月12日

買った本

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 中島久枝 著
 「お宿如月庵へようこそ 湯島天神坂」
 (ポプラ文庫)※電子書籍


ネットでの感想を読んで面白そうだったので電子書籍を購入。


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 斎藤千輪 著
 「ビストロ三軒亭の奇跡の宴」
 (角川文庫)※電子書籍


この作家さんの別のシリーズを読んで面白かったので購入してみました。でもどうやらシリーズ3作目を買ってしまったようで、道理で話がわからないわけだ・・。1作目を手に入れることにします。


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 柴田よしき 著
 「お勝手のあん あんの青春〜若葉の季〜」
 (ハルキ文庫)


お気に入りのシリーズ第3弾。今回も面白かったです。

2021年01月08日

柚月裕子「朽ちないサクラ」

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 柚月裕子 著
 「朽ちないサクラ」
 (徳間文庫)


警察のあきれた怠慢のせいでストーカー被害者は殺された!? 警察不祥事のスクープ記事。新聞記者である親友に裏切られた……口止めした森口泉は愕然とする。情報漏洩の犯人探しで県警内部が揺れる中、親友が遺体となって発見された。警察広報職員の泉は、警察学校の同期・磯川刑事と独自に調査を始める。次第に核心に迫る二人の前にちらつく新たな不審の影。事件の裏には思いも寄らぬ醜い闇が潜んでいた……。−裏表紙より−


こういう警察小説を読む度に思うのは、警察という組織の情けなさ、レベルの低さです。まあ警察に限ったことではないんですけど、何か不祥事が起きたら何とかして隠そうとする考えは無くならないのでしょうね。


ストーカー被害にあっていた女性の訴えを退けた上に、その期間に職員慰安旅行に行っていたという信じられないことをした警察。それは絶対に隠したいでしょうが、なぜか一つの新聞社からスクープ記事が出てしまいます。

広報職員をしている泉が、友人の新聞記者に何気なく話した内容から記事にされてしまったと思い込み、問い詰めたのですが、絶対に自分がリークしたのではないと否定されてしまいます。

その友人が「思い当たることがあるから調べる」と言った後、遺体となって発見されてしまいます。始めは事故死と判断されたのですが、すぐに疑いがもたれ、捜査が始まることに。

自分のせいで友人が殺されたのでは?と感じた泉は担当刑事や同期の刑事、上司にも協力を求めながら独自に調査を始めます。


そして出てくるのが「サクラ」。人の名前ではなく、公安警察のことなんです。なるほど、確かに「朽ちない」ですし、「朽ちてはいけない」ですね。しかし、公安という組織は謎がいっぱいですし、出てくると結末がモヤモヤしがちで、何が正解なのかわからない状態になります。

人間の組織と思えない感覚です。「国」や「警察組織」のためなら何人か死んでも仕方ないやん!という考えで動くなんて、どういう神経になれば出来るのか。理解できませんし、理解したくもない感じです。ある意味、心を殺しているのでしょうね・・。


最後までモヤッとしていますし、結局誰が主人公?という状態でしたが、どうやら泉の物語だったようで、続編もあるそうです。文庫化される頃にまだ覚えていたら読もうかな?


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タグ:柚月裕子

2021年01月06日

買った本

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 斎藤千輪 著
 「トラットリア代官山」
 (ハルキ文庫)※電子書籍



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 西條奈加 著
 「銀杏手ならい」
 (祥伝社文庫)




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 近藤史恵 著
 「Shelter」
 (祥伝社文庫)



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 柚月裕子 著
 「朽ちないサクラ」
 (徳間文庫)


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 アンソロジー
 「注文の多い料理小説集」
 (文春文庫)※電子書籍


2021年01月05日

今村翔吾「くらまし屋稼業」

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 今村翔吾 著
 「くらまし屋稼業」
 (ハルキ文庫)※電子書籍


万次と喜八は、浅草界隈を牛耳っている香具師・丑蔵の子分。親分の信頼も篤いふたりが、理由あって、やくざ稼業から足抜けをすべく、集金した銭を持って江戸から逃げることに。だが、丑蔵が放った刺客たちに追い詰められ、ふたりは高輪の大親分・禄兵衛の元に決死の思いで逃げ込んだ。禄兵衛は、銭さえ払えば必ず逃がしてくれる男を紹介すると言うが──涙あり、笑いあり、手に汗を握るシーンあり、大きく深い感動ありのノンストップエンターテインメント時代小説、ここに開幕!(解説・吉田伸子)−出版社HPより−


初めましての作家さんです。読書メーターでの感想を読んで面白そうだったので、とりあえず電子書籍で手に入れました。


物語の始めにいきなり主人公・堤平九郎が出てくるのですが、すぐに違う人たちの話が始まります。しかもかなり不穏な雰囲気。やくざ稼業から抜け出そうとする2人の男たち。やくざ稼業から抜け出すだけでも大変なことなのに、親分に指示されて集めに行ったお金を持ったまま逃げるという恐ろしいことをしようとしていました。

当然、あっという間にたくさんの手下たちから命を狙われます。このままでは殺されてしまう・・という状態で逃げ込んだのは、別の親分の元でした。

しばらくは匿ってもらえますが、やはりこちらの親分としても、別の家の手下たち(しかも当然ながら強面の男性たち)に周りでウロチョロされると鬱陶しいわけで、親分としては追い出したい・・。そこで「くらまし屋」の出番です。

くらまし屋というのは、夜逃げ屋のことですが、夜逃げよりも更に巧妙に逃がしてくれます。

ただし、その分だけ料金はお高め。くらまし屋の堤平九郎と一度会って話をした上で、逃がしてもらえるかが決まるという大変さもあります。

逃がすと決めたら、絶対に何があっても逃がす、という謳い文句だけに、くらまし屋としても自分たちが「逃がそう」と思える相手でないとやりません。


くらまし屋のメンバーは、平九郎の他に、七瀬というしっかりしてきれいな女性と赤也という色んな人に化けられるきれいな男性の3人です。

平九郎は普段は飴屋をしているのですが、ものすごく剣の腕も立ち、何やら暗い過去を抱えている感じです。他の2人も色々ありそうですが、平九郎が一番謎めいています。



彼らの人生も気になりますし、3人の掛け合いが面白いですし、逃がす側だけではなく逃がしてもらう側の人生も興味深いですし、更には今回出て来た強い敵もまだまだ出て来そうなので、続きがとても楽しみになりました。

実際にすでに2作目も読みましたが、変わらず面白かったので、これからも追いかけていく予定です。


しかも、この作家さんの他のシリーズも面白いそうで、そちらも読んでみようかな?でも先にこちらのシリーズを読み切った方が良いかな?と悩み中。


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2021年01月04日

12月のまとめ

白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)
なかなか進まない話に、読むスピードも落ち気味・・。これは何の誰の出来事?という場面がいくつか出てくるのですが、きっとこれらも後々関係あるんだろうな〜と思うとしっかり読まなければ!とも思うし、読み飛ばしがしにくい内容です。でも進まない・・・。
読了日:12月02日 著者:小野 不由美


白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)
前半はまだ何が何だかわからない状態が続いていましたが、後半になってやっと少し動き出した感じです。何となく集まり始めた同志たちがどうやって反乱していくのか最終巻が楽しみです。
読了日:12月10日 著者:小野 不由美


白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)
やっと読み終わりました。長かった〜!いっぱいカット出来る所あったのでは?と思いつつ、何とかうまくまとまって良かった良かった。最後の一行の出来事を物語として描いてほしかった気はしますけど。まあ十二国記はいつもそんな感じですね。しかし、犠牲が大きすぎて悲しかったな・・。
読了日:12月19日 著者:小野 不由美


Shelter(シェルター) (祥伝社文庫)Shelter(シェルター) (祥伝社文庫)
重い内容のシリーズですが、文章がサラッとしているのと、登場人物が魅力的なのとであっという間に読み終えました。
辛い過去を抱えながら精いっぱい生きている姉妹たちがこれから幸せになってくれることを願います。
読了日:12月22日 著者:近藤 史恵


朽ちないサクラ (徳間文庫)朽ちないサクラ (徳間文庫)
サクラという女性が出て来るのかと思ってしまった・・。なるほどそういう意味か。絶対に朽ちないし、ある意味朽ちてはいけないサクラですね。しかし怖い世界だな〜。殺人より重い罪はないと思うけど、そういう考えは甘いのかな?
読了日:12月30日 著者:柚月 裕子



全部で5冊。十二国記に時間を取られた2か月でした。

年間ランキング出来るかな??

posted by DONA at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書:まとめ